· 

第208回国会 総務委員会 第2号


○赤羽委員長 次に、輿水恵一さん。

 

○輿水委員 公明党の輿水恵一でございます。

 

 本日は、質問の機会を与えていただきまして、心より感謝を申し上げます。

 

 それでは、早速質問に入らせていただきます。

 

 金子大臣は、社会のデジタル変革を加速させ、活力ある地方をつくると力強く所信で表明をされました。まさに今、社会のデジタル化への流れが加速する中、あらゆる場面で誰一人残されないデジタル社会の実現は大変に重要な課題であると思います。

 

 そこで、改めて、総務省として地方自治体のデジタル化の必要性と課題についてどのように認識されているのか、お聞かせください。

 

○田畑副大臣 輿水委員の質問に御回答させていただきます。

 

 本格的な人口減少社会を見据え、自治体の業務の在り方そのものを刷新することが必要であり、地方自治体のデジタル化を推進する意義は大変大きいと考えてございます。

 

 また、今般の新型コロナウイルス感染症対応において、行政のデジタル化について、一つに、行政の情報システムが国民視点で十分に構築されていなかったこと、二つに、国、地方公共団体を通じて情報システムや業務プロセスがばらばらで、地域、組織間で横断的なデータの活用が十分にできないことなどの課題が明らかになりました。

 

 そのため、総務省では、令和二年十二月に策定をいたしました自治体DX推進計画に基づき、地方自治体における情報システムの標準化、共通化、また、行政手続のオンライン化などを支援をしてまいります。

 

 以上です。

 

○輿水委員 どうもありがとうございます。

 

 少子高齢化や人口減少の進展により、あらゆる現場で人手不足が叫ばれる中で、持続可能な公共団体構築のためには、コンパクトな組織で多種多様なサービスを自在に提供できるデジタル化が不可欠であると思います。迅速かつ的確な地方公共団体のデジタル化をよろしくお願いを申し上げます。

 

 さて、令和三年に成立いたしました地方公共団体情報システムの標準化に関する法律、いわゆる標準化法は、情報システムを統一することで住民の利便性の向上及び地方公共団体の行政運営の効率化に寄与する事務について、ガバメントクラウド等の活用を義務づけています。一方で、憲法には、地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有するとされており、その自主自立性がうたわれております。つまり、地方公共団体には、住民のデータを主体的に管理し、そして住民の多様なニーズに応えられるデジタル化が求められていると思います。

 

 そこで、地方公共団体のシステムの自主自立性と、デジタル庁が進めようとしている標準化の両立についてどのように考えているのか、お聞かせ願えますでしょうか。

 

○吉川政府参考人 お答えいたします。

 

 デジタル社会形成基本法第十四条では、地方公共団体は、デジタル社会の形成に関し、その地方公共団体の区域の特性を生かした自主的な施策を策定し、及び実施することと規定されており、委員御指摘のとおり、デジタル化に当たっては、地方公共団体には、住民データを主体的に管理し、住民の多様なニーズに応えていくことが求められているものと認識しております。

 

 地方公共団体の情報システムの標準化、共通化は、各地方公共団体におけるシステム改修や維持管理に係る負担の軽減を図るとともに、地方行政のデジタル化の基盤となり、住民の利便性の向上や行政運営の効率化に資するものでございます。

 

 また、標準化、共通化の対象事務につきましては、政令で二十の事務を定めておりますが、これらは各地方公共団体において事務処理の内容が共通しているものに限定しておりますことから、標準化、共通化は地方の自主性、自立性を損なうようなものではないと考えております。

 

 今後とも、標準化、共通化の取組を進めていくに当たりましては、地方自治の本旨を尊重し、自治体の御意見も丁寧に伺ってまいります。

 

○輿水委員 どうもありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 

 続きまして、地方自治体のデジタル化におけるマイナンバーカードの位置づけについてお伺いを申し上げます。

 

 マイナンバーカードの機能は大きく三つあります。一つ目は、顔写真つきの身分証明書、二つ目が、自分のマイナンバーが裏面を見れば確認ができる、そして三つ目が、カードに組み込まれたICチップを活用してオンラインでの公的個人認証ができることでございます。

