第208回国会 地方創生に関する特別委員会 第3号


○石田委員長 次に、輿水恵一君。

 

○輿水委員 公明党の輿水恵一でございます。

 

 本日は、質問の機会をいただきまして、大変にありがとうございます。

 

 それでは、早速ではございますけれども、質問に入らせていただきます。

 

 デジタル技術の活用によって転職なき移住を実現し、地方への新たな人の流れを創出することで持続可能な地域を実現することは、地方創生またデジタル田園都市国家構想の一丁目一番地であると思います。

 

 そこで、まず、デジタル田園都市国家構想交付金地方創生テレワークタイプについて伺います。

 

 この交付金は、サテライトオフィス等の整備や運営、利用促進等の事業において、自治体に加えて民間企業の取組に対しても活用できるものであります。この交付金には、補助率四分の三の高水準タイプと補助率二分の一の標準タイプがあり、また、自治体運営施設整備と民間運営施設開設支援がありますが、サテライトオフィスを展開するそれぞれの現場ではどのように使い分けておられるのか、また、その具体的な事例も含めてお聞かせいただきたいと思います。

 

 あわせて、この交付金につきましては、施設整備や運営以外のソフト経費や、進出企業の定着や地域の活性化の支援にも活用できると伺っておりますが、具体的にどのような事業が進められているのか、また進めようとしているのかについてお聞かせください。よろしくお願いいたします。

 

○新井政府参考人 お答えいたします。

 

 令和三年度補正予算におきまして、デジタル田園都市国家構想推進交付金二百億円を措置し、サテライトオフィス整備等に取り組む地方公共団体を支援する地方創生テレワークタイプを設けたところでございます。

 

 本タイプにおきましては、県外から誘致する企業数ですとか移住者数などにつきまして、高い目標を設定しているものにつきましては補助率四分の三の高水準タイプ、それ以外のものについては標準タイプといたしております。

 

 また、対象事業といたしましては、先生御指摘のとおり、地方公共団体が自ら運営、整備する施設に加えまして、民間企業等が運営する施設に対する開設支援も対象といたしております。

 

 例えば、具体的には、先生御地元の埼玉県の横瀬町でございますけれども、高水準タイプといたしまして、旧JAの施設、それを改修いたしまして、民間企業等が運営するサテライトオフィスの開設支援に取り組んでいるところでございます。また、山梨県の北杜市でございますけれども、こちらは、市内の図書館を改修いたしまして、市自らが運営する施設を整備しているところでございます。

 

 また、先生御指摘のソフトの支援でございます地方創生テレワークタイプでございますが、施設整備ですとか運営の取組に加えまして、広報経費ですとか説明会、ビジネスマッチング、そういったソフト経費につきましても支援の対象といたしております。先ほど御紹介いたしました山梨県の北杜市の事例でございますが、施設のプロモーションのためのウェブサイトや動画制作、そういった取組も進めているところでございます。

 

 また、今年度から新しく、進出企業の定着や地域活性化を図るため、サテライトオフィスに進出した企業と地元の企業等が連携して行う地域資源を活用した取組を支援する事業を追加いたしております。対象事業といたしましては、例えば、地元の学校と連携いたしましたプログラミング教室ですとか、あと、地元の食品資源、地域資源を活用いたしました新商品開発ですとか、脱炭素の再生可能エネルギーを通じた地域活性化ですとか、そういったものを想定いたしております。

 

 引き続きまして、本交付金を地方公共団体の皆様方に積極的に活用いただくことで、地方から新しい人の流れを創出し、転職なき移住の実現を推進してまいりたいと考えております。

 

○輿水委員 どうもありがとうございました。

 

 地方の既存の施設を有効に活用していく、また、そこに入られた企業が地元の企業と連携をして新しい価値を創造していく、まさに是非この取組が更に進むように私も応援をさせていただきたいと思います。ありがとうございます。

 

 続きまして、企業版ふるさと納税等を活用したサテライトオフィスの整備について伺います。

 

