第189回国会 厚生労働委員会 第24号

労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第四三号)

労働者の職務に応じた待遇の確保等のための施策の推進に関する法律案(井坂信彦君外五名提出、衆法第二二号)

○渡辺委員長 次に、輿水恵一君。

 

○輿水委員 公明党の輿水恵一でございます。

 

 本日は、安倍総理に質問の機会を与えていただきましたことを心より感謝を申し上げます。

 

 さて、日本は今、世界でも類を見ない少子高齢化と人口減少が進行している中、経済や社会の持続と成長のための改革は待ったなしでございます。

 

 現在、団塊の世代の八百万人の皆様が七十五歳以上となる二〇二五年の医療と介護の需要に適切に対応するための制度改革は、プログラム法にのっとり、着実に進められております。この医療と介護の改革とともに、少子高齢化、人口減少に加え、企業を取り巻く環境の変化に適切に対応をした労働法制の改革も喫緊の課題であると考えております。

 

 現在、日本の労働人口が大幅に減少する中で、労働需要は横ばいとなっております。この高齢化と人口減少による労働力不足にどのように対応し、労働力の需要と供給のバランスを整え、日本の国力を維持向上させる道筋をつけるかが、当面の課題であります。

 

 また、長期的な視点に立てば、少子高齢化、人口が減少する社会にあって現状の生活水準を維持するためには、一人当たりの年間GDPを将来にわたり確保することが必要になります。そのために、若者から高齢者まで、そして男性も女性も、その持てる可能性を引き出し、かつ生かしながら、個々の労働生産性、また全体としての就業率を向上させ、持続可能な労働力確保への環境整備が必要であると思います。

 

 そこでまず、少子高齢化、人口減少社会の、またさらに企業間競争のグローバル化などによる我が国の労働環境の変化をどのように御認識されているのか。また、もう一つあわせて聞かせていただきます。これに対して、どのような改革や取り組みが必要と考えているのかにつきまして、あわせて、総理の御見解をお伺いしたいと思います。

 

○安倍内閣総理大臣 ただいま質問のございました、労働環境の変化をしっかりと把握していくことがまず極めて私は重要だと思います。

 

 我が国の労働環境については、少子高齢化が進んでいる、あるいは経済のグローバル化が進んでいるといった大きな動きの中において、雇用の安定を図りつつ、働き方のニーズや経済社会の変化に的確に応えていかなければならないという、まさに変革期にある、このように考えています。

 

 このため、時代の変化に合わせて、働く方一人一人が、ワーク・ライフ・バランスを確保しながら、ライフスタイルや希望に応じ、社会で活躍する場を見出せる雇用制度の実現を目指していくことが重要であります。(発言する者あり)

 

○渡辺委員長 静粛にお願いします。

 

○安倍内閣総理大臣 柔軟で多様な働き方を進め、全員参加型の社会を実現していくことが求められていると思います。(発言する者あり)

 

○渡辺委員長 静粛に。

 

○安倍内閣総理大臣 労働生産性を図っていくことが極めて重要であります。

 

 こうした観点に立って、非正規雇用の方々のキャリアアップを支援し、そして処遇改善や正社員への転換を進めるための労働者派遣法の改正、そして、高度専門職が創造性を存分に発揮できるようにする新たな制度の創設も必要であります。こうした改革を行うとともに、働く方一人一人のニーズに対応して、職業能力の向上を図っていくことも必要であろう、このように思います。

 

 そうした取り組みをしっかりと今後も進めてまいります。

 

○輿水委員 ありがとうございます。まさに職業能力の向上、こういったものがその根底になければならないと思っております。

 

 そして、今回の労働者派遣法の改正、これは、派遣元にキャリアアップや雇用安定化措置が義務づけられます。この改正が派遣労働者の保護と雇用の安定化への取り組みとして機能するように、その実効性をいかに担保するかが大変に重要な課題であります。

 

 ここで大事なことは、個々の派遣労働者の意欲、希望などを丁寧に酌み上げながら、派遣先においても、実務の中で個々の可能性を引き出すよう、派遣元と派遣先が連携しての教育訓練や業務範囲の見直し等が必要であると考えます。個々の可能性を引き出し、個々の能力を高めながら、より付加価値の高い業務につけるように、そして、より賃金の高い職域に、さらに、それが最終的には正規雇用として、より安定した就労への道筋をつける、こういうことが大事である、このように思います。

 

 そこで、今回の改正により、派遣元も派遣先も、派遣労働者の可能性を最大に尊重し、一人一人の職業能力を向上させながら企業活動を展開される取り組み、どのように強化しようとしているのか、総理のお考えをお聞かせ願えますでしょうか。

 

○安倍内閣総理大臣 一般に、派遣という働き方については、雇用の安定やあるいはまたキャリア形成の面で、そうしたものが図られにくいという面があるのは事実であります。また、賃金水準は、契約社員やパートなど他の非正規雇用より高いものの、正社員に比べ低いという傾向があります。

 

 このため、今回の改正案では、派遣で働く方のキャリアアップへの支援を初めて盛り込むこととしました。派遣元に対し、計画的な教育訓練やキャリアコンサルティングを義務づけるとともに、派遣先に対し、業務遂行に必要な教育訓練を行うなど、責任を強化することにしています。これは今までの法律とは大きく違う点と言ってもいいと思います。

 

 また、正社員を希望する方については、その道が開かれるようにする。つまり、派遣でそのまま働きたいという方々もおられます。そういう方々の立場はしっかりと守っていく。同時に、正社員になりたいという方々の希望に対しては、その道をしっかりと確保し、開いていくことが求められています。派遣元に対し、派遣期間の満了時に……(発言する者あり)

 

○渡辺委員長 静粛にしてください。答弁中です。

 

○安倍内閣総理大臣 正社員になったり、別の会社等で働き続けられるようにする雇用安定措置を義務づけるとともに、派遣先に対し、派遣労働者への正社員募集に関する情報提供を義務づけることとしています。

 

 これらによって、働く方の意欲に応じてその可能性が発揮され、企業活動にも生かされるような環境を整備してまいります。

 

○輿水委員 どうもありがとうございました。

 

 かつて、日本は、学校を卒業して正規社員として企業につき、そして、そこの中で切れ目のない、そういった教育訓練がなされた。しかし、今はいろいろな形の働き方がある中で、いよいよ企業とまた現場、派遣元、派遣先が協力して一人一人の可能性を育てる、そういった若者に対してもきちっとした取り組みがこれからも必要である、このような思いでございます。

 

 この改革が一人一人の能力を向上させ、より付加価値の高い仕事に多くの人がつける、そういった環境整備につながることを、また、私どもそれを目指して頑張ることをお誓い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。大変にありがとうございました。