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第208回国会 予算委員会公聴会 第1号


○根本委員長 次に、輿水恵一君。

 

○輿水委員 公明党の輿水恵一でございます。

 

 今日は、本当に貴重なお話を聞かせていただき、心より感謝を申し上げます。また、このように質問をさせていただくことに重ねて感謝を申し上げます。

 

 先ほど、大槻公述人の方から、本当に、企業物価指数が上がる中でなかなか景気が回復しない、また、様々なインフレ傾向のある中で賃金も上昇しない、こういった非常に厳しい状況に置かれている。あるいは、少子高齢化、人口減少、またGDPの伸び悩みと、そんな中で、これからどうそれを回復していくのか、大事な課題があると思います。

 

 そんな中で、大槻公述人の方から、最後、今後求められる施策と期待ということで、私も、まさに自分への投資というか学び直し、人のアップグレード、あるいは、自分で起業できるような力を持ちながら一人一人が創造力を持って、持てる可能性を国民がどう発揮してこれらを解決していくのかなということは本当に大事だなと思いました。

 

 そんな中で、先ほど川口公述人から、EBPMのお話をいただきました。私も、これから、人のアップグレードと、そのアップグレードのためには、デジタル化という新しい流れの中でどういう政策をそこに打ち出すのか。そういう面では、後ほど、デジタル化と人のアップグレードに向けてのターゲティングとかプログラミングについてどのように考えているのかなどということをまた聞かせていただきたいなと思っている。

 

 一方で、また、小黒公述人、GDPのアップとか医療費のという、そのGDPをアップする上で、やはり、かつて日本人がしっかり働いていたというか、あの時代というものをどういうふうに実現していくか。そういった中で、私も、本業と副業というか、自分の持っている仕事をやりつつ、デジタル化ということで、それと併せて、例えば、時間的、空間的な、そういった制約が大分軽減されるという中で、空いた時間をいかに新たな生産的な活動に持っていき、GDPを上げるか。こんな点についてどのように考えているかについて、後ほどお話を聞かせていただければと思います。

 

 また、原公述人からは、本当に、やはり物事を具体的に、発言する前にしっかり調査をして、そして、皆様が本当に持っている能力を、官僚の皆さんもどう引き出していただいて本来のあるべき仕事をしっかり進められるようにするか、大事なお話をいただきました。ありがとうございます。そういった中で、またいろいろお話を伺えればと思います。

 

 そういった流れの中で、まず、大槻公述人に伺いますけれども、人の可能性をしっかり伸ばしていく、これは、まさに人間が、特化型から、複数のことができるというか、そういう形のアップグレード、またそういう社会をつくっていく、またそういう文化をつくっていくということも必要なのかなと思いますけれども、この点についての見解をお聞かせ願えますでしょうか。

 

○大槻公述人 ありがとうございます。

 

 まさに私も同じことを考えておりまして、クリエーティビティー、創造性ということがないと、恐らくは今から、先ほども述べましたように、ルーティンはもうやれる機械がありますから、そうすると、我々に求められるクリエーティビティーがどういう形で生まれるか。これについてはいろいろな研究などもされていますけれども、やはり、御指摘いただいたように、ダイバーシティーで、自分がいろいろなことをやったりとか、あと、いろいろな違う人からの意見とか、気が合わない人と話すことによって生まれていく、そういう新しい形の教育というのが重要なのではないかなと思っています。

 

 ただ、もう一つ問題は、クリエーティビティーが生まれて何かいいアイデアを出したとしても、それが報われて世の中に出てくるかどうかというのが、もうワンステップあるかと思います。それが、先ほど申し上げましたように、ベンチャーがいかに世の中で認められ、マネタイズというか、事業化できるかということは、日本においては、恐らく、大企業がこれだけ安定的に多く存在していますので、そことのコオペレーション、協業ということが必要になるんじゃないかなと思っています。

 

 ありがとうございます。

 

    〔委員長退席、葉梨委員長代理着席〕

 

○輿水委員 ありがとうございます。

 

 まさに、日本の企業のその六十年、でもアメリカは三十年ということで、そういう新陳代謝、あるいは企業の体質の改善も含めながら、一人一人のクリエーティビティーがどう生かせるか、そういった構造改革も必要なのかなということで、ありがとうございます。

