193回 総務委員会 18号

○竹内委員長 次に、輿水恵一君。 

 

 

○輿水委員 おはようございます。公明党の輿水恵一でございます。 

 

 地方自治法等の一部を改正する法律案につきまして質問をさせていただきます。 

 

 初めに、ただいまもございましたけれども、地方公共団体の長等の損害賠償責任の見直し等につきまして質問をさせていただきます。 

 

 今回の法改正では、地方公共団体の長等の損害賠償責任について、職務遂行上善意で進めたことである、あるいは重大な過失がないという条件のもとで、損害賠償責任を限定して、それ以上の額を免責する条例を制定することを可能にするものでございます。 

 

 具体的には、地方公共団体の長初め委員会の委員、副知事や副市長、また監査委員等に、さらには一般職員等も含めて、免責の最低責任限度額を、国が定めた参酌基準を受けてあらかじめ条例で定めておくことができるとするものでございます。 

 

 そこで、まず、地方公共団体が最低責任限度額を定める上で、国からの参酌基準について、どのような根拠をもとに、どのように考えているのか、お聞かせ願えますでしょうか。 

 

○安田政府参考人 お答えいたします。 

 

 今回新設いたします地方自治法第二百四十三条の二でございますが、地方公共団体の自主的な判断を尊重し、最低責任負担額の設定を条例に委任するものでございます。 

 

 一方で、条例の制定、改廃に当たりまして、政令におきまして、目安といたしまして、会社法などの規定を参考に参酌基準を設けたい。その上で、過度に低額な最低責任負担額が設定されることがないよう、最低額は設けるということにしているところでございます。 

 

 この参酌基準についてでございますけれども、他の立法例を参考に、年収額を基準といたしまして、職責などを考慮した一定の乗数を乗じて算出した額とすることが考えられるところでございます。 

 

 この、他の立法例を参考とした場合でございますけれども、乗数としては、長については六倍、委員会の委員または委員などについては四倍、監査委員については二倍などが考えられると思っておりますが、具体的には、国会での御審議でございますとか有識者の意見を踏まえまして、政令で規定することとしたいと考えております。 

 

○輿水委員 どうもありがとうございました。 

 

 地方自治体の予算執行等につきましては、住民の代表として選出されました議員で構成される議会の議決に基づいて進められているものと考えますが、ここで、地方自治体の長がその議決に従いさまざまな事業を執行したとしても、住民からの訴訟を受け、裁判所がその執行の中身が不適切であるとの判断をした場合、それによって発生した損害の責任は、地方自治体の長などの執行側の責任として損害賠償責任が問われるということでございます。 

 

 そこで、住民訴訟を受けての、地方自治体の長等による予算執行に対する裁判所の判断のあり方について伺います。 

 

 現行の法制度のもとでどのような形になるのか、また一方、今回の法改正を受けて地方自治体が最低責任負担額を定めた場合とではどのように変わるのかにつきましてお聞かせ願えますでしょうか。 

 

○安田政府参考人 お答えいたします。 

 

 まず、現行の住民訴訟においてでございますけれども、長や職員の損害賠償責任につきましては民法上の損害賠償責任と解されておりますので、長や職員に故意または過失がある場合には、相当因果関係のある損害の全額について責任を追及されるということになっているところでございます。 

 

 今回の改正後に、地方公共団体が一部免責条例を制定した場合におきましては、裁判所において、当事者の主張に基づきまして、故意、過失の有無だけではなくて、過失が認められるときには軽過失か否かについても判断されることになると考えております。裁判所が軽過失と判断した場合には、この一部免責条例が適用されまして、損害賠償責任額が一定の限度に限定されることになるものと考えております。 

 

○輿水委員 どうもありがとうございました。 

 

 いずれにしましても、今までは、過失があった場合はもう全額だった、軽過失であろうが重過失であろうが一緒だったことが、今回は、軽過失であれば最低責任限度額という形になるということでございますが、先ほど、おおむね年収の六倍の損害ということで、いずれにいたしましても、執行側の責任は非常に重いことを痛感するわけでございます。 

 

 ここで、今回の法改正では、住民監査請求等があった後に損害賠償請求等の放棄に関する議決をしようとするときは、監査委員からの意見を聴取することとしており、このことにより、議会による損害賠償責任の放棄の議決が可能となっているわけでございます。 

 

 この議会による放棄の議決の適正性についてはどのように担保されるのか。この点についてもお聞かせ願えますでしょうか。 

 

○安田政府参考人 お答えいたします。 

 

 議会による議決による権利放棄につきましては、平成二十四年の最高裁判決で、議会の裁量権に基本的に委ねられているが、諸般の事情を総合考慮して、これを放棄することが裁量権の範囲の逸脱または濫用に当たると認められるときは、議決は違法となり、放棄は無効となる、このように判示されているところでございます。 

 

 したがって、権利放棄に係る議決を行う際に、議会には、政治的状況に影響を受けることなく、裁量権の逸脱または濫用となることのないよう、客観的で合理的な判断をすることが求められるものでございます。 

 

 そこで、今回の改正では、御指摘のとおり、請求権を放棄するに当たりまして、監査委員から意見を聴取することとし、放棄の判断の客観性や合理性を担保する仕組みを設けることとしているところでございます。また、この場合に、免責条例制度との均衡から、故意、重過失の場合の放棄でございますとか、最低責任負担額を下回るような放棄の議決は、今後は慎重に判断されるものになると考えているところでございます。 

 

 このような判断が求められているにもかかわらず、なお妥当性を欠くような放棄議決がされた場合には、最終的には、住民訴訟を通じて、裁判所によって放棄の妥当性が判断されるものと考えているところでございます。 

