第189回国会 厚生労働委員会 第16号

労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第四三号)

労働者の職務に応じた待遇の確保等のための施策の推進に関する法律案(井坂信彦君外五名提出、衆法第二二号)

○渡辺委員長 次に、輿水恵一君。

 

○輿水委員 公明党の輿水恵一でございます。本日は、質問の機会を与えていただきまして、感謝を申し上げます。

 

 先ほど何だか公明党問題とか言われておりましたけれども、まず、そこの点を確認させていただきたいと思いますが、今回の法改正で、臨時的、一時的を原則とする旨が条文に明記された、これに対して、条文に原則が盛り込まれることの意義について、まず御確認をさせていただきたいと思います。

 

○坂口政府参考人 今の、派遣労働が臨時的、一時的という原則を今回盛り込んだということでございますけれども、この点につきましては、先ほども大臣の方からもありましたように、労働政策審議会の建議の中でもはっきりと、派遣労働について臨時的、一時的なものと位置づけることを原則とするという考え方は既に示されていたところでございます。

 

 ただ、臨時国会等の審議の中でも、いろいろこういったものについてはさらに明確化をすべきであるというような御議論もあったということも含めて、自公の方からの修正をすべきというような御要請もあったということも受けて今回盛り込んだということで、まさに、そういう建議の考え方を踏襲する中で、その趣旨ということをこの法律に盛り込むことによって明確にする効果があるということで私どもとしては考えております。

 

○輿水委員 ありがとうございます。

 

 かつてというか、日本も高度経済成長のときには終身雇用制というふうな形で言われて、会社に入って、その会社で人材を育成して、いろいろな教育訓練をしながら、そして、その人が一人前になって会社を引っ張っていくという、そういった流れがあったのかなと思うんですけれども、もう最近は会社も即戦力の人材が欲しい、そういった状況の中にあって、では、どこで人材を育成していくのか。そういった意味からすると、今、派遣労働者の人材育成をどこがやるのか。

 

 そういった形から考えると、まさに今回の改正は、派遣元が、派遣労働者のキャリアアップあるいはその能力を向上させていく、そして、向上させながら、希望に応じて派遣先の方に直接雇用を促していく。その好循環を生むためには、やはり派遣元、またそこの派遣労働者が、いろいろな教育訓練を受けながら新しい力を身につけて、それぞれの企業で力を発揮できる、いかにそういった環境に持っていくのか、これが大事なのかなと思います。

 

 先ほどもありました、二十六業務と言われていましたけれども、その技術的な仕事というのは、どちらかというと無期雇用の形で派遣元がいろいろな技術者を育てながら、そして技術的な仕事として派遣をして、それでその企業に貢献をしていく、そういった方向性もあります。

 

 もう一つ。しかし、その技術的な方については、やはり大切なことは、今技術は日進月歩で進んでおりますから、ちゃんと派遣元で最新の情報とか最新の知識をしっかりとつけさせてあげて、そしてまたいろいろなところに行ったときにその力が発揮できる、そういった育成というのは大事になってくるのかなと。

 

 もう一つ。派遣会社から派遣されました、そしてそこで働いていく。やはり自分自身も、直接雇用、この会社でしっかりとした形で自分の人生を設計していきたい、そういうふうに感じたときに、それは、将来、直接雇用に向けての努力が当然必要だと思います。そのために派遣元と派遣先がどういった協力のもとで人材を育成していくのか、こういった課題もあるわけでございます。

 

 また、もうちょっと自分は派遣を続けたいかな、そういったふうに思う方もいらっしゃる。しかし、今回の改正で、派遣は原則三年、そして例外的に、課をかえるとか事業所をかえる、そういったことで可能になるわけでございますけれども、これも大きな意味があると私は思うんです。

 

 今まで資材調達の課で仕事をしていました、しかし、課がかわって人事の方に行く、あるいは製造の管理の方に行く、そういった課がかわることによって、いろいろな部門で働くことによって、自分自身の仕事の幅も広がってくる。そういった形での人材育成もでき、そして、あるとき三年たって違うところに行って、ここで自分はもうちょっとやってみたいなと思ったときには、新しい直接雇用に向けての教育訓練もなされる。

