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第183回国会 厚生労働委員会 第6号


政府参考人出頭要求に関する件

健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一八号)

厚生労働関係の基本施策に関する件


○松本委員長 次に、輿水恵一君。

 

○輿水委員 公明党の輿水恵一でございます。

 

 私も、昨年、初当選をさせていただいて以来、初めてこの厚生労働委員会の質問となります。きょうの最後の質問となりまして、大変お疲れのところかと思いますが、最後まで元気いっぱいに質問をさせていただきますので、よろしくお願いを申し上げます。

 

 さて、この委員会、一人一人が健康で安心して働ける社会環境を創造するという、日本の将来の繁栄と発展を大きく左右する課題を抱えている大事な委員会である、このような思いでいっぱいでございます。

 

 そして、このような中で、政府の支出において大きなウエートを占めている、午前中の議論でもございましたが、社会保障関係費は増加の一途をたどっております。中でも、医療にかかわる支出は、高齢化の一層の進展や医療技術の高度化などによって、さらなる増加が予想されているところでございます。

 

 そして、今、国民が安心して暮らせる日本の未来を開くために、この医療費を初めとする社会保障関係費をいかに抑制していくのか、また、減少する労働人口を確保するためにどのような取り組みをするのか、積極的かつ具体的な対策が求められているところでございます。まさに、攻めの厚生労働行政の推進が必要であります。

 

 そこで、初めに、一人でも多くの方が生涯元気に働ける社会環境の整備について、大臣の所見をお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

○田村国務大臣 先ほどは、少子高齢化の中で働く方々が減っていきますから、女性の力が大変重要だというお話をさせていただきましたが、やはり高齢者の皆様方のお力も大変重要な部分になってこようと思います。平均寿命がずっと延びてきておりますけれども、日本はあわせて健康寿命の方も延びてきておるわけでありまして、やはり健康寿命の延伸をする、これは安倍内閣においても一つ大きな目標でございます。

 

 その中において、生涯現役ということで、高齢者の方々が、仕事についていただいたりでありますとか社会活動の中で御活躍をいただく、これは大変重要な話であるわけでございます。そのためにも、健康日本21等々、我が省の方は推奨しておりますが、健康づくりをしっかりやっていただく、高齢者の方々がやはり元気で社会の中で御貢献をいただくということが大変重要だというふうに思っておりますので、これからも健康づくり施策を進めてまいりたい、このように思っております。

 

○輿水委員 ありがとうございます。

 

 まさに世界有数の長寿国となった我が国が目指すべき方向は、単なる長寿ではなく健康寿命、つまり、日常的に介護を必要としないで自立した生活ができる生存期間を延ばすことであると思います。

 

 厚生労働省では、国民の健康寿命を延ばすために、今言われたような取り組みの中で、適度な運動、あるいは適切な食生活、禁煙などを推進してきたと思います。ここで大切なことは、事業計画を策定するだけではなく、国民一人一人が実際にあらゆる場面で健康づくりに積極的に取り組むような、そして、取り組みながら生涯健康な日々を送れるかどうか、ここが大事であると思います。

 

 そこで、一人でも多くの国民が健康増進に積極的に取り組むための環境整備、具体的には、今、地方自治体では、いわゆる特定健康診査、あるいは特定保健指導等も含めながら、メタボリックシンドローム防止のためのそんな取り組みもしているところでございますが、なかなかその受診率も上がってこない。また、受診して非常に厳し目な結果が出たとしても、実際、生活習慣を改善して、また、そのデータを改善していく取り組みがなかなか進められない。これは日常生活を突然変えることもできない。そういった状況の中で、ここをいかに具体的に、一人一人が真剣にそういった取り組みができるような方向にしていくかが大事ではないかなと感じているところでございます。

 

