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第207回国会 予算委員会 第4号


○根本委員長 次に、輿水恵一君。

 

○輿水委員 おはようございます。公明党の輿水恵一でございます。

 

 本日は、質問の機会をいただきましたことを心より感謝を申し上げます。本当にありがとうございます。

 

 さて、今回の予算委員会で、昨日までの議論の中で、日本の技術競争力の低下とか、あるいはGDPが低迷している、そういった現実についての議論が様々交わされておりました。そして、今回の補正予算は、この日本の現実を大きく打開をして新しい経済の成長を大きく開いていく、そういった予算であると私は感じているところでございます。

 

 そんな中、岸田総理、今回、未来社会を切り開く新しい資本主義の起動を掲げて、そして、その一丁目一番地に科学技術立国の実現、このようにうたわれております。まさに私自身、民間企業で半導体露光装置の開発に二十年間携わっておりまして、まさにこの科学技術の再構築で日本の新たな経済を牽引していく、こういった時代を切り開いていきたい、このように感じているところでございます。

 

 そして、この科学技術立国の実現における科学技術、まずは当面の課題のために新しい産業として市場を牽引し国益に直結するものと、中長期的な展望に立って技術開発に取り組むものがあると思います。

 

 そんな中で、当面の課題として、世界中の国々が野心的な目標を掲げてグリーン化を進めようとしている、このグリーン化を牽引する技術市場を展望することも必要かと考えます。

 

 例えば、水素社会の実現に資する技術もその一つであると思います。

 

 二〇一〇年から二〇一九年の間の水素利活用に関するトータルパテントアセット、つまり各社の特許ポートフォリオとしての総合的な競争力を測る指標の下で世界中の企業を評価した結果、上位二十社の中に日本の企業が九社入っております。

 

 ここで国がやるべきことは、世界中の国々と連携をして水素技術市場を創出することであると私は考えております。

 

 EUは、ドイツを中心に、電気自動車を始めとするバッテリーに頼る社会ではグリーン化が達成できないとの判断で、水素の利活用を目指す、そういった方針を掲げたと聞いております。

 

 まさに、CO2削減目標だけではなく、水素への転換目標、このようなものを掲げるような、そういった市場を構築し、日本が得意とする技術を更に伸ばしながら新しい産業を生み出していく、このようなことも必要かと思いますが、岸田総理のお考えをお聞かせ願えますでしょうか。

 

○萩生田国務大臣 我が国が二〇五〇年カーボンニュートラルを実現し、地球温暖化対策を成長につなげるためには、技術革新による産業、エネルギー構造の転換が必要で、先生のおっしゃるとおりだと思います。このため、二兆円のグリーンイノベーション基金を効果的に活用し、企業による革新的技術の研究開発、社会実装への取組を力強く後押ししてまいりたいと思います。

 

 特に、水素分野においては、この基金から約三千億円を活用して、大規模水素サプライチェーンの構築に向けた技術の研究開発と社会実装を進めるほか、発電、産業、運輸などの幅広い分野での需要拡大に取り組んでまいりたいと思います。

 

 また、水素市場の拡大のためには、世界の国々と連携し、水素の活用を進めていく必要がございます。そのため、二〇一八年より毎年日本が開催している水素閣僚会議も活用しつつ、国内のみならず世界で水素利用を広げていく決意です。

 

○輿水委員 ありがとうございます。

 

 そして、質問の趣旨として、水素を世界が使っていく、そういったものを目指すべきだということで、私はやはり、日本だけが伸びるというよりも世界でまず協力をしていく部分と、競争していく部分、そこを立て分けるということが必要なのかなと。

 

 協力の部分では、水素を生成する水電解技術を世界で共有をして、水素がどこでもたくさんできるようにしておくことによって水素の市場ができ、その市場ができた上で、今度はそういう水素の利活用を進める、そこに日本の技術で競争をしかけて新しい産業の展開を図っていく。

 

 このような協力と競争の在り方について、もし、御見解をいただければと思いますが、総理、いかがでございましょうか。

 

○岸田内閣総理大臣 諸外国との熾烈な国家間競争、こうした現実を前にしまして、我が国として、競争と協力、共にしっかりと進めていかなければならないと思います。

 

 協力によって最先端の技術を共有し、そしてしのぎを削る、そして、競争によって今度は我が国の自らの競争力を高めていく、この両方をしっかりそろえることによって我が国の技術をより発展させることができるんではないか、このように考えます。

 

○輿水委員 ありがとうございます。

 

 それでは、続いて、次世代技術への戦略的な先行投資について伺います。

 

 今回、ワクチンとか薬、海外からの輸入という形で今対応させていただいているところでございますが、日本もかつては薬品輸出国であった。しかし、その原因は、日本はかつては、低分子化合物、これが非常に強かった。しかし、最近はバイオ薬品という形で移転している、技術が。そういったところでの技術の移転という部分で若干後れを取ったような気がしているわけでございますが。

 

 今回、コンピューターの世界、今、電子デバイス中心となっている。今後は、将来的には、まだまだ実験段階のところもあると思いますけれども、量子デバイスを活用した量子コンピューター、こういったところに技術移転があることが想定されるわけでございますが、こういった中長期的な展望に立って、今度は、世界の流れに乗り遅れない、そして、しっかりとその流れを受け取って、そして日本が繁栄と発展の道を開く、そんな取組も必要なのかなと思いますけれども、この点についてのお考えをお聞かせ願えますでしょうか。

 

○小林国務大臣 量子技術につきましては、将来の産業や社会を大きく変革させる、経済安全保障上も重要な革新技術でございまして、先生御案内のとおり、国際競争も極めて熾烈になってきているものと承知をしております。この競争を勝ち抜くためにも、量子を含めた先端科学技術への研究開発投資、これを官民協働して大胆に実行していくことが重要だと考えております。

 

 このため、御指摘のありました量子デバイスを含む量子分野のオール・ジャパンでの戦略を策定して、量子分野において先行している要素技術、これを組み合わせて、産業界と連携した研究開発から実用化までのロードマップを策定したところでございます。

 

 また、今回、御審議いただいているこの補正予算案におきましても、いわゆるムーンショットの制度におきまして、量子分野を含めて、抜本的強化のために政府全体として八百億円を計上しておりますし、また、経済安全保障の確保、強化のために、量子を含む先端的な重要技術を支援していくために基金を設けて、新たに二千五百億円計上しております。

 

 戦略的かつ機動的な先行投資を行っていきながら、関係省庁、また民間とも連携をしながら、この研究開発、実証に戦略的に一体的に取り組んでいくことを通じて成長につなげていきたいと考えます。

 

○輿水委員 どうもありがとうございました。

 

 まさに、量子技術、世界で競争しているところだと思いますが、もう時間がございませんので、思いだけ伝えさせていただければと思います。

 

 かつてメイド・イン・ジャパンという形で、例えば量子コンピューターを日本製というよりは、今度は、先ほどいろいろ御説明がありました、要素技術は日本が持っている、この要素技術を武器にメイド・ウィズ・ジャパンというか、世界と協力しながら、そうした要素技術を日本が押さえて、そして、共にその新しい技術にコミットしながら日本の新しい国益を切り開いていくような、そんな取組もあってもいいのかな、このように感じております。

 

 岸田総理の下で、新しい日本の資本主義、そして新しい日本の産業が大きく前進することを期待をいたしまして、質問とさせていただきます。

 

 どうもありがとうございました。