 

 そういったふうにしながら、派遣労働者をしっかりと育成して、将来の日本の経済の成長のための大事な人材を育成していく、このことが大事になってくるのかなと思うんですけれども、このような形で、派遣元の派遣労働者に対するキャリアアップ措置の具体的なあり方についてどのように考えているのか、お聞かせ願えますでしょうか。

 

○坂口政府参考人 お答えいたします。

 

 今委員の方からありましたように、今回、改正法案で、派遣会社、派遣元の方にキャリアアップ措置を義務づけるということでございますけれども、今まさに委員の方から御紹介がありましたように、派遣で働く方の態様等々、いろいろあるということかと思います。そういった方に応じた、あるいは希望に応じた形で、そのキャリアアップがその方にどう資するようなものになっていくかということをいろいろ工夫していく必要があるんだろうと思っております。

 

 まさに今委員が例示として挙げられたような技術系の派遣の方ということで考えれば、比較的、技術系の派遣の方は専門的な部分であり、なおかつ派遣会社との関係で無期雇用で働く方も多うございますけれども、そういった方であれば、一つには、今委員がおっしゃったように、技術系の最新の知識、技術をどう付与するかということと同時に、やはり無期で派遣会社との関係で働く方でありますので、中長期的なそのキャリア形成を派遣会社の方でどう考えて教育訓練を計画的に行うかということが大事かと思います。

 

 それから、一方で、先ほど御紹介があったように、派遣先での直接雇用を希望するような派遣労働者の方ということになりますと、まさに理想型とすると、派遣元、先がうまく連携をして、派遣先での業務ということを将来的にも考えるわけでございますので、派遣先でのOJTも含んだ教育訓練というようなことをどう工夫していくかということもあろうかと思います。

 

 それから、最後の、いろいろな職場での派遣就業ということも希望される方ということになりますと、今委員の方からも御紹介があったように、今回の期間制限の三年ということが悪い意味にならないように、まさしくいい意味でキャリアの見詰め直し、あるいは個人のキャリアパスの積み重ねにつながるような形で、そういった対応ができるようにということをどう派遣会社の方でコーディネートしていくかということになると、そういったキャリアパスも含めてのキャリアコンサルティングということをしっかりやっていくというようなことを工夫しながら、このキャリアアップ措置ということをどう工夫していくかということをしっかり工夫していく必要があると考えております。

 

○輿水委員 どうもありがとうございます。

 

 先ほどの、派遣は臨時的、一時的、まさに、やはり労働者にとっては、正社員としてしっかりと会社で安心して、安定して働いていく、そのことは非常に望まれるところだと思うわけです。そして、そのためには、制度ということと同時に、やはり個人、一人一人が会社で役に立つ能力、力を身につけていく、そういったことが基本になる。であるならば、派遣元また派遣先がどうやって一人一人のスキルをアップして能力を向上させていくのか、そういった取り組みが進められることが大事になってくる、そのように感じます。

 

 そこで、具体的な、先ほども一つお話にあったんですけれども、派遣先への直接雇用を望む労働者。

 

 私も、かつて民間の企業で働いておりまして、どちらかというと派遣労働者の方にもお力をかしていただきながら働かせていただきました。

 

 社員がいろいろな新しい仕事を標準化して、そして一つのマニュアル化して、それをやっていただいて、また、我々は、次の新しい、違う付加価値のあるそういったものを取り入れて、それをまた標準化して、そういった仕事になるわけですけれども、派遣労働者の方が、今度は直接雇用としてそこの会社で仕事をしていくためには、やはり今までのルーチンというかマニュアルの仕事ではない、創造的な仕事にもチャレンジしなければならない。

 

 しかし、三年たってから突然どうしますかと言われても、それはなかなか難しいわけで、やはり派遣元と派遣先が、本人の意思を十分確認した上で、意思があるのであれば、適切に連携をとりながら、その会社で即戦力となれるような、そういった教育訓練をしっかりとしてあげることが三年後のきちっとした直接雇用へも結びつく。