 特に、そのような中で、今、国では、健診を受けましょう、あるいは、改善しましょう、指導もしていますだけではなく、もうちょっと国民一人一人の健康増進への具体的な取り組みを適切に評価し、何らかのインセンティブとなるような制度の開設なども必要なのかな、国民がより積極的に予防や健診に取り組む環境を整えること、こんなことにも挑戦をしていくべきか、このように考えますが、見解をお聞かせ願えますでしょうか。

 

○田村国務大臣 今おっしゃられましたとおり、食生活でありますとか運動、たばこと言いますと吸っておられる方々には大変恐縮でありますけれども、たばこの問題、お酒もそうでありましょうし、いろいろ重要なものはありますけれども、やはり健康診断ということをしっかり進めませんと、今の自分の体の現状がどういうことかというのがわからないわけですね。それによって、ある程度重症化を防いでいったりだとか、いろいろなことができるわけでありまして、その主な役割を果たすのが特定健診、そして保健指導という形であります。

 

 これは、産業競争力会議の中でも、実は、ここに関して何らかのインセンティブをまず個人に与えられないかということで、今いろいろな議論をいただいております。そしてまた、保険者に対しても、健診の率が上がれば、例えば後期高齢者支援金なんかの加算、減算みたいな形で何かメリットがないかということで、実際問題、そういう制度も動き出してくるわけでありますけれども、そういうようないろいろなメリットというものを考えるのは、一つのきっかけになるんだというふうに私は思いますので、いろいろな知恵を出して、先生がおっしゃられますとおり、健診が進んでいくように頑張ってまいりたいというふうに思っております。

 

○輿水委員 ありがとうございます。ぜひ大胆な取り組みを期待したいと思います。

 

 次に、一人一人の可能性を追求する福祉行政について伺いたいと思います。

 

 まず初めに、発達障害のある方々が活躍できる社会の構築について。

 

 昨日、四月二日は、国連総会で定められた世界自閉症啓発デーであり、日本においても、この四月二日から八日を発達障害啓発週間として、自閉症を初めとする発達障害について多くの人々に知っていただくことを目的に、さまざまな事業が展開されています。ここで、自閉症を初めとする発達障害について一人でも多くの方に知っていただき、理解をしていただき、適切に対応していただくことは、一人一人の可能性を大きく開いて、社会での活躍の場をつくる大事な取り組みであると思います。

 

 平成十七年四月に施行された発達障害者支援法により、これまでの障害者福祉制度の谷間に置かれ、その気づきや対応がおくれた自閉症、アスペルガー症候群、LD、ADHDなどを発達障害と総称して、それぞれの障害の特性やライフステージに応じた支援を国、自治体、国民の責務として定められました。

 

 しかし、発達障害のある方にとって、まだまだこの現実の社会は厳しい状況にあります。脳の発達の仕方の違いから、他人の気持ちや感情を理解することができない、あるいは、言葉を適切に使うこと、新しいことを学習することなどが苦手であり、一般的な常識と思われることを身につけることもなかなか進まない方もいらっしゃいます。そして、周りの無理解から精神的な苦痛を受け、二次的な障害としてさまざまな精神的な病を引き起こしてしまい、社会から孤立してしまうケースもふえております。

 

 この発達障害に対して適切に対応し、社会から孤立する人々を社会で活躍する人材へと育てることは、日本の将来にとって大変に重要なことであると考えます。

 

 そこで、乳幼児から社会人になるまで、発達障害のある一人一人の個性を大切に、一人の可能性を伸ばす社会環境を厚生労働省が先頭に立って開いていくことが必要と考えますが、見解を伺います。

 

○桝屋副大臣 今委員からお話がありました、自閉症でありますとか、アスペルガーでありますとか、発達障害については、実は障害者福祉の世界でも、長い間、谷間ということもあったわけでありまして、今委員からもお話をいただきましたきのうの啓発デー、お話を出していただいてありがとうございます。

 

