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第211回国会 総務委員会 第9号


○浮島委員長 次に、輿水恵一君。

 

○輿水委員 おはようございます。公明党の輿水恵一でございます。

 

 本日は質問の機会をいただきましたことに、心より感謝を申し上げます。

 

 早速質問に入らせていただきます。

 

 初めに、革新的情報通信技術の研究開発について伺います。

 

 国立研究開発法人情報通信研究機構に、昨年なんですけれども、革新的な情報通信技術の研究開発を進めるための恒久的な基金である情報通信研究開発基金が設けられました。

 

 今日、社会のデジタル化が進む中で、情報通信技術の開発競争は年々熾烈になっております。現在、社会への実装が進められている5Gネットワークの基盤となる通信基地局の整備における日本の企業の市場シェアは、残念ながら一%台と、後塵を拝しております。

 

 今後、世界のデジタル化が急速に進展する中で、次世代通信インフラである6Gの市場は膨大になることが予想をされます。ここでそのシェアをどの程度獲得するかが、我が国の経済の繁栄と発展を大きく左右すると言っても過言ではないと思います。

 

 そこで、総務省として、次世代通信インフラである6Gの市場を獲得するために、具体的にどのような狙いで、どのような技術を開発しようとしているのか、当局の考えをお聞かせください。

 

○田原政府参考人 お答え申し上げます。

 

 委員御指摘のビヨンド5Gは、あらゆる産業や社会活動の基盤になると見込まれる次世代の基幹インフラであり、主要各国が研究開発投資計画を公表して世界的に開発競争が進んでいるのは、委員御指摘のとおりでございます。

 

 また、DXの推進などもあり、我が国の通信トラフィックは大幅に増加傾向にあるところでございまして、このまま技術革新がなければ、通信インフラの消費電力も大幅に増大するものと懸念されております。

 

 こうした我が国の国際競争力の強化、またICT分野におけるグリーン化の必要性といった課題を踏まえまして、昨年六月の情報通信審議会の答申におきましては、このDXを支える通信インフラの超高速化、低遅延化を図りながら、大幅な省電力化などを実現するオール光ネットワーク技術などを始めとする重点三分野について、技術開発などを強力に推進すべき旨提言されたところでございます。

 

 総務省といたしましては、先ほども御指摘ありました、昨年秋の臨時国会においてお認めいただきました法律と予算に基づき、必要な手続を進めてきたところでございまして、本年三月、NICTに研究開発基金を造成したところでございます。今後、この基金を活用させていただきまして、先ほど申し上げたオール光ネットワークなどの技術分野を中心として、社会実装、海外展開をきちんと見据えた研究開発を重点的に支援してまいりたいと考えております。

 

○輿水委員 どうもありがとうございます。

 

 まさにこれから情報通信量がますます増えていく、また、データセンターもどんどん増えていく。となると、やはりそこに電力というのが必要になります。その電力に対して、より消費電力の少ない、そういった通信技術として、今御紹介いただいたオール光ネットワーク技術、大事な、本当に大事なものである、このように思っております。

 

 そこで、当然、5Gの技術開発においても世界をリードすることを前提に様々な取組を進めてきたことと思いますけれども、今回の取組について、5Gの出遅れの原因をどのように分析をして、いよいよ6G、いわゆるビヨンド5Gの技術開発と市場の獲得に向けて基金をどのように運用しようとしているのか、その戦略をお聞かせ願えますでしょうか。

 

○田原政府参考人 お答え申し上げます。

 

 5Gで日本が出遅れた原因といたしましては、世界の情報通信産業では、グローバルな市場を前提とした規模の経済を最大限活用した競争というものが進展する中で、我が国企業は、どちらかというと国内市場での対応を重視して、必ずしもグローバルな動向への対応が十分ではなかったのではないかと考えております。

 

 また、我が国の情報通信産業は、国際的に見て、総じて高い技術力を有していると評価される一方で、必ずしもそれを、こういった事情もあり、大きなグローバルなビジネス、事業につなげていくことができてこなかったというように認識しております。