 

 しかし、問題は、そういう仕事をちゃんとやるインセンティブが働かないと、なかなか派遣元も派遣先もそういった一人のための努力が出ないわけですけれども、派遣元また派遣先が連携をとって、直接雇用を希望する派遣労働者にしっかりとした教育訓練を行うためのインセンティブというものはどのような形で考えられているのか、お聞かせ願えますでしょうか。

 

○坂口政府参考人 今委員の方から御指摘ございましたように、派遣労働者の方の派遣先への直接雇用を推進していくということにつきましては、元、先、それぞれの事情がある中でということでありますけれども、理想の形とすると、できるだけ早い段階から、今委員御指摘があったような派遣元と派遣先の連携を進めていくことがより望ましい姿ということで考えております。

 

 そういった中で、それぞれのインセンティブ、動機づけをということになりますと、派遣元に関しましては、派遣元の方で、いわゆる先ほど御指摘があったような教育訓練ということをしっかり実施してスキルアップを派遣労働者にさせる。その上で、手数料の徴収が可能ということになりますと、いわゆる紹介予定派遣というようなものを派遣元の方でどう活用をしていただくかということが一つであろうかと思います。

 

 それから、派遣先につきましては、私ども、予算措置として、キャリアアップ助成金ということで、派遣で働く方を派遣先が正社員として雇用した場合の助成金というものも拡充するというような措置も講じておりますので、そういったことを通じて元、先での直接雇用が進むように後押しをしていきたい、こういうことで考えております。

 

○輿水委員 どうもありがとうございました。

 

 紹介予定派遣という制度を使いながら、派遣元としてはそういった押し出しができる、また、キャリアアップ助成金の拡充ということで、受け入れ先の方も派遣労働者の直接雇用化に向けての取り組みが進められる、そういった環境が今後整えられる、そういうふうにわかりました。

 

 そして、私は、今回の法改正で特に大事なところは、許可制にしたところであると思うわけでございます。つまり、先ほどから申し上げておりますけれども、派遣元がしっかりと派遣労働者の能力、スキルをアップさせていく、そして、将来いろいろなところで活躍できる、そういった人材に育てていく、そのことが今回一番大事である。

 

 そして、許可制にしたことによって、派遣元が、そういったきちっとした教育訓練、あるいは、派遣先との連携による直接雇用に向けたそういった新しい訓練等が具体的、適切に行われるのか、また、技術系のそういった派遣労働者については、日々進む技術の新しい情報をしっかりと伝えながら、その能力のさらなる向上を維持しているのかどうなのか、そういった点をしっかり見ながら、そういったことができないところは許可を取り消す場合もある。

 

 そういった方向性の中で、派遣労働者の育成にさらに力が入り、また、そういう一人一人がこれから日本の未来を大きく担う人材に育ってくる、そういった方向性ができるのかと思うわけでございますけれども、許可制という部分でどのようにこの点を捉えているのか、お聞かせ願えますでしょうか。

 

○坂口政府参考人 今委員の方から御指摘がございましたように、今回の改正法案では、一般派遣事業、それから、今まで届け出で行っていた特定派遣事業の区別を廃止して、全て許可制とするということでございます。

 

 また、今、重要性について委員の方からるる御指摘ありましたキャリア形成、キャリアアップということにつきましては、派遣会社に計画的な教育訓練を義務づけるということとともに、許可要件としましても、キャリア形成支援制度が整備されていることをしっかり求めていくということを予定しておるところでございます。

 

 ですから、許可制ということとこれらの義務づけということが相まって、しっかりこういったキャリアアップ措置を図る、環境整備を図っていくということでございますので、まさに今委員から御指摘あったように、そういった措置が講じられていない派遣会社については、不許可、不更新でありましたり、あるいは、取り消しを背景にした強い指導ということをしっかりやっていくことで、その実効性をしっかり担保したいということで考えております。

 

○輿水委員 どうもありがとうございます。

 