 企業版ふるさと納税は、国が認定した地方公共団体の地方創生プロジェクトに対して企業が寄附を行った場合に、法人関係税を税額控除し、企業の実質負担が一割程度まで圧縮される仕組みとなっております。この制度を活用してサテライトオフィス等の整備を進めることも大変に有意義なことであると思います。

 

 また、実際に地方に移住して働くためには、サテライトオフィスの整備と同時に、働く方の居住施設の確保も必要かと思いますが、企業版ふるさと納税を活用し、具体的にどのような取組がなされているのか、お聞かせください。

 

○北浦政府参考人 お答えいたします。

 

 地方創生の推進に向けて、地方公共団体において、企業版ふるさと納税による寄附を活用し、御指摘の移住、定住の促進やサテライトオフィスの整備を図る事業など、幅広く取り組まれていると承知しております。

 

 移住、定住の促進を図る事業としましては、具体的には、移住者等の住居として活用することを目的として空き家の改修を図る事業、当該住居の賃借料や購入費等に対して助成を行う事業などが挙げられます。このような取組をサテライトオフィスのコワーキングスペース等の整備、借り上げ等と併せて地方公共団体が進めることにより、企業にお勤めの方を含め、地方への人の流れがより進むことが期待されるところであります。

 

 御指摘の、移住促進に向けた働く場と住居の確保の組合せの意義を含めて地方への周知を今後とも進め、企業版ふるさと納税等を活用してサテライトオフィスの整備等の促進を図ってまいります。

 

○輿水委員 ありがとうございます。

 

 先ほどの交付金と併せてこの企業版ふるさと納税をうまく組み合わせていただきながら、さらに、住まいという形も、地域のそういった空き家等もうまく活用していただきながら、新たな取組を進めていただければと思います。よろしくお願いいたします。

 

 そして、続きまして、地方創生推進交付金についても伺います。

 

 デジタル技術等を活用して、地方における安定した雇用の創出、また、地方への新しい人の流れ、また、地域の活性化を目指した先駆性のある取組を支え、支援すると同時に、優良事例の横展開を目的とするこの交付金でございますけれども、ここで、デジタル田園都市国家構想交付金の先ほどのデジタル実装タイプによる先進的な事例の推進と、この地方創生推進交付金の先駆性タイプによる事業の推進について、現場ではどのように使い分けられているのか、また、組み合わせて活用されているのか、具体的な事例も含めてお聞かせ願えればと思います。

 

 また、あわせて、デジタル田園都市国家構想を推進するために、今後は、優良事例の横展開について、特にどのような取組がどのような事業推進主体の下で進められようとしているかについてもお聞かせ願えますでしょうか。よろしくお願いいたします。

 

○新井政府参考人 お答えいたします。

 

 デジタル田園都市国家構想推進交付金デジタル実装タイプでございますが、デジタルを活用いたしました地域の課題解決等に向けまして、既存の優良なサービス、モデルを活用して迅速な横展開を行う地方公共団体の事業を支援するものでございまして、令和三年度の補正予算で措置された施策でございますので、単年度に限って支援を行うものでございます。

 

 これに対しまして、地方創生推進交付金でございますが、こちらにつきましては、地方公共団体が地方版総合戦略に基づきまして先導的な事業を複数年度にわたり支援するものでございまして、令和四年度からは、新たに行われる事業につきまして、デジタル技術の活用等を要件とする等の見直しを行っているところでございます。

 

 地方公共団体におかれましては、このような対象事業などの違いを前提としまして、それぞれの実情に応じまして両者を使い分けて活用いただきたいと考えております。

 

 具体的な事例でございますけれども、例えば群馬県でございますが、地方創生推進交付金の先駆タイプを活用いたしまして、県がイノベーションの交流拠点を構築した上で、先端的なICT技術の活用を進める民間企業と県内の市町村のビジネスマッチングを行うなど、先導的な事業に令和二年度から取り組んでいるところでございます。

 

 引き続きまして、地方創生の現場におきましては、地域の実情やニーズに合わせて用意した支援策を活用いただき、地域課題の解決や魅力向上など、地方創生の実現に向けて取り組んでいただきたいと考えております。

