公共交通利用促進のための政策提言

 市街地のスプロール化を抑制するコンパクトなまちづくりは、少子・高齢化社会へと急速に進む我が国において、効率的な地域社会を形成するための緊急の課題であります。

 本市においても、総合振興計画、都市計画マスタープランにおいて、コンパクトなまちづくりへの事業展開が重要な課題となっています。

 このような背景の中、高齢者や障害者などの社会的弱者への配慮や環境問題への対応などを考えるに、本市のまちづくりにおける視点として、自動車利用中心から公共交通利用へと市民意識の転換を促しながら、公共交通を軸としたコンパクトな市街地形成を進める必要があると考えます。

 さいたま市では、総合都市交通体系マスタープラン、交通環境プラン、公共交通ネットワーク基本計画などを策定し、交通弱者の移動手段の確保や地球環境負荷の削減に向けた公共交通網の整備を進めようとしています。

 公明党さいたま市議団は、さいたま市の公共交通のあり方について調査研究プロジェクトチームを編成し、本市の目指すべき公共交通を軸としたまちづくりのあり方、具体化に向けての手法について調査・研究を進めて参りました。そして、さいたま市の本格的な事業展開を前に、「公共交通利用促進のための政策」としてここに提言します。


Ⅰ.公共交通を軸としたまちづくりについて

(1)主要幹線バス交通のグレードアップについて
 
 市民の移動手段として自動車から公共交通利用への転換を図るためには、より便利で快適な公共交通システムの整備が必要である。特に、主要幹線にはバス交通優先システムを導入し、LRTに匹敵する快適性、速達性、定時性、そしてデザイン性を持たせ、多くの市民が利用したくなる様な公共交通環境の整備を進めるべきである。

①バスプラットホーム等の整備促進(※道路改良の促進)
②バス専用レーン・バス優先信号システムの導入
③自動車や自転車からの乗り換えターミナルの整備
④まちのシンボルとなるデザイン低床バスや連結バスの導入促進
⑤乗り降り時間の短縮のための電子パスの導入促進
⑥鉄道との乗り継ぎ経路の整備
※需要により、LRTへの展開も視野に入れた道路整備。


(2)公共交通利用環境の整備

 市民の公共交通利用の促進のためには、公共交通空白地域への対策も重要な課題である。具体的には、バスをより身近に活用できるような自宅からバス停へのアクセスの改善やバス停の改良、バスの運行情報の提供などを積極的に推進すべきである。また、新たな発想に基づくより便利で効率的な形態の公共交通事業の展開も検討すべきである。

①バス停付近への駐輪場整備
②バス停区間の短縮と自由昇降システムの導入検討
③大型ワゴン乗用車を活用した乗合タクシーやデマンドバスの運行検討
④コミュニティバスの全面見直しと運行費の公共交通利用促進事業への転用
⑤バス車内でのニュース・天気予報番組放映(ワンセグ放送活用)
⑥携帯電話によるバス運行情報確認システムの導入促進


(3)トランジットモールの形成について

 人と環境にやさしい街づくりの手法として、世界中の都市が取り組んでいる駅周辺や中心市街地において自動車利用を抑制し、歩行者と公共交通機関を優先したトランジットモールの形成は、国際交流都市を目指す本市にとっても重要な課題である。政令指定都市に相応しい中心市街地の活性化とともに、環境にやさしいまち、潤いのある街並みを形成する上でも積極的に取り組むべき課題である。
①周辺部へのパーク&ライド、サイクル&ライド用の駐車場の整備
②自動車や自転車からの乗り換えターミナルの整備
③モール内公共交通の信用乗車方式の導入や運賃無料化による移動快適性の確保
④モール内の高層建築物の1階部分の商業施設化
⑤シャトルバスの運行等を条件にした、駅周辺施設の駐車場付置義務の見直し
⑥景観の形成と共に、ベンチや芸術作品の点在化


Ⅱ.公共交通を軸としたまちづくりの進め方について

(1)公共交通を軸としたまちづくりへの合意形成

 公共交通中心のまちづくりを進めるためには、市民意識の転換が必要となる。さいたま市は人と環境にやさしい先進都市として公共交通を軸としたまちづくりをめざし、市長の強いリーダーシップの下、市民一人ひとりが環境への配慮や潤いと賑わいのある街づくりの重要性を意識することを促す事業を展開すべきである。

①さいたま市の魅力やグレードをアップさせるための重点課題として公共交通を軸としたまちづくりを掲げる
②公共交通の利便性向上を意識した、都市計画道路の整備促進を図る。
③公共交通網の整備によるまちのグレードアップや環境負荷の低減などについてのセミナーやワークショップの開催
④公共交通を軸としたまちづくりアピールのための広報宣伝事業の展開
⑤公共交通基盤の整備・運営について、福祉的・コミュニティ施設的機能としての位置づけも含めた基本方針の策定と公的資金確保の為の制度の創設。
⑥公共交通網の整備を意識した都市開発・道路整備方針および計画の策定


(2)具体的な事業の展開について

 公共交通を軸としたまちづくりにおいて、公共交通基盤の整備を意識した幹線道路の整備や、試験導入区域等を設定し、様々な施策を限られた範囲また一部地域に試行し、市民の関心を高めながら、迅速かつスムーズな事業展開を図るべきである。

①トランジットモール先行整備区域を特定し、実験確認事業を展開
②主要幹線バス路線の一部をグレードアップ路線として限定した実験運行
③電車やバスの駅と公共施設を結ぶシャトルバスの試行運行
④民間活力を活用しての乗合タクシーやデマンドバスの実験運行
⑤道路整備におけるバス停留所スペースやターミナルスペース等の整備促進


Ⅲ.LRTの導入について

 公明党さいたま市議団では、従来からバスなどの公共交通や市域内軌道交通のあり方について検討を重ねると共に、単に市民の移動手段のみならず都市の装置として、LRTの導入を主張してきた。これは、地下鉄やモノレールなどに比べて建設費用コストが安価であり、輸送需要に柔軟に対応でき、環境問題、高齢者や障害者にも適応した交通システムの構築や、中心市街地再生の手段としても期待できる。

 このLRTの導入については、市民の移動手段としてのみならず、都市のシンボル、高齢化社会での福祉的視点、都市景観、中心市街地活性化、環境対策などの視点から、長期的展望に立った計画(案)の策定を進めるべきである。

 特に、LRTの事業化検討に際しては、インフラ整備を公的資金で進め、業務運営を民間で行う上下分離方式の適用により事業経営は可能であり、これらを視野に入れた計画策定が必要と考える。

①LRTの導入可能性検討のための協議会の設置
②LRTの導入効果と課題の調査研究
③30年、50年後の都市像の策定とロードマップの策定
④市民を巻き込んでのワークショップの定期開催
⑤国の制度の積極的な活用検討

(※この記事はさいたま市議会議員時代の記事です)