中小企業、小規模事業者の技術の需要と付加価値の創出について 5/7


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質問 輿水恵一(内閣委員会第3号130315).pdf
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輿水委員 そして、続きまして、中小企業、小規模事業者の技術の需要と付加価値の創出についても、ちょっと伺いたいと思います。

 日本の経済の未来は、労働人口のほとんどを抱える中小企業の成長にあると言っても過言ではございません。中小企業支援に対して、今日まで、資金繰りあるいは経営改善など、いろいろな形で進めてまいりましたが、新たな成長のためには、今大臣がおっしゃられたような、中小企業も需要につながる技術革新が必要であります。

 大企業は、市場において高いシェアを確保する主力製品を抱えており、需要を的確に捉える技術開発目標も明確であります。さらに、研究開発への資金も人材も豊富であり、金融緩和と財政出動により、自力で新たな富を創出することが可能であると思います。

 一方、中小企業は、事業の存続をかけて、日夜、品質、コスト、納期に対する挑戦を繰り返していますが、新たな需要や市場開拓を視野に入れた技術開発目標を設定する情報も人材も乏しいのが実情であります。

 政府は、中小企業の試作開発や設備投資等に要する経費を補助する、ものづくり中小企業・小規模事業者試作開発等支援補助金などの創設を今回なされましたが、中小企業のイノベーションを支援していく、このために重要なことは、この潜在力をいかに高い需要と付加価値に結びつけていくかであります。各中小企業が、需要に的確につながるさまざまな要素における技術目標を明確につかむことにより、研究開発投資のリスクは軽減され、優良な中小企業を数多く輩出する投資がなされるものと考えます。

 中小企業の成長を生み出す、需要を徹底的に追求し、それを実現するための、実現可能な要素技術を目標設定するアドバイスや情報を提供するような、そういった環境の整備について、政府の見解を求めます。

佐藤(ゆ)大臣政務官 輿水議員にお答え申し上げます。

 輿水議員は、要素技術の開発におきまして大変御造詣が深いと伺っているところでございますが、まさにこの分野におきまして、中小ものづくり高度化法というものを私どもは実施をいたしているところでございます。

 この中小ものづくり高度化法におきましては、我が国製造業の国際競争力の強化、また、新たな事業の創出に特に資する技術に関しまして、高度化を図っているところでございます。これは、国際競争力の、新たな事業の創出に資する技術を経済産業大臣が特定ものづくり基盤技術としてまず指定をいたしまして、高度化を図っているということでございます。

 そして、中小企業におきましては、特定ものづくり基盤技術に関しまして、研究開発計画を策定をいただきまして、それを経済産業局に申請をいただき、そして経済産業大臣が認定を行うというような仕組みで運営をさせていただいているところでございます。

 例えば、金属プレス加工にかかわる技術でございますが、このような技術の認定を受けました研究開発計画におきましては、自動車部品の小型化、軽量化による燃費向上ですとかコストダウン、こうしたものに資する研究開発を支援させていただいているというものでございます。

 また、特定ものづくり基盤技術につきまして指針も策定をいたしておりまして、中小企業、小規模企業が実施すべき技術開発の方向性につきまして体系的に整理をして、同指針の情報提供にも努めているところでございます。

 さらに、中小企業、小規模事業者に対しまして、高度な知識とノウハウを有します、例えば技術士ですとか技術コンサルタント、こういった専門家の派遣も実施をいたしておりまして、その中で、輿水委員御指摘の、アドバイスや情報提供につきましても努力をしてまいりたいと存じます。

輿水委員 ありがとうございます。

 例えば、私もアイフォンを使っているんですけれども、このアイフォンのほとんどの部品は日本の部品、しかし、この収益のほとんどがアップル社の収益になっている。日本のすぐれた部品をいかにこういった最終商品というか製品につなげて、そして、そこに新たな雇用とまた新しい需要を創出していくのか、こういったことが大変に重要であると私も考えているところでございます。

 まさに市場のニーズに応える、また、新たな市場を開拓するためのさまざまな技術分野において、要素技術を有機的に結合させ、最後まで責任を持って事業化をさせるイノベーション人材、あるいはイノベーション組織、いわゆる技術の総合プロデューサー、あるいは技術のトータルコーディネーターの育成や創出、これがまさに成長戦略の基盤だと思いますが、改めまして、甘利国務大臣の御見解を伺います。

甘利国務大臣 よく言われますのは、日本は技術で勝ってビジネスで負けるということを言われます。

 インテルのビジネスモデルと、それからルネサスエレクトロニクスでしたかをよく比較されます。両方とも、製品市場に占めるシェアが四〇パーとか六〇パーとか言われている。ルネサスで驚いたことは