 

 一方で、海外のベンダーは、グローバル市場を見据えまして、大規模な研究開発投資を行いまして戦略的に取り組む一方で、そうしたことから、我が国の企業はこの流れに乗り遅れていることと、また、私ども国も、研究開発投資支援も十分ではなかったのではないかと考えているところでございます。

 

 こうした教訓を踏まえまして、新たな基金では、従来の研究開発を主目的とする発想ですとか国内市場への導入を念頭に置いた発想から脱却しまして、基本的にグローバルな視点に立ち、企業の自己投資も含む思い切った開発投資を行い、社会実装、海外展開を強く意識した開発プロジェクトについて重点的に支援を行うことが重要かと考えております。

 

 このため、総務省におきましては、本基金事業の実施に当たりまして、市場や経営、ビジネスの視点も踏まえた事業面からの評価の在り方について、情報通信審議会のワーキンググループで御審議いただきまして、その結果も踏まえまして、従来の技術面の審査に加えて、社会実装、海外展開に向けた事業面の計画などについてもきちんと評価する形で進めるよう、NICTに対して通知を行っているところでございます。

 

 また、総務省といたしましても、この研究開発プロジェクトの進捗状況を今後しっかりとフォローしながら、円滑な海外展開に向けた国際標準化や国際的なコンセンサスづくり、ルール形成など、グローバル市場で競争していく我が国企業を後押しするための環境整備に努めてまいりたいと考えております。

 

○輿水委員 どうもありがとうございます。

 

 まさに基金の運用については、技術面の評価に加えて、社会実装や海外展開を見据えた、経営やビジネス面での取組や計画を重視すること、大変重要であると思います。

 

 ここで、具体的なプロジェクトの評価やモニタリングなどを実施するための人材や体制の確保は非常に大事だと思います。どのように考えているのか、お聞かせいただきたいと思います。また、事業者においても、技術面に加えて、ビジネス面での戦略を強化してもらう必要もあると思います。どのように事業者の取組を促していくのかについてもお聞かせ願えますでしょうか。

 

○田原政府参考人 お答え申し上げます。

 

 新たな基金におきまして、特に事業面についての評価やモニタリングを適切に実施していくため、主として経営ですとかビジネスを専門とする外部有識者により構成されるワーキンググループを、先ほど御答弁させていただいた情報通信審議会に設置したところでございまして、こちらのワーキンググループにおいて、プロジェクトの採択評価における事業面からの評価項目ですとか、プロジェクト採択後のモニタリングに当たって留意すべき事項などについて御議論いただいて、本年三月にその取りまとめを公表させていただいたところでございます。

 

 基金事業の実施に当たりましては、このワーキンググループの取りまとめを踏まえまして、NICTにおける研究開発プロジェクトの採択時には、このワーキンググループの構成員も採択評価に参画して事業面の審査を行っていただくということのほか、プロジェクトの採択後も、プロジェクトの主要な実施企業などの経営者からワーキンググループにおいて取組状況を説明していただくなどして、事業面からのモニタリングを定期的に実施するなどして、この基金事業を適切に実施する体制を整備したいと考えているところでございます。

 

 また、NICTに対しても、これまで以上に基金の適正な管理、運用を行うための体制を整備するよう、中長期目標の変更を指示したところでございます。

 

 各事業者におきましては、こうした今回の基金による新たな取組を一つのきっかけとしていただきまして、研究開発部門と事業部門の間の連携を強化して、出口をより強く意識した戦略的な取組を推進、展開いただくことを強く期待しているところでございます。

 

○輿水委員 どうもありがとうございます。

 

 まさに研究開発に向けて、出口をしっかりと意識した、そういった取組を進めていただければと思います。

 

 まさに、日本発の技術を活用したビヨンド5G、6Gのインフラ市場における日本のシェアの獲得に向けて、諸外国との連携や協力は不可欠であると思います。そして、日本発のオール光ネットワークインフラによるDXとGXを両立させる未来像を世界の人々と共有する上で、今回のG7は絶好の機会であると思います。