 

○輿水委員 どうもありがとうございました。 

 

 いずれにいたしましても、最終的にはその合理性、妥当性、裁判所で判断をされる、こういう形になるものであることが確認できたわけでございますけれども、実際、ただいまの議会における議決による損害賠償責任の放棄について、具体的にどのような場合を想定しているのか、お聞かせ願えますでしょうか。 

 

○安田政府参考人 お答えいたします。 

 

 今の時点で全ての具体例を想定できているわけではございませんけれども、例えば、住民訴訟において、多額の責任追及を受けた長が死亡いたしまして、残された遺族が到底支払い切れないような多額の損害賠償債務を負わざるを得なくなったような場合などには、個別具体的な事情を踏まえて、議会の議決による放棄を行うことはあり得るものと考えているところでございます。 

 

○輿水委員 どうもありがとうございます。 

 

 いずれにいたしましても、放棄というのは極めて限定的、そういったものだと認識をさせていただきました。 

 

 いずれにしましても、地方自治体の予算執行におきましては、執行側の責任は非常に重いということで、慎重かつ適切な予算運営を期待するものでございます。 

 

 続きまして、地方独立行政法人への窓口関連業務等の追加につきまして質問をさせていただきます。 

 

 地方独立行政法人でございますが、事業の効率化による採算性の維持向上と公共的使命の達成を両立するための機関であるとされております。具体的には、水道、電気、ガス、鉄道、路面電車、あるいは、バス、病院、大学、試験研究機関、保育所、特別養護老人ホーム、福祉施設などが今そういう形で進められている現状もあると伺っております。 

 

 ここで、今回の法改正では、地方独立行政法人の業務に、転入届、住民票の写しの交付請求の受理等の窓口関連業務などの申請等関係事務の処理を追加するものと認識をしているわけでございますが、まず、今日の人口減少社会において人的資源が限られる現況下では、厳格な契約条件のもとで、裁量等を使用しない事務的な手続などの窓口業務の民間への委託も既に進められているものと思いますが、地方自治体における窓口業務の民間委託の状況、現状についてお聞かせ願えますでしょうか。 

 

○安田政府参考人 お答えいたします。 

 

 平成二十八年四月一日現在で、窓口業務の民間委託導入率は、全市区町村で一五・八%となっているところでございます。内訳を見ますと、指定都市では八〇%、特別区では七八・三%とされておりますが、指定都市、中核市以外の市では二四・六%、町村では三・八%となっておりまして、中小規模の団体には広がっていないところでございます。 

 

○輿水委員 どうもありがとうございました。 

 

 ただいまの答弁で、中小規模以上の自治体では民間への委託もかなり進められているということが確認できたわけでございます。 

 

 そこで、改めて、きょうは原田副大臣にお伺いいたしますけれども、現行の窓口業務を民間委託する場合には、現状どのような課題があるのか、一方で、今回、独立行政法人が窓口業務を担うことでどのようなメリットがあると考えているのかについてお聞かせ願えますでしょうか。 

 

○原田副大臣 お答えをいたします。 

 

 窓口業務を民間委託する場合の課題といたしましては、一部に審査や交付決定などの公権力の行使にわたる事務が含まれ、一連の事務の一括した民間委託など効果的な委託が困難であること、町村などの小規模自治体では、事務量が少なく単独での委託先の確保が困難であることなどがございます。 

 

 今回の改正案では、地方独立行政法人の業務に公権力の行使を含む窓口業務を追加すること、市町村は、みずから法人を設立しなくても、連携中枢都市圏の中心都市などが設立した地方独立行政法人と直接規約を締結し、窓口業務を行わせることを可能にすることなどを盛り込んでおりまして、これらの課題の解決につながるものといたしておるところでございます。 

 

 地方独立行政法人は、行政から独立した自主的、自律的な業務執行が可能でございまして、業務運営の効率化や住民サービスの向上が期待できるところでございます。 

 

 具体的には、職員の勤務条件や給与などについても、地方公共団体の職員よりも柔軟に設定できる、例えば夜間、休日の窓口対応や繁閑期に応じた人員配置などが期待できるところでございます。 

 

 継続して窓口業務を担うことによりまして、窓口業務に係るノウハウの蓄積、専門性の確保が図られることもメリットと考えております。 

 

○輿水委員 どうもありがとうございました。 

 

 今回の法改正によって、地方自治体における窓口業務の効率化等への選択肢もふえると同時に、民間委託ができなかった自治体も、この独立行政法人を活用することにより、具体的な改革が進められる、そういうことを確認することができました。ありがとうございました。 

 

 最後に質問させていただきます。 

 

 決算不認定の場合における長から議会等への報告規定について伺います。 

 

 本来、決算というのは、次の予算に当然反映されるというものであると思うんですね。そういった意味で、今回改正で、決算の不認定を受けて長がこういった措置を講じた場合に議会へ報告することを義務づける、このことは具体的にどのような効果があると期待をして法改正を行ったのかにつきましてお聞かせ願えますでしょうか。 

 

○安田政府参考人 お答えいたします。 

 

 今般の改正でございますけれども、決算不認定となった場合に、長が措置を講じ、その内容について長から報告等を法的に義務づけるということでございますけれども、その措置の内容の適否について議会での議論の俎上にのせることが可能になるなど、決算審議を通じて議会の監視機能がより適切に発揮され、議会と長との関係が活性化されることを期待しているものでございます。 

 

○輿水委員 どうもありがとうございました。 

 

 時間となりましたので、以上で質問を終わらせていただきます。