 

 茨城県つくば市では、二〇二一年から、スマートフォンとマイナンバーカードがあればオンラインで転出手続ができるようになりました。このサービスは、クレジットカード決済による手数料振り込みまで完結をするものでございますが、二〇二一年三月には、二百五十六件の転出手続がオンラインで完結したとのことでございます。

 

 このように、このマイナンバーカードの公的個人認証を活用して地方公共団体では独自のサービスの展開が可能となり、行政の効率化と利便性の向上が期待されるところでございますが、地方公共団体におけるマイナンバーカード、デジタル化におけるマイナンバーカードの位置づけについてどのようにお考えなのか、お聞かせください。

 

○吉川政府参考人 マイナンバーカードの機能につきましては、委員御指摘のとおりでございまして、行政手続のオンライン化など、地方公共団体のデジタル化においても非常に重要な役割を担うものと考えております。

 

 昨年十二月に閣議決定されましたデジタル社会の実現に向けた重点計画におきましても、原則、全ての地方公共団体で、特に国民の利便性向上に資する行政手続について、マイナポータルからマイナンバーカードを用いたオンライン手続を可能にするとされているところでございます。

 

 御指摘の転出手続につきましては、つくば市を始め一部の市区町村において、マイナンバーカードを用いたオンラインでの手続が可能となっております。また、昨年成立いたしましたデジタル社会形成整備法により、令和四年度中に、全ての市区町村において、マイナンバーカード所有者がマイナポータルからオンラインで転出届と転入予約を同時に行えるようになる予定でございます。

 

 総務省といたしましては、こうしたマイナンバーカードの利活用を所管するデジタル庁など関係省庁と連携しながら、カードの一層の普及に取り組んでまいります。

 

○輿水委員 どうもありがとうございます。

 

 次に、ちょっと素朴な質問でございますが、マイナポイントの給付金としての活用の可能性について伺います。

 

 現在、保険証や公金受取口座のマイナンバーカードのひもづけにより、マイナポイントがそれぞれ七千五百円分付与される事業が進められております。このマイナポイントは様々な電子マネーとして使えるものであり、ここで、給付金の給付において少しでも地方公共団体の事務負担を軽減し、受け取る側も速やかに受け取れる給付を実現するために、マイナポイントを給付として活用できる可能性はあるのかどうなのかについて伺います。

 

○馬場政府参考人 お答え申し上げます。

 

 マイナポイントは、マイナンバーカードによる本人確認を経て、キャッシュレス決済サービスのポイントを付与するものでございます。

 

 現在、マイナポイント第二弾を、デジタル庁、厚生労働省とも連携して実施をいたしており、本事業を通じて、マイナンバーカードの普及やマイナポイントの利用者の拡大を図っているところでございます。

 

 また、総務省では、自治体が多様な独自の給付をマイナポイントで行う自治体マイナポイントの普及につきましても取り組んでいるところでございます。

 

 これらの取組を進め、マイナンバーカードをより一層普及すること等により、マイナポイントの活用の可能性は広がっていくものと考えております。

 

○輿水委員 どうもありがとうございます。是非、マイナポイントまたマイナンバーカードを活用していただければと思います。

 

 続きまして、マイナンバーカードではなく、マイナンバーを活用しての情報連携サービスの現状と今後について伺います。

 

 マイナンバーカードの公的個人認証ではなくて、現在、既にマイナンバーの活用による行政機関の情報連携も進められていると思います。このマイナンバーの制度は、行政手続等における特定の個人を識別するための制度であります。

 

 具体的にどのようなサービスが今展開されているのか、また、今後どのようなことが進められようとしているのかについてお聞かせください。

 

○犬童政府参考人 お答えいたします。

 

 マイナンバー制度は、委員御指摘のとおり、行政機関間での情報連携を可能としまして、国民の利便性の向上、行政の効率化、公平公正な社会の実現のためのデジタル社会の基盤であるというふうに考えてございます。

 