 

○北浦政府参考人 お答えいたします。

 

 デジタル田園都市国家構想を推進するとの観点から、地方創生推進交付金等の地方創生関係交付金につき、令和三年度補正予算及び令和四年度当初予算案において、新規事業を対象といたしまして、デジタル技術の活用等の取組を事業内容に含めることを原則とすることなどの変更を行ったところであります。

 

 次に、事業の例といたしまして、地方創生関係交付金を活用した地方公共団体の事業内容は幅広く、デジタル技術の活用やその普及等の取組といたしましても、創意工夫ある多様なものが期待されるところであり、例えば、アプリの開発や地域通貨の導入など、デジタル技術の活用による観光周遊の促進を図る取組、ECサイトの構築、活用により地元農産物の販路拡大を図る取組、栽培技術体系の開発実証を行うICTを活用した次世代ハウスの整備といったような事業が、地方公共団体による場合のほか、地方公共団体と民間事業者との連携により形成された推進主体により進められることを想定しておるところでございます。

 

 なお、横展開につきましては、従来より、地方創生関係交付金を活用した特色ある事業等を毎年度取りまとめた上で、地方公共団体に対して提供するなどの横展開を図る取組を行ってきているところでございます。

 

 デジタル技術の活用やその普及等の取組を含めた先導的な事業に関しましても、今後、機会を捉えて地方に紹介するなどにより、本交付金の活用を通じた地方の課題解決のためのデジタル技術の活用等の進展を図ってまいります。

 

○輿水委員 どうもありがとうございました。

 

 まさに、地方創生推進交付金は、中長期的な展望に立った、そして安定的に進めながら、デジタルの国家構想の交付金をうまくその年度ごとに活用しながら地域のデジタル化を推進していく、しっかり進めていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

 続きまして、ローカル一万プロジェクトについて伺います。

 

 このプロジェクトは、産学金官の連携により、地域資源と資金を活用して、雇用吸収力の大きい地域密着型事業の立ち上げを、地域経済循環創造事業交付金と地域の金融機関の融資と自己資金等で行うものであります。

 

 支援の対象といたしましては、地域資源を生かした持続可能な事業、行政による地域課題への対応の代替となる事業、高い新規性やモデル性のある事業、地域の中核となる大学と連携して実施する事業に対する設備整備、あるいは機械整備、また備品費となっておりますが、そこで、このローカル一万プロジェクトにおいて、デジタル技術を活用して、雇用吸収力の大きい地域密着型事業の立ち上げについて、具体的にどのような成功事例があるのかについてお聞かせ願えますでしょうか。

 

○馬場政府参考人 お答えを申し上げます。

 

 今お話ございましたローカル一万プロジェクトでございますが、地域の資源と資金を活用した雇用吸収力の大きい地域密着型事業の立ち上げを支援するものでございまして、民間事業者に対しまして自治体が助成する経費を国費により支援をしているものでございます。

 

 本プロジェクトにおきましては、デジタル技術を活用した事業の立ち上げについても支援をしてきたところでございます。

 

 例えばでございますが、岩手県久慈市におきまして、ICTを活用して、ハウス内の環境を監視制御するシステムを導入し、菌床シイタケ栽培を行う事業でございますとか、岡山県新見市におきまして、廃校を改修し、コンピューター制御により水分管理等が可能な栽培室を整備をいたしまして、キクラゲの通年菌床栽培を行う事業などを採択をしてきているところでございます。

 

 また、生産性向上に資するデジタル技術の活用に関する事業であって、新規性、モデル性の高い事業につきましては、令和四年度におきましても引き続き重点支援の対象といたしておりまして、原則二分の一としております国費による補助率でございますが、十分の十とすることで取組を強力に推進をしていくこととしております。

 

 引き続き、本プロジェクトを十分に活用いただけますように、積極的な周知を行いますとともに、優良事例の横展開に努めつつ、デジタル技術を活用した事業の立ち上げを支援をしてまいりたいと考えております。