 

 GXとDXの両立の必要性、重要性といった日本が目指すビジョンについて、まずは先進諸国から理解、賛同を得て、世界に発信をし、また、海外展開への道を大きく開くべきと考えますけれども、松本大臣の意気込みをお聞かせ願えますでしょうか。

 

○松本国務大臣 今御議論もございましたように、ビヨンド5Gの技術開発に当たっては、局長からも御答弁申し上げたところですが、社会実装、海外展開の視点を持って進めてきているところでございます。特に、海外展開を見据えた場合には、我が国が開発する技術が広く国際的に受け入れられるよう、環境整備を図ることが大切であると考えております。

 

 このため、我が国が目指すビヨンド5Gのビジョンについて広く国際社会の理解、賛同を得られるよう、米国、EU、ドイツ、シンガポールといった国々との政府間対話を通じて発信に努めてきたところでございます。

 

 特に、今委員からも御指摘がございました、DXに加えてGXの実現にも資する極めてエネルギー効率の高い光電融合技術や、オープンで相互運用可能なネットワーク構成の推進といった分野で、我が国が世界で主導的な立場を確保することを目指しております。

 

 今月下旬に開催されるG7群馬高崎デジタル・技術大臣会合は大変貴重な機会であるというふうに私も考えております。このG7大臣会合では、安全で強靱なネットワークインフラ構築について議題の一つに挙げておりまして、その中で、我が国が目指すビヨンド5Gのビジョンを踏まえた形で、無線のみならず有線も含めた次世代ネットワークの将来ビジョンについて合意が得られるよう、各国と議論を進めておるところでございます。

 

 各国の理解、賛同を得て、G7として一致したメッセージを世界に発信できるよう、議長国として各国との調整を鋭意進めてまいりたいと思っております。

 

○輿水委員 是非よろしくお願いいたします。どうもありがとうございます。

 

 最後に、自治会等のデジタル化への支援について伺います。

 

 現在、人口減少と高齢化により、自治会等の地域住民の支え合いによる組織が弱体化し、地域コミュニティーを維持することが難しくなっているように思います。

 

 そこで、総務省として、そういった自治会等にデジタル化をしっかり進めて、デジタル技術を活用して、持ち回りの回覧板だとか、それをデジタル回覧板に移行したり、いろいろな会議をリモートでできるようにというふうな形で、デジタル技術を活用しての地域コミュニティーの再構築が必要だと思いますが、具体的にどのようなことを考えているのか、また、今どのようなことを進めようとしているのかにつきまして、お聞かせ願えますでしょうか。

 

○吉川(浩)政府参考人 お答えいたします。

 

 多くの自治会等におきまして、加入率の低下や担い手不足等の課題があるというふうに認識をしております。

 

 こうした認識の下で、総務省では、令和三年度に地域コミュニティーに関する有識者会議を開催いたしまして、昨年四月に公表されましたこの有識者会議の報告書の中では、市区町村が自治会等の地域活動のデジタル化に向け積極的に取り組むことが有効であるという御提言をいただいたところでございます。

 

 これを踏まえまして、昨年度は、自治体職員との意見交換会、説明会を実施したところでございますが、今年度につきましては、電子回覧板等の機能を有する地域交流アプリを約五十の自治会に活用していただき、その効果を検証する実証事業を行うこととしております。

 

 今後とも、地域活動のデジタル化を含め、自治会等の活動の持続可能性の向上に向けた市町村等による支援が進むこととなるよう、しっかり取り組んでまいります。

 

○輿水委員 どうもありがとうございました。

 

 私も、二期四年間、千三百世帯の自治会の自治会長もやらせていただいて、現場の苦労がよく分かっておりまして、一方で、その大切さもよく分かっておりまして、しっかりとしたデジタルを活用した支援も是非進めていただければと思います。

 

 以上で質問を終わります。大変にありがとうございました。