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第211回国会 環境委員会 第3号


○古賀委員長 次に、輿水恵一君。

 

○輿水委員 公明党の輿水恵一でございます。

 

 本日は、質問の機会をいただきましたこと、心より感謝を申し上げます。

 

 それでは、早速でございます、質問に入らせていただきます。

 

 初めに、グリーンライフポイントによる暮らしの脱炭素について伺います。

 

 グリーンライフポイントは、環境に配慮した日常の行動をポイント化することで、一人一人が環境問題を自分事とし、脱炭素に向けたライフスタイルへの意識を醸成しようとするものであります。

 

 日本の温室効果ガス排出源の六割以上が衣食住の分野と言われておりますけれども、私たちの生活の現場では、環境問題に関心はあるけれども、意識だけで、なかなか行動につなげられない人も多いのではないでしょうか。

 

 今後、衣食住の脱炭素を推進するためには、このグリーンライフポイント制度を自治体における永続的な取組として定着させることも必要かと思います。

 

 環境省では、グリーンライフポイントを付与する事業者や自治体の取組に対して企画、開発、調整等の費用を助成するなど、その導入に積極的に取り組んでまいりました。そこで、まず、現段階でのグリーンライフポイント制度の導入状況について、脱炭素への一人一人の機運の醸成の効果も含めてお聞かせ願えますでしょうか。

 

○松澤政府参考人 お答え申し上げます。

 

 先生御指摘のグリーンライフポイントの取組に対して企画、開発、調整の費用を助成する事業、これはグリーンライフポイント推進事業でございます。公明党の御支援をまさに受けて、やらせていただいたものでございます。消費者による環境配慮製品の購入ですとか消費行動にインセンティブをポイントによって付与しよう、こういう企業や自治体などの準備経費の支援を行ってまいりました。

 

 ポイントという分かりやすい形で行動の結果を見える化をしてインセンティブを付与することが消費者の環境配慮行動を促進する上で有効であることが、私ども環境省のナッジ事業により実証されております。

 

 これまで四十八事業で消費者へのポイント発行を実際に開始しておりまして、そのうち、お尋ねの、自治体が主体となっているもの、あるいは自治体との連携で地域に根差した取組をしているものが二十九事業ございます。

 

 これらの事業を通じて、例えば、地産商品の購入ですとか、プラスチック製カトラリーの受取辞退、未利用の食品の寄附、こういったところにインセンティブが付与されておりまして、全国各地で市民の多様な環境行動を後押しする基盤が整備されたというふうに私どもは考えております。

 

○輿水委員 どうもありがとうございます。

 

 このグリーンライフポイントへの助成の制度なんですけれども、三年間の継続が条件となっていると聞いておりますが、その後の継続を促すと同時に、まさにより多くの自治体への更なる拡大も大事であると私は考えております。このグリーンライフポイントを活用し、脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動につなげていくことも有意義かと思います。

 

 そこで、先進的に取り組んでいる自治体の事例を他の自治体に紹介をしたり、企業等が既に展開している脱炭素につながるポイントサービスとの連携を支援するなど、脱炭素への国民運動を巻き起こすために、環境省として積極的にグリーンライフポイントなどの制度の拡大に取り組むべきと考えますけれども、西村大臣のお考えをお聞かせ願えますでしょうか。

 

○西村(明)国務大臣 今、輿水委員から御指摘がございましたけれども、幅広い地域で持続的にグリーンライフポイントを活用するためには、既存のサービスなど、企業との連携を深めていくことも不可欠でございます。

 

 グリーンライフポイント推進事業においては、民間企業の既存のポイントシステムを活用する北九州市、また、飛騨地方限定の地域通貨、さるぼぼコインを提供する飛騨信用組合、こういったところなどを支援して、自治体と企業との連携を促してきたところでございます。

 

 また、御指摘にございました新しい国民運動につきましても、官民連携協議会などを通じて自治体と企業の連携を促しておりまして、グリーンライフポイント推進事業でサービス基盤を整備した民間企業が自治体との連携を進めているという動きも出てきております。

 

 今後も、地域の様々な主体間の連携を深めながら、より多くの自治体で、国民の環境に配慮した行動変容を促す、こういった取組を広めてまいりたいと考えています。

 

○輿水委員 是非よろしくお願いを申し上げます。

 

 続きまして、食品ロスの削減による脱炭素について伺います。

 

 食品ロスは、廃棄の段階で生じる環境への影響だけではなく、その生産過程で投入される資源の浪費にも着目する必要があります。具体的には、地域で消費される食品は、製造、加工、輸送、小売と各工程で資源が使われるため、廃棄する際の資源の浪費を考えた場合、環境への影響は少なくありません。

 

 日本では、まだ食べられるのに廃棄される食品、いわゆる食品ロスは約六百万トンと言われております。大切な資源の有効活用や環境負荷への配慮の面から、地域における食品ロスを減らす取組は大変に重要であると考えております。

 

 食品ロスに取り組む東京都江戸川区では、インターネット上で区内の飲食店や小売店が賞味期限の近い食品を出品し、区民らが手軽に購入できるサービス、「タベくるん」を昨年十二月から実施しております。お弁当屋さんやお菓子屋さんなど十八店舗が出品し、約二万三千人の利用者を集め、好評を得ていると伺っております。

 

 実際に、地域のパン屋さんでは、出品するとすぐに予約が入り、売り切れるほどの人気ぶりとのことです。店長さんは、これまでは捨てるしかなく、もったいないと思っていたが、発信する方法がなかったので、とても助かっている、そんなコメントも出しているところでございます。

 

