第183回国会 厚生労働委員会 第16号

政府参考人出頭要求に関する件

生活保護法の一部を改正する法律案(内閣提出第七〇号)

生活困窮者自立支援法案(内閣提出第七一号)

厚生労働関係の基本施策に関する件

子どもの貧困対策の推進に関する法律案起草の件

子どもの貧困対策の推進に関する件

○西川(京)委員長代理 次に、輿水恵一君。

 

○輿水委員 公明党の輿水恵一でございます。

 

 本日は、現場の視点での貴重な参考人の皆様の御意見、本当にありがとうございました。

 

 先ほどの遺児と母親の全国大会実行委員長の緑川さん、すばらしいですね、その若さで落ちついた答弁、本当に感動いたしました。どうもありがとうございます。

 

 さて、現在、生活保護の受給者は年々増加をしている。さらに、非正規雇用労働者や年収二百万円以下の世帯も増加をしている。先ほどの緑川さんのこの資料からも、まさに、一九九八年、遺児の母親の年収が二百一万円だったものが、二〇一〇年には百十三万円と、非常に厳しい状況。それと並行してというか、この状況の中で、就学援助、いわゆる給食費や学用品などの援助を受けている受給者数が八十三万人から百五十五万人に増加をしている、こういった状況でございました。

 

 まさに、このような状況の中で、今、生活保護世帯のうちの約二五%が世帯主が生活保護出身というか生活保護を受けている、そういったいわゆる貧困の連鎖と呼ばれる状況があるわけでございます。

 

 まさに、私たちは、この貧困の連鎖をしっかりと断ち切っていく、そして、皆さんが持っている夢あるいは可能性を大きく伸ばしていける、そういった社会を開いていかなければいけない、このように、私たち公明党も全議員が一丸となって取り組ませていただいているところでございます。

 

 そのような中、今回の生活困窮者自立支援法の中にも、こういった子供の貧困の連鎖を断ち切る視点、さらに、二十五年度の予算にも、社会的な居場所づくりの支援事業の強化、そういった視点でも盛り込ませていただいているところでございます。

 

 これが一つのゴールではなくスタート、そのような思いでしっかり取り組んでいきたいと思っております。

 

 そんな視点の中で、まず、樋口参考人の非常に貴重な現場の意見をいただきまして、この点について御意見をいただきたいと思います。

 

 特に、先ほど教育支援事業ということで、この教育支援事業、私ども公明党の厚生労働部会としても、現場を見せていただきました。この「埼玉県・アスポート 生活保護受給者に対する総合的な自立支援の取り組み」、そういったもので、この現場にも実は行かせていただきました。

 

 その中で、教育支援の二つの柱として、まず、対象世帯を訪問し、教育相談、進路相談をしっかりやっていく、そして、学習意欲を高めるために子供たちを教室につなげていく、そういった視点と、あとは、わかる楽しさが実感できる学習環境ということで、先ほども樋口参考人の方から、一人一人によって学力の状況とかが違うので、個別の指導といったことも取り組まれている、そういったきめ細かい、本当に丁寧な取り組みがなされている。私は、現場に行って心から感動して、こういうところがあるんだなと思いました。

 

 そして、先ほどの樋口参考人の資料の中に、例えば実績として、中学三年生の参加者数七百八十二人の対象者中、三百三十一人がアウトリーチによって通うようになった、そして高校進学率も、三百三十一人中、三百二十一人、何と九七%、そういった皆さんが高校に進学をしてさらに挑戦をしていこう、そんな道が開かれてきた、そのような実態を伺いました。

 

 そこで、まずお聞きしておきたいことがあります。この支援事業の成功の要因、要素、あるいは、どのようなところを努力してここまでこぎつけてきたのかについて、お聞かせ願えますでしょうか。

 

    〔西川(京)委員長代理退席、委員長着席〕

 

○樋口参考人 いろいろと本県の事業につきまして高い評価をいただきまして、ありがとうございます。

 

 やはり何といっても、この事業、貧困の連鎖を断ち切るということが一番の肝であろうと思っております。そうした中で、国の補助金や国の基金というのを十分に活用させていただきまして、実は、国庫の負担十分の十ということで、全額そういう国のお金を使って、委託事業という形でやらせていただいております。

 

 具体的には、こちらの教育支援なんかにつきましては、一般社団法人の彩の国子ども・若者支援ネットワークというところに委託をして、そちらの方が各大学を回って、ボランティアのいわゆる教育指導に当たっている方を集めていただいて、一緒になって教育支援をしていただいている。多分、そういう部分でいかにボランティアの方を集めて個別指導ができるかが、この事業の一番の肝だったのかなと。

 

 また、個別に教育支援の担当者が生活保護世帯のところへお伺いされて、教育の重要性を説いて回って御理解をいただいて、お子さんたちを学習教室に通わせる。その辺の部分がやはりうまくいった、それが埼玉県の成果につながっているのではないかなと思っております。

 

○輿水委員 どうもありがとうございます。

 

 まさに、今、ボランティアという話が出ました、私も調べさせていただきましたら、四十四大学から六百人の大学生のボランティアが協力をしていただいている。その中に、具体的に、ボランティア総数として六百八十六人で、六百二十八人が大学生、さらに社会人も五十八名ということで、そういった取り組みの中で、スタッフと子供たちが一丸となった活動を進められている。

 

 そんな中で、さらにここで重要だなと思ったことが一つありまして、この会場というか場所の提供、これが、私どもが回らせていただいたところは、特別養護老人ホーム、これの夜、皆さんがデイサービスで帰られた後のその施設を活用して、またそこをうまく利用しながら事業が行われていたところだと思います。

 