 

 そして、続きまして川口先生に、先ほど川口先生も、まさに企業の持っている可能性とか健全性、そういったものをどう生かせるか。そこには、私は、人も、ダイバーシティーとか、多様性も必要、企業も、自分が今までやってきた職種、業種と併せて、他とのコラボレーションの中で新しい価値も創造できる。そしてそこを、デジタル化も含めながら、企業も成長して人も成長していく。そういう新たな政策というか、先生は今、コロナとか、あとは山梨の取組、そういったもののやった評価をしていただいたんですけれども、今後進めるべきものについてのそういったターゲティングだとかプログラミング評価ということも必要かと思うんですけれども、このデジタル化、あるいは企業の体質転換等に向けてのそういった考えの下で、ターゲットとかプログラムというのはどのように考えればいいのか、お聞かせ願えますでしょうか。

 

○川口公述人 御質問ありがとうございます。

 

 企業に対してどのような政策を打っていくべきなのかということに関しては、難しい問題だと思いますけれども、東京商工リサーチのデータを使った研究の中で明らかになってきているのは、取引先企業が多い企業、こういったところの方が成長の機会が多いというようなことが分かっておりまして、コロナ禍の中で人と人とが会うことが難しくなっていく中で、新たなビジネスとビジネスの出会いみたいな機会が減っていることも懸念されるわけで、そういった機会をまた取り戻していくといったような政策というのも必要になってくるのかなというふうに思います。

 

 また、地方の金融機関を通じて、これが合併するような流れというのがあると思うんですけれども、そういった金融機関を通じて、またビジネスとビジネスが新たなつながり方をしていくといったようなことを促進していくといったようなことも必要なのかなと思います。

 

 また、今御指摘いただきましたように、企業の中で大切なのはやはり人材ということになると思いますので、ここの部分の投資をいかに促進していくのか。企業にとっては、難しい問題があるのは、デジタル化が進んで人のスキルが一般化していく、あるいはモジュール化していくに従って、企業が人材投資をしてもその果実が他の企業に漏出してしまうという問題がどうしても出てくるわけですね。ですので、労働者が自分自身でファイナンスをしてスキル投資をする必要が出てくる、こういう社会に、デジタル化というのはそういうことを意味する変化だというふうに考えられます。

 

 このときに、若い労働者で、十分にお金がないんだけれども自己に投資をしたいという人々がいる場合に、今までは、大企業でしたら会社の負担でそれを行っていたわけですけれども、それができなくなってくるということを前提にして、この人たちのファイナンスをどういうふうに保っていくのか、こういったことを考えていく必要もあるのかなというふうに思います。

 

 ありがとうございました。

 

    〔葉梨委員長代理退席、委員長着席〕

 

○輿水委員 どうもありがとうございます。

 

 まさに、一人一人にどうやってしっかりとした投資ができるのか、その可能性を伸ばせるのか、その辺の視点を持って政策をどう進められるかなということも今後しっかりと議論をさせていただければと思います。

 

 そして一方で、そういった、人への投資が最終的にはGDPのアップにつながる、そういった、時間と同時に人への投資を含めたGDPのアップ策について、小黒先生、どのようにお考えか、お聞かせ願えますでしょうか。

 

○小黒公述人 輿水先生、ありがとうございます。

 

 労働時間で空いている時間について、副職という言葉がございますけれども、私、先ほど資料の方で、お配りさせていただいた資料の中に、「日本経済の再構築」という本を二〇二〇年三月に出しております。この中では、サブではなくてマルチという意味での、複数の複職ですね、こういったものをやはり権利として認めていただく、推進していただくことによって、労働者が空いている時間で別の仕事もしやすくする、こういうことによってGDPを増やしていくということも一つ重要なのかなと。

 

 また同時に、これが賃金の上昇にも結びつくと思ってございまして、これは私よりも先ほどの東京大学の川口先生の方が専門だと思いますけれども、よく経済学の実証分析で、転職しやすい国々の方が賃金が上昇しやすくなるというふうな話もございます。ですので、複職を幾つか持っていれば交渉力も高まりますので、そういったことによってGDPを増やしていく、スキルもためていくというようなこともできるんじゃないかというふうに思ってございます。