 そして、委員も所属しておられる公明党の福島豊先生あたりが、御自分の子供さんのこともあり、平成十六年、各党の先生方にもお話をして、そして、議員立法で発達障害者支援法ができ上がったわけであります。やっとその体制ができた、定義も含めてですね。そして、障害者施策の中でもきちっと対象として捉えるというようなことが始まったわけであります。

 

 先生おっしゃったように、乳幼児期から成人期まで、生涯にわたるライフステージに対応した支援の充実に取り組んでいきたい、一人の人の可能性を求めていきたい、我々厚労省としてもそう考えているわけであります。

 

 具体的には、各都道府県ごとに教育とも連携いたしました発達障害者への支援体制の整備、あるいは、発達障害者支援センターによります専門的見地からの市町村や福祉サービス事業所への支援、そして、早期発見、早期支援のための専門家による学校や保育所の巡回支援事業の実施などを行っているところでございます。

 

 ただ、これは始まったばかりでありまして、やっと全国の体制が整い、今から進められるということでございます。

 

 これらによって、発達障害のある方が早期から一人一人の特性に沿った支援が受けられ、その持っている力を最大限に発揮できるものとなるように進めてまいりたいと考えている次第でございます。

 

○輿水委員 ありがとうございます。

 

 まさに、発達障害の各地域で取り組まれているこの中で、やはり人材。どういった人材がその一人一人を理解して、適切に対応していくのか。組織とか制度と同時に、人材の育成が非常に重要になってくると思います。その辺もしっかりとフォローしていただきながら、一人一人がしっかりと社会で活躍できるような環境をつくっていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 

 次に、攻めの介護事業の推進について伺いたいと思います。

 

 二〇〇〇年にスタートした介護保険制度は、二〇〇五年に介護サービス利用から介護予防へと大きく政策の転換をいたしました。そして、昨年度の改定で、診療と介護報酬が同時に改定され、施設介護から在宅介護への移行を進めながら、団塊の世代が七十五歳以上となる二〇二五年に向け、住みなれた地域で医療や介護などを受けられる地域包括ケアシステムの構築を目指すとしています。

 

 今後重要なことは、医療と介護の連携を強化し、介護の人材の確保とサービスの質の向上を進めながら、高齢者一人一人がより健康的で、より活動的な生活を続けられるような介護や生活支援の提供であると思います。

 

 そのために、さまざまな介護サービスを推進する中で、今の制度の中では、いろいろなサービスの計画を立てて、具体的に取り組んでいる、そういったことに対していろいろな加算をしたりしている、そういったことはあるんですけれども、それ以上に、実際、いろいろなサービスの目的は、その介護の状態を維持したりあるいは改善をしていく、そういった目的があると思うんですけれども、その成果が出たかどうか。

 

 その成果に対してのそういった適切な評価と判断をしながら、本気というか、どこも一生懸命やっていると思うんですけれども、いろいろな形で丁寧に一人一人に対応しながら、そういう具体的な取り組み、計画だけではなく、成果まできっちり出している事業者を評価し、そういったところに新たな加算なども進めることによって、当然、その介護施設にいる方の健康状態が改善されると同時に、優良な施設が地域に育てられる、このように思います。

 

 そのような、計画とか取り組みだけではなく、成果というところも十分見ながら、何らかの施策等は検討できないのかどうなのか、お伺いしたいと思います。

 

○とかしき大臣政務官 お答えさせていただきます。

 

 委員御指摘のとおり、介護の質、そしてその評価、それをどう今後生かしていくかという非常に重要な点だと思われます。

 

 ということで、厚労省といたしましても、サービスの質の評価をしっかりしていこうということになりまして、平成二十五年度からデータ収集を行っております。要介護認定のデータとレセプトのデータを一元的に収集して、分析して、介護保険にかかわる状況がどうなっているのか、それをまずデータベースを構築して、そしてそれから評価を行っていこう、今そのように考えております。

 

