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193回 総務委員会 12号

○竹内委員長 次に、輿水恵一君。

 

○輿水委員 おはようございます。公明党の輿水恵一でございます。

 

 本日、質問の機会をお与えいただきまして、感謝を申し上げます。

 

 それでは、電波法及び電気通信事業法の一部を改正する法律案につきまして質問をさせていただきます。

 

 今、テレビ、ラジオ、携帯電話を初め、私たちの暮らしのさまざまな場面で電波が活用されているわけでございます。携帯電話、PHS等の契約の件数、昨年の今ごろのデータで見ますと一億六千万ということで、非常にこの利用が広がっている状況でございます。

 

 そんな中で、あらゆるものが、またあらゆることがインターネットにつながり、情報を相互に交換してさまざまなものの制御を行うIoTが進展する中で、電波の利用の分野というのは今大きく大きく広がろうとしているわけでございます。

 

 このような状況の中、今後私たちの日常生活のあらゆる場面で活用されるであろう電波がより安全に、安心して、さらに安定的に利活用できる環境を構築し、また、その環境を守り抜くことがますます重要になってくると思います。そのためには、電波を利用する受益者から適切な利用料を徴収し、その原資を有効に活用していくことが大変重要であると考えます。

 

 そこで、まず、あかま副大臣にお伺いいたします。

 

 このような状況の中で、今後私たちの日常生活のあらゆる場面で活用されるであろう電波を安全に、安心して、安定的に利活用できる環境を構築する。そして、今回、平成二十九年度の電波利用料の予算の歳入と歳出におきましてちょっと聞きたいんですけれども、二十八年度までは、その歳出の約四三%、金額で約三百億円を占めていた地上デジタル放送の総合対策、こういったものがおおむね二十八年度で完了するということで、二十九年度は、今度新たに、電波を利用する環境が大きく変化するわけでございます。

 

 そのような状況の中で、電波利用料の予算がどのような考え方のもとで組み上げられたのか、お聞かせ願えますでしょうか。

 

○あかま副大臣 お答えいたします。

 

 委員御指摘のとおり、電波利用料の歳出の多くを占めておりました地上デジタル放送総合対策、これについては平成二十八年度をもってほぼ終了することから、歳出予算の構成が大きく変わることとなっております。

 

 このため、平成二十九年度以降の電波利用料のあり方については、平成二十八年に、有識者によります懇談会、電波政策二〇二〇懇談会において検討をされたところでございます。

 

 また、この検討会においては、我が国の無線インフラサービスを国際競争力のある有望なビジネスとして育てていこうという方策、こういったことも検討をしながら、そうしたこととあわせて、これまで検討を行っているものと理解をしております。

 

 そして、この懇談会では、電波利用料の使途というものについては、無線局全体の受益を直接の目的とするといういわゆる共益費用の趣旨を遵守しつつ、電波が社会インフラとして国民生活に不可欠となっておりますことから、既存の施策に加えて、電波利用を通じた社会貢献に有効な施策についても実施していくことが適当というふうになされたところでございます。

 

 こうしたことを踏まえて、平成二十九年度予算は、こうした提言に基づいたものが要求されて、お認めいただいたものであるというふうに思っております。

 

 以上です。

 

○輿水委員 どうもありがとうございます。

 

 いよいよ、新しい電波を活用して社会的なあらゆる部分に貢献をしていこう、そういった中での電波の基盤をしっかり整備していく、こういった取り組みが二十九年度からまたさらに力強く進められるということがわかったわけでございます。

 

 いよいよ、電波関連産業というものの市場規模、今は約四十兆円と言われている規模が、二〇三〇年には八十四兆円に拡大するとも言われております。こういった市場において、電波利用料を有効に活用し、電波の利用価値を大幅に高めていく、そういったことが非常に大事だと思います。

 