 そこの特別養護老人ホームの管理者さんにお話を聞きましたら、またこれが感動いたしまして、私たち社会福祉法人というのは貧困に苦しむ子供たちの支援は使命なんだ、また、地域の人々の善意をつなげて支援のネットワークを広げていく中心的な存在になっていくのが私たちの役割、そんな思いで一生懸命仕事を、またこういった場の提供をされていました。さらに、勉強だけではなく、時には介護の体験や掃除なんかも一緒にやって、そういった社会性も身につけていただいて、ここから大きく成長していく子供たちを旅立たせていきたい、そんな思いをひしひしと感じたわけでございます。

 

 まさに、こういった地域の協力、ネットワーク、今ここの事業が、間違いなければ十五施設の協力を得ている、そういった方向で進められていると思うんですけれども、こういった連携の仕方とか、こういった皆さんとの今後の取り組みの方向性についても教えていただけますでしょうか。

 

○樋口参考人 今、中学生を対象に、二十四年度、若干数がふえまして、十七施設になっております。そのうち、三施設が公民館等を使っておりますが、十四施設については、特別養護老人ホームを会場に活用させていただいております。

 

 こちらの方は、やはり、今、先生の方からお話もございましたが、特別養護老人ホームの経営者、施設長の皆様方が、何か社会的貢献をしたいというお気持ちが常日ごろありまして、その辺のお話をいただいていた部分が下地になっておりまして、会場を特別養護老人ホームに設定させていただいた。

 

 当然ながら、会場はただでお借りできますし、また、中学生という多感な時期にお年寄りと接する機会を設けることができるということで、先ほど御説明の中にも、老人ホームの行事等にも参加させていただいたりして、受験の際にはお年寄りの方からお守りをいただいたりとか、また、それに対しての返礼の報告会を行ったりとかという形で、非常に交流が進むことができます。

 

 そういう、中学生、高校生の世代の方にお年寄りと交流をしていただく、これは、お年寄りにとっても非常に刺激になり、生きがいが出てまいりますけれども、まずはそういう世代に御理解をいただいて、場合によっては、将来、介護の部分で働いていただく、そういう部分にも生きてくるのではないかと思っております。

 

 以上でございます。

 

○輿水委員 どうもありがとうございます。

 

 こういった施設、また取り組みが全国で広がっていく、こういったことを本当に期待しているわけでございます。

 

 そこで、緑川参考人にちょっと確認をさせていただきたいんですけれども、こういった取り組みが地域の中で生まれてきている、また、地域の子供たちを地域で守り、育てていこう、こういった方向性での活動についての率直な感想を聞かせていただけますでしょうか。

 

○緑川参考人 非常にいい取り組みだと私は思っております。

 

 ただ、残念なことに、これがやはり地域によってというところが、地域ごとにばらばらになってしまっているというところがありまして、全国で統一してこういった支援というか取り組みが行われれば非常にいいと思います。

 

 子供の貧困の改善に向けても、貧困の連鎖を断ち切るには、やはり教育というのも非常に大きなところがありまして、進学率を上げるという面でも、塾に通えない貧しい家庭の子供たちがそういった例えば学習支援を無料で受けられたりというのは非常にいいことだと思いますので、全国にこういった取り組みが広がっていけばいいなというふうに考えております。

 

 以上です。

 

○輿水委員 どうもありがとうございます。

 

 全国に広がっていくようにという形で、今、埼玉県の、もう一回ちょっと確認をさせていただきたいんですけれども、この補助金を使われて、また、こういった取り組みを積極的に進めていこう、そう考えられて、今、ここまで来られたんですけれども、では、そのきっかけというものについて若干お聞かせ願えますでしょうか。

 

○樋口参考人 やはり、一番初めから、チャレンジの中で三本の柱がございますが、貧困の連鎖を断ち切るというのが一番大きな要素でございます。

 

 そういう面で、教育支援をやっていかなきゃいかぬ、そういう形で、将来的には各福祉事務所を抱える市ごとに担っていただくべきものなんだろうとは思いますけれども、やはり、そこまでの部分の温度差がまだございますので、県として、全県にひとしく、今、一時間ぐらいで学習教室に通えるような形で教室を設置させていただいて、県がイニシアチブをとって学習教室を開かせていただいております。

 

 そういう形で、今回御報告させていただいているように成果が上がっておりますので、こちらの方を継続していきまして、そういう貧困の連鎖が断ち切れて、学校に進学した方が、高校中退もせずに、高校を卒業して就労に、そういう形をとっていきたいなと思っております。

 

○輿水委員 どうもありがとうございます。

 

 やはり、そうですね、地域地域の中でどうやって、私、大事なことは、こういったボランティアの方、また協力してくださる方、そういった方に、今、本当にそういった貧困の連鎖があるという事実をしっかりと伝えていく、そして、そういったことをわかってもらえれば、誰もが、できることを協力していきたい、そんな思いを持っていると思いますので、そういったことを私たちも広く伝えられるような環境をつくりながら、これから取り組んでいきたいと思います。

 

 その中で、取り組みで特に感動したことがありまして、そちらの教育支援事業を受けながら、高校への進学はもとより、引きこもっていた生徒が部活のリーダーとしても活躍できるようになった、さらに、子供の頑張る姿を見て母親も就労にさらに頑張ろう、そういった形で立ち上がられた、そんなことも聞かせていただきました。こういったことを見るにつけ、日本の一人一人の心とか可能性を非常に頼もしく感じたとともに、そういったことがさらに広がるようにこれからも努力をして、皆さんとともに歩んでいきたいと思いますので、どうかよろしくお願いをいたします。

 

 本日は、まことにありがとうございました。