 今後も、これらの取り組みをどんどん進めてまいりまして、介護サービスの質の向上、そして国民の皆様に安心して利用していただけるような制度になるように頑張っていきたいと思っております。

 

 ありがとうございました。

 

○輿水委員 ありがとうございます。

 

 まさに、地域の介護、私も地元でそういった施設の方と触れ合う中で、本気で成果を出そうとすると、今のルールの中ではなかなかやり切れない。

 

 例えば訪問介護にしても、新人の方が入ってきました。当然、一人で行くという前提でなっているんですけれども、新人の方のときには二人以上でついて、しっかりとしたその方の指導をして、受けられる方も満足がいくサービスが受けられるように見届けて、そして進めていく。その分が全部、施設管理者というか、その負担になっている。でも、そういったところは成果を出している。そういったところをしっかりと評価できるような、そんな環境をつくっていただければと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 

 最後に、再生医療の安全かつ迅速な実用化の取り組みについて伺います。

 

 さきのこの委員会でも、再生医療を進めるための法案も全会一致で成立をし、また、田村大臣の所信表明においても、我が国で最先端の研究が進められているiPS細胞は、日本発のイノベーション創出の可能性に富んだ技術であり、一刻も早い再生医療の実用化を進めるために、安全面、倫理面に配慮しつつ、予算面での支援と制度面での対応を進めていくと述べられております。

 

 いよいよ、ここからが勝負であると思います。日本の最先端の研究開発の成果をどのように実用化に結びつけていくか。細胞の摘出、保管、培養、投与、経過措置など、個々の工程の技術革新とあわせて、再生医療の実用化を担保する世界標準となるような再生医療の安全基準を日本が生み出していく。また、それに沿った形であらゆる工程をしっかり整備していくことによって、その実用化がなされるものと思います。

 

 いよいよ、この再生医療の分野で新たなる成長を狙う日本として、まさに世界標準となる再生医療の安全基準、こういったものを生み出すための積極的な取り組みが必要と考えますが、この点についての大臣の見解を伺います。

 

○田村国務大臣 再生医療は、本当に国民の皆様方から期待されております。今まで治ることのなかった疾病等々が、治療ができる可能性があるわけでございまして、ただ、一方で、倫理面と安全面というものをしっかりと確保していかなきゃいけないわけであります。

 

 今国会に法律を何とか出させていただきたいなということで、一つは、薬事法の改正という形の中におきまして、今まで、再生医療製品といいますと、どうしてもその特性等々を考えて、他の薬だとか医療機器とは違うわけでございまして、承認しづらいんじゃないかというような心配もあられたわけでありますから、そこに関しましては、条件つきで、期限を設けて早期承認をしよう、ただし、安全面はしっかりと担保していこう、こういうような法案を出させていただく予定でございます。

 

 さらには、再生医療の医療行為自体、これに関しても今、いろいろな危惧があります。リスクに応じちゃんと安全性を確保するということ、さらには、細胞培養加工する場合、今病院でやっておったわけでありますけれども、それを外部委託できるようにしよう、こういうことを含めた再生医療新法等々も出させていただこうということで、準備をさせていただいております。

 

 いずれにいたしましても、そのような法律にのっとってこれからいろいろな行為をしていくわけでありますが、医療行為でありますとか、また臨床研究でありますとか、それぞれそういうものを行うときの基準というものもあるわけでございまして、この基準というものをしっかりと設定しながら、一方で、再生医療製品に関しましては、今までもその安全性にかかわるガイドラインをつくってきておりますので、そういうものを、これから、先生おっしゃられるとおり、国際基準のような形でつくっていけるようにしっかりと努力してまいりたい、このように思っております。

 

○輿水委員 どうもありがとうございました。

 

 再生医療のトータルコーディネートを厚生労働省にしっかりやっていただきまして、成長につなげていただければと思います。

 

 本日は、まことにありがとうございました。以上で終わります。