 

○輿水委員 どうもありがとうございました。

 

 まさに地域の資源や特色を生かして新しい産業を創出し、デジタルの力で創出をしていただくということでよろしくお願いをいたします。

 

 続きまして、地方へのサテライトキャンパス設置等に関するマッチング支援事業について伺います。

 

 東京圏の大学の地方におけるサテライトキャンパスの設置は、学生の地方定住促進、また、新たな地域の拠点の確立、また、地域における新たな産業の創出など、地方創生にとって大きな効果が期待されるところであります。

 

 そこで、サテライトキャンパスの設置の推進に当たって、今回、どういった理由からマッチングという手法を用いることにしたのか、また、本支援事業を活用することでサテライトキャンパスの設置がどの程度進むとお考えなのか。地方創生の推進との関係性を踏まえ、御見解をお聞かせください。

 

○渡邉(そ)政府参考人 お答えいたします。

 

 マッチング事業についての御質問ということでございますが、先生御指摘のとおり、東京圏の大学の地方におけるサテライトキャンパスの設置は、若者の地方定着の促進など、地方創生にとって大きな効果が期待されるというふうに考えております。

 

 しかしながら、自治体側に、例えば大学の誘致に関しましてのノウハウがないこと、それから、東京圏と申しましても、どんな大学がどこにあるのかといったこと、それから、大学自身にもいろいろな自治体との接点が少ないといったようなことが課題として指摘されるところでございます。

 

 このため、内閣府では、有識者会議の御意見などを踏まえながら、大学誘致を希望する自治体と大学のニーズを把握した上で、マッチングという手法を取り、支援するポータルサイトの構築、運用などを、運用は令和二年からということで開始しております。

 

 どの程度進むかという御質問でございますが、学部等の大規模な誘致が直ちに実現するというのはなかなか難しいのでございますが、大学が地方にフィールドワークの拠点を設けるなどの連携から始めていくことで誘致の可能性が広がると考えておりまして、内閣府として、引き続き自治体の取組を支援してまいりたいと思っております。

 

 以上でございます。

 

○輿水委員 どうもありがとうございました。

 

 東京圏の大学が地域で、デジタルの農林水産業とか、現場でそういった技術を生かしながら進めていくようなことも是非今回進めばいいのかなというふうに期待をしておりますので、よろしくお願いいたします。

 

 続きまして、地域課題解決のためのスマートシティー推進事業について伺います。

 

 この事業は、クラウド型地域情報プラットフォーム等の構築により、地域が抱える災害、見守り、買物支援など、様々な課題をデジタル技術やデータの利活用によって解決することを目的とするものでございますが、私はこの取組につきましても積極的に全国展開を進めていくべきと考えます。

 

 そこで、今後全国的に横展開を進めようとしている事業について、具体的にどんなものがあるのか等についてお聞かせ願えますでしょうか。

 

○井上政府参考人 お答え申し上げます。

 

 先生御指摘の総務省の事業、これは、データ連携基盤の整備を伴いますスマートシティーサービスの導入を支援しておりますけれども、さいたま市美園地区の健康増進の取組など、進めていただいております。

 

 先生がおっしゃる横展開は極めて重要でございまして、私たちも取組を進めております。

 

 実は、先生御指摘の事業のほかに、政府に、四府省、五事業、スマート事業関連の事業がございます。実は、全ての事業において横展開は極めて重要でございまして、昨年より内閣府の方で、この五事業全て、公募から審査、採択まで、全て一体的に合同で行っております。

 

 それで、情報も共有した上で先行事例の横展開を図ろうとしておりまして、例えば、兵庫県加古川市の見守り……

 

○石田委員長 答弁は簡潔にお願いいたします。

 

○井上政府参考人 分かりました。

 

 高松市の取組などを横展開しております。

 

 そのための先行事例を取りまとめましたガイドブックを作成したり、地方自治体を含みますプラットフォームをつくったりしながら進めてまいっているところでございます。

 

○輿水委員 どうもありがとうございました。

 

 以上で質問を終わります。