 

○輿水委員 どうもありがとうございます。

 

 本当に、世界デジタル化という中で、一人一人の働き方とか、時間とか、様々変化していく、その変化にどうやってこの社会、日本も変革していくのか。そこで新しい文化とか働き方が生まれて、日本の新しい豊かな未来が開けるのかななんて、そのように感じているところでございますが、まさにその日本のデジタル化の欠点が、デジタル人材がIT企業にほとんど偏在しているとか、首都圏にいる、偏在している、こういった中で、現場になかなかデジタル人材がいない。一方で、今までの日本だと、デジタル人材がいないんだったら外注に頼もうとか、外にお願いする。でも、それだと今の人材育成にならない。

 

 今いる社員が、また職場の一人一人がデジタルを学んで、自分でその現場でデジタルを生かして業務を効率化したり新しいものを創造できる、そんな社会も必要かと思うんですけれども、そのデジタル人材を、外からお願いするとか外注委託じゃなくて、現場で育成していくためにはどのような取組が必要なのかについて、短めに全ての公述人の皆様にお聞きしたいと思いますので、大槻先生から、原先生、川口先生、小黒先生と、よろしくお願いを申し上げます。

 

○大槻公述人 職場でのリスキリングという意味では、今はツールがいろいろございますから、私も実は五十を過ぎてからPythonをやりましたので、そういうことは十分あると思いますが、個人的に今問題だと思っているのは、人材として海外の優秀なIT人材、トップレベルの方々をなかなか採用できない。なぜならば、御存じのとおり、給与のレベルが日本と海外で大きく差がついてしまっていて、なかなか来てくれなくなっている。

 

 ここについては、やはり企業の側での努力が必要で、そういった異能というか特異な才能を持っている方々に対しての硬直的ではない給与の在り方というのが必要なんじゃないかなと思います。

 

○原公述人 ありがとうございます。

 

 まず、リカレント教育、これは大変重要だと思います。それから、いわゆる日本型雇用慣行で、社内に閉じて人材を育成しているというだけでは限界があるということで、これも政府で取り組まれていることですが、ジョブ型への切替えなども含めた政策が必要だと思います。

 

○川口公述人 御質問ありがとうございます。

 

 今、私、人材派遣の会社と共同研究をしておりまして、派遣先がサーバーの管理とかをするような、そのサーバーを管理するような人材を派遣している会社なんですけれども、そういった意味でちょっと利益相反があるかもしれないですけれども、しない範囲で私が感じたことを申し上げると、ビジネスモデルは、初心者の方を雇って二か月ほどトレーニングして、それで資格を取ってもらって、その後派遣するという形になっているんですね。

 

 これが普通の学校とちょっと違うなと思ったのは、このカリキュラムの二か月の間で十分に人材育成できないとビジネスにつながらないということで、あと、職業紹介の部分も同時に張りついているという形になっていて、どうも見ている範囲だと、うまくビジネスが回っているようにも見えます。それで、何年かすると、社員の方は辞めていって、恐らく直接雇用などに移行しているのではないかと思うんですけれども、ここはデータがないから分からないんですけれども。

 

 そういった意味で、様々な形の、学校以外の形の人材育成というビジネスモデルがあり得て、そこをやることが実を言うとビジネスとしても成功し得るというような余地があるわけですね。今、本当に人材が不足しているので、そこの部分を民間企業がやることによって、ビジネスを行うことができて、かつ効率性も上げることができる、こういった視点というのも人材育成の中には必要なのかなと今思っておるところです。

 

 ありがとうございます。

 

○根本委員長 小黒公述人、大変恐縮ですが、時間が経過しておりますので、手短にお願いします。

 

○小黒公述人 ありがとうございます。簡潔に。

 

 日本以外の国で幾つか取っている国があるというふうに聞いているんですけれども、コア人材を増やすという意味で、大手以外のところにいろいろなIT系の発注を例えば政府であるとか自治体がしていくということによって裾野を増やしていくというような方策もあるんじゃないかと思ってございます。

 

○輿水委員 どうもありがとうございました。以上で終わります。