 今、企業間競争というのは相当激化しているし、企業がグローバル化して、本当に競争の中で仕事をしなければいけない。そういった中で、なかなか企業としても、人材を育成するんだけれども、目先のいろいろな仕事に追われて人材育成まで手が回らない、即戦力の人材が欲しい、そういった状況の中で、派遣元での教育訓練、また、派遣労働者がそういった希望を持ちながら即戦力として直接雇用に結びつくことは、企業にとっても、将来、その企業の中核を担う人材がしっかりとまた確保でき育成できる、そういった意味では大変重要なことなのではないかなというふうに感じるわけでございます。

 

 一言で派遣労働者と言っても、先ほど言われたように、技術系の派遣労働者、その育成、あるいは、直接雇用を希望する派遣労働者については、派遣元と派遣先が連携をとっての人材育成、さらに、派遣をもうちょっとこれで続けたい、そういったふうに思われる方も、いつまでも同じところでするのではなく、いろいろな部門、いろいろな経験を重ねることによって自分の仕事の幅を広げて、そして自分に合ったところで直接的な雇用を目指す、そういったものにつながる、こういった法律案である。また、私は、そういった方向性にしっかりとしていかなければいけない、このように思うわけでございます。

 

 最後に、この労働者派遣法の改正において、今言われたように、人材を育成していく、派遣労働者の可能性を大きく引き伸ばしていく、そして、許可制にすることによって、そういったことが行われているかどうかもちゃんと管理監督をしながら、日本の経済の成長を引き上げていく、成長をなし遂げるための人材を、この法制で新しい流れをつくっていくんだ、そういったものにすることが必要であるし、そういったものとしなければいけないと考えておりますけれども、政府の決意、見解をお聞かせ願えますでしょうか。

 

○山本副大臣 御指摘のように、経済のグローバル化や少子高齢化の中で、今後、経済を新たな成長軌道に乗せるためには、人材こそが我が国の最大の資源であるという認識を持っております。

 

 こうした認識を待った上で、今回の労働者派遣法改正案におきまして、今ずっと御質問をいろいろしていただきましたけれども、派遣で働く方の希望に応じたキャリアアップを図ることができる環境を整備するために、今回、派遣元にキャリアアップ措置を義務づけたわけです。また、許可要件にキャリアアップ支援制度というものをしっかりと位置づけていくわけでございまして、これは大変大きな意義があると思っております。

 

 こうした取り組みによりまして、派遣で働く方のうち、正社員として働きたい、そういう方には正社員としての道を開いていくとともに、みずからが働き方として派遣を積極的に選択する人にも、派遣を通じてキャリアアップを支援する環境を整備してまいりたいと思っております。

 

 御指摘のとおり、派遣労働者の方を含め、一人一人の方々、働く方々の可能性を最大限開いていけるように頑張っていきたいと考えております。

 

○輿水委員 どうもありがとうございました。

 

 我が党といたしましても、今まで、人材育成に資するキャリアアップ措置が実効性があるものにと。そういった意味では、今いろいろな確認をさせていただき、また、そういう方向で政府も考えていらっしゃるということはよくわかりましたし、また、そのようにしていきたいと思っております。

 

 ここで一点確認なんですけれども、やはりそのためには、実効性のある制度とするためには、しっかり今の方向性で、ガイドラインというか、そういったものも、具体的なものもしっかりと政府から方向性は出していく、そのことが、派遣元としても安心できますし、また、そういった方向性を出すことによって、よりこの思いが具現化するのではないかというふうに考えるわけですけれども、この点についての見解をお聞かせ願えますでしょうか。

 

○坂口政府参考人 今委員の方からも御指摘があったような点につきましては、今後、派遣法の施行に当たって、しっかり考え方を周知するということもございますけれども、派遣元に対しての講ずべき指針というものもございますので、そういった中でもしっかり取り組むなりしながら、しっかり実効性が上がるようにしてまいりたいと思います。

 

○輿水委員 どうもありがとうございました。

 

 では、派遣労働者の皆様の可能性が大きく伸ばせる、そんな社会になることをまた目指しまして、私の質問を終わらせていただきます。

 

 大変にありがとうございました。