 そんな中で、ワイヤレスに着目して成長産業として育てていく、こんな取り組みも今回考えられているのだと思うわけでございますが、特に二〇二〇年には世界の注目が集まる東京オリンピック・パラリンピック競技大会が我が国で開かれる、そんな中で、先進的な技術やサービスを世界じゅうの皆様に体感していただく、まさにショーケースとしてこれを活用していく、そういったことが非常に重要であるのかなと考えるわけでございます。

 

 そういった中で、ここでまず、今度は富永総合通信基盤局長に伺いますけれども、あと三年、どのような技術に着目をして電波資源の拡大を図りながら新しいサービスを東京で展開しようと考えているのか、考えをお聞かせ願えますでしょうか。

 

○富永政府参考人 お答え申し上げます。

 

 移動通信トラフィック、これは急激に増大していくわけでございますが、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて、新たな無線通信技術として、第五世代移動通信システム、5Gの実現を目指しております。

 

 この5Gは、3Gや4Gを発展させた超高速だけではなくて、身の回りの多数のものが同時にネットワークにつながる多数接続、遠隔地にいてもロボット等の操作をスムーズに行うことができる超低遅延といった特徴を持つ次世代の移動通信システムでございます。

 

 5Gが実現されることで、例えば、超低遅延の通信が必要となる自動運転システムの実現に寄与いたしまして、公共交通機関が利用しにくい地域でも自動運転タクシーで好きなときに好きな場所に出かけることができる、高度なモビリティー社会の実現が期待されます。

 

 それから、災害時には、町の中に多数設置された高精細な映像センサーによりまして収集されたデータを活用することで、被災状況を網羅的に把握するとともに、被災者に最適な避難経路情報を迅速に届けることができる、災害に強い社会の実現が期待されます。

 

 このほか、移動中でも高精細の映像を用いた遠隔手術などの先進医療が提供される社会ですとか、バーチャルリアリティー技術による迫力あるスポーツ観戦などの超臨場感をどこでも楽しめる社会が実現できるものと期待されます。

 

 このような本格的なIoT時代を支える5Gの実現には新たに大幅な周波数の確保が必要となることから、昨年十月より、情報通信審議会におきまして5G用の周波数の確保に向けた検討も進めております。

 

 総務省といたしましては、東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催される二〇二〇年には5Gを確実に実現しまして、先ほど申し上げましたような新たなサービスですとかビジネスが開花していくようにしたいと考えております。

 

 以上でございます。

 

○輿水委員 どうもありがとうございます。

 

 5Gということで、超高速で、そして多数の同時接続が可能になって、また超低遅延ということで、自動運転にも適切に対応していく、そんな技術が今開発を進められているということでございます。

 

 まさに電波を利用した各種ワイヤレスサービス、今までは電話だけだったのが、あらゆるものにつながるということで、東京オリンピックのときには何と五百五十億個というちょっと考えられない数のものがつながって、それを支える電波の技術というものがまた必要になってくる。それをしっかり支えるための大きなポイントが5Gのそういった開発である、このように考えておるわけでございます。

 

 また、その5G、大容量ということで、最近はコンテンツも動画というか大容量になって、そしてそれをどうやってきちっとした形で安定的に、またストレスなく送るか、そういったこともこの技術に期待されているものと考えます。

 

 そういった中で、電波政策二〇二〇懇談会の報告書、私、非常におもしろかったのは、最後の方にこのサービスの社会実装のイメージが持てるようにイラストが載っていまして、例えば先ほどの質問にありました、スタジアムの中でも、東京オリンピックのときは、携帯で選手の名前とかそういうのが自動的に見られるようになるとか、いろいろなところでいろいろな施設の画像が見られる、そういった、どこでもいつでも見られるようなサービス。

 

 あるいは、外国の方とか、いろいろな属性に応じて、近くを通ると、デジタルサイネージというか、看板が英語になったり中国語になったり言葉を発したり、いろいろな形で、その人に合った形で案内をするとか、いろいろなことができるようになるのがこの電波だということで、このイラストにありました。