 現在、児童手当の申請など約二千三百の税、社会保障手続等の事務におきまして、行政機関間の情報連携を行いまして、これらの手続における住民票の写し、課税証明書等の添付書類の省略等を実現しているところでございます。

 

 また、昨年五月に成立しました公金受取口座登録法に基づきまして、これまでも、子育て世帯生活支援特別給付金等を特定公的給付に指定することによりまして、市区町村が、指定された給付事務を行う際に、所得情報等の確認、利用が容易になるということ、それから、マイナンバーを利用した管理が可能になること、これに基づきまして、受給対象者からの申請を待つことなく、プッシュ型に近い形で、市区町村によってスピーディーに給付事務が行えるような仕組みとなってございます。

 

 デジタル庁としましては、引き続き、マイナンバー制度の情報連携の対象事務の拡大に取り組みまして、社会保障、税、災害対策以外の行政分野の拡大につきましても、国民の理解を得ながら検討を進めてまいりたいと考えてございます。

 

○輿水委員 どうもありがとうございます。

 

 デジタル化で、様々なそういった業務がまた効率化され、便利になっている。そのような中で、やはり地域には、スマートフォンが使えない、あるいはスマートフォンをお持ちでない方々もたくさんいらっしゃるわけでございまして、こういったデジタル化されたサービスの提供について、こういった皆さんに対して、どのようにそのサービスをちゃんと行き渡らせようとしているのかについてお聞かせください。

 

○犬童政府参考人 お答え申し上げます。

 

 行政サービスのデジタル化の進展に伴いまして、デジタル庁としては、誰一人取り残されない温かいデジタル社会の実現に向けまして、デジタル機器やサービスに不慣れな方々へのきめ細かなサポートが必要だと考えてございます。

 

 また、デジタル機器等の利用が困難な方もいらっしゃいますし、利用しないという方もいらっしゃいますので、そういう方にとっては、例えば窓口での行政手続の負担軽減のためのサポートを行うとか、そういったことも必要かと考えてございます。

 

 現在、デジタル庁におきましては、デジタルに不慣れな高齢者等をサポートするデジタル推進委員の制度化に向けて検討を進めてございまして、総務省を始め関係府省庁、関係団体と連携しながら、その具体化を図ってまいりたいと考えてございます。

 

○輿水委員 どうもありがとうございます。

 

 いよいよ金子大臣のリーダーシップの下で、光ファイバーと5Gネットワーク等が日本中に張り巡らされる中で、行政の効率化と行政サービスの利便性の向上の恩恵を全ての住民が享受できる、誰一人取り残されないデジタル社会の構築に期待が膨らみます。

 

 そこで、金子大臣の、デジタル化という手段を活用した地方公共団体の在り方や、目指すべき理想の実現に向けての御決意をお聞かせ願えますでしょうか。

 

○金子(恭)国務大臣 輿水委員御指摘のとおり、各自治体において、デジタルの力を活用して住民の利便性向上や行政サービスの更なる効率化を進めていくことが重要であります。

 

 総務省では、令和二年十二月に策定をいたしました自治体DX推進計画に基づきまして、自治体のデジタル化の取組を支援しているところでございます。

 

 デジタル化の一例としては、行政手続のオンライン化により、住民にとっては、二十四時間、いつでもどこでも手続を行うことができる環境が整います。

 

 さらに、自治体が保有するデータを利用しまして、プッシュ型で行政サービスの情報提供を行うことができるようになるなど、住民ニーズに即した新たなサービスの実現も期待されております。

 

 また、行政手続のみならず、ICT技術を活用した高齢者の見守り支援や鳥獣害対策など、地域が抱える課題をデジタル実装によって解決する取組も進められているところでございます。

 

 総務省としては、自治体DX推進計画に基づく各自治体の取組をしっかり支援するとともに、先行的な事例紹介を行うことなどを通じて、自治体に対して、デジタル化を通じた新たな行政サービスの未来像を示してまいりたいと思います。

 

○輿水委員 どうもありがとうございました。

 

 地方公共団体のデジタル化による繁栄と発展に期待し、質問を終わらせていただきます。大変にありがとうございました。