 そこで、環境省の事業として、飲食店や小売店での、閉店の間際に残ってしまった料理や総菜等を消費者とマッチングさせるサービス、いわゆるフードシェアリングの展開を支援し、食品ロスの削減を推進することも大変に有意義かと考えますけれども、見解をお聞かせ願えますでしょうか。

 

○土居政府参考人 フードシェアリングは、飲食店や小売店における事業系食品ロスの削減のみならず、この仕組みを利用することを通じまして、消費者が食ロス削減に向けて行動を見直す契機になり得るというふうに認識しております。

 

 フードシェアリングの展開に当たりましては、ライフスタイルへの定着に向け、事業者による多様な取組事例、これを消費者に知っていただくということが極めて重要だというふうに考えております。

 

 環境省が実施します表彰制度におきまして、フードシェアリングに取り組む事業者が受賞した事例がございまして、食品ロス削減に向けた普及啓発の観点から、先導的な取組事例を発信してきたというところでございます。

 

 関係省庁、自治体とも連携をしまして、フードロス削減のモデル事業の先導的な取組を創出するとともに、ノウハウの蓄積、共有などを図って、フードシェアリングを含めました対策を強力に進めていきたいというふうに考えております。

 

○輿水委員 是非よろしくお願いを申し上げます。

 

 それでは、続きまして、カーボンフットプリントの普及による脱炭素について伺います。

 

 食品を始め全ての商品、サービスは、つくられてから捨てられるまでの過程を通じて多くのエネルギーを必要としています。そのエネルギーは、主に化石燃料から得られ、地球温暖化の原因となる温室効果ガスを大気中に排出をするものであります。

 

 ここで、カーボンフットプリントとは、これらの商品、サービスのライフサイクルの各過程で排出された温室効果ガスの総量をCO2量に換算して表示するものであり、このカーボンフットプリントにより、消費者は、購入や使用する際、CO2排出量等を確認することができます。

 

 環境省では、先ほどの大臣の御答弁にもございましたけれども、脱炭素に向けたライフスタイルの転換のうねり、ムーブメントを起こすことを目指して、脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動を進めております。

 

 そこで、環境省として、カーボンフットプリントの普及拡大に積極的に取り組み、脱炭素につながる新たな暮らしを支える商品やサービスを見える化し、国民一人一人の主体的な、脱炭素を意識した消費行動を促すことも必要かと思いますが、御見解をお聞かせください。

 

○山田(美)副大臣 お答え申し上げます。

 

 御指摘のカーボンフットプリントは、消費者が脱炭素、低炭素な製品やサービスを選択する上で必要な情報を提供する有効な手法と認識しております。

 

 環境省は、製品のライフサイクルを通じたCO2排出量の算定に取り組む企業を支援するモデル事業を実施いたしまして、その成果も踏まえて、カーボンフットプリントガイドラインを経済産業省と共同で作成し、先週公表いたしました。今後、モデル事業の成果を踏まえた実践的なガイドを公表予定としておりまして、これらの周知を通じて、カーボンフットプリントの普及を促進し、製品やサービスのCO2排出量の見える化を進めてまいります。

 

 さらに、こうした製品やサービスを積極的に選んでいただけるように、新しい国民運動において、消費者へのインセンティブ付与ですとか情報発信などの取組を官民連携で進めることで、消費者の行動変容を強力に促してまいりたいと考えております。

 

○輿水委員 どうもありがとうございます。積極的な御答弁、本当にありがとうございます。

 

 それでは、続きまして、株式会社脱炭素化支援機構の出資による脱炭素について伺います。

 

 株式会社脱炭素化支援機構は、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向け、脱炭素に資する多様な事業への呼び水となる投資支援で、経済の活性化や地方創生など、新たな価値の創造に貢献しようとする機関でございます。

 

 ここで、株式会社脱炭素化支援機構の支援の在り方について、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現という目的の達成を重視し、出口戦略を明確に持っている計画や事業者を重視するべきであると私は考えております。今までにないすばらしい技術の開発に取り組むという開発者目線だけではなく、将来の地域はこのように変えるという明確なビジョンを描ける計画や事業を支援することが重要であると思います。

 

 そこで、株式会社脱炭素化支援機構は、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けた投融資先を決定する上で、その出口戦略や社会実装ビジョンの重要性についてどのように考えているのか、また、どのように進めようとしているのかについてお聞かせください。

 

○白石政府参考人 お答え申し上げます。

 

 議員御指摘のとおり、株式会社脱炭素化支援機構、通称JICNによります投融資先の決定におきまして、各事業の出口戦略それから社会実装のビジョンは非常に重要な要素の一つであると認識してございます。

 

 そのため、JICNにおきましては、支援決定を行うに当たって、環境大臣が定めた支援基準に基づきまして、温室効果ガスの削減効果あるいは社会経済の発展への貢献などの政策的な意義、それから、事業スキーム、体制や資金回収の方法などの収益性に加えまして、議員御指摘のとおり、各事業が持ちます出口戦略あるいは社会実装に当たりますまさにビジネスモデルの確立それから普及拡大などへの貢献、こういった観点から多面的な視点で審査を行うということにしてございます。

 

 一例で、先日JICNが公表いたしました支援先の一つとして、WOTA株式会社というところがございますが、小規模分散型水循環システムの開発と販売を手がけてございまして、水インフラの脱炭素化に加えて、過疎地域、離島等における水資源問題の解決への貢献、さらに自治体とも連携した社会実装に向けた具体的な計画が立てられているということを踏まえて支援決定に至ったものだと認識してございます。

 

 今後とも各事業の出口戦略、社会実装のビジョンなどの精査を含めて審査を進めることによりまして、脱炭素化に向けた産業構造や経済社会の変革、強靱で活力ある地域社会の実現に貢献する事業に対して積極的に支援することを期待しているところでございます。

 

○輿水委員 ありがとうございました。

 

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。