 

 また、今我々はドクターヘリとかいうのをやっていたんですけれども、ドクターヘリというのは、ドクターが乗って、ヘリで治療する。でも、将来は、診療室というか手術台がそのまま飛んでいって、遠隔で手術もできる、低遅延とか安定的な電波があればできる。そんなことも目指されているような絵がありまして、非常に夢が持てる、そんなことを感じているわけでございます。

 

 さらに、最近救急車が忙しいということで、私も非常に興味を持っているんですけれども、トイレが電波につながると、毎日自然に尿検査をしてもらって、倒れる前に携帯電話に、このまま放っておくと一カ月以内に救急車で運ばれるかもしれないので早く病院に行ってくださいと教えてくれるような、そんな人の命を守るようなシステムも電波でできるということで、ますますこの電波の利用価値、または電波への期待が非常に高まっているわけでございます。

 

 そんな中で、日本でちょっと残念なことは、よく、技術では勝つ、5G、しっかりやりました、こんなことができます。しかし、ビジネスで負けている。具体的にうまく総合的に皆さんが本当に必要なサービスがなかなかコーディネートできないというか、そういった欠点があるとも言われているわけでございます。

 

 今回、このIoTの時代、また5G、日本が先頭に立って開発をしているわけでございますが、それがしっかりとビジネスに結びつくような取り組みが非常に重要かと考えているわけでございます。いよいよこの日本から新しいサービスを、東京で世界じゅうの人に実感していただいて、そしてそれを地方に、また世界に大きく広げていくチャンスであると考えるわけでございます。

 

 そこで、高市大臣にお伺いいたします。技術は当然やりながら、新しいサービスや製品を生み出すために電波利用料等を活用してどのような取り組みを進めようとされているのか、お聞かせ願えますでしょうか。

 

○高市国務大臣 輿水委員今おっしゃっていただいたとおり、技術で勝ってサービスで負ける、また国際展開で負ける。一番もうかるところを他国の企業に持っていかれるという現象はたびたびこの情報通信の世界でも起きてまいりました。アーキテクチャー設計といったところ、そういう価値、また利用の姿全体を提案するような取り組みというのが必要だと思っております。

 

 5Gは、先ほど富永局長からも答弁させていただきましたとおりさまざまな分野で利活用が期待できますので、さまざまな業界と連携しながら総合的に推進することが重要です。

 

 総務省では、この5Gの実現に向けて、まず要素技術を確立するための研究開発の推進、それから、国際的な標準化、ここが非常に重要ですので、これを進める観点からの国際連携の強化、5G用に割り当てる周波数の確保に取り組んでいます。

 

 今年度から、電波利用料を活用して、5G実現による新たな市場の創出に向けて、具体的な利活用を想定しながら、さまざまな分野の関係者が参加する実証試験を、東京だけではなく地方でも実施することにいたしております。

 

 二〇二〇年に向けて、5G実現を目指してしっかりと取り組みを加速させてまいります。

 

○輿水委員 どうもありがとうございます。

 

 まさにその国際展開も考えていく中で、5Gの国際標準化もしっかりして、それをリードしていただいて、その製品が日本でも海外でもそうやって使える環境の整備という部分でも、非常に今大事な視点で取り組まれているということがわかったわけでございます。

 

 まさに、その5G、現在の百倍のものがつながる、つなげることが可能になってくる、そういったシステムであり、また、百倍速いブロードバンドサービスを提供できる5G、さらに、ITSクラウド等自動運転において低遅延ですぐ反応できる、そんな仕組み、この5Gが私たちの生活をしっかりと支える、また、私たちの、この日本が抱えていく社会的な課題、そういったものにも適切に対応できるような、そんな電波環境をしっかりと進めていただくことを期待申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 

 本日は、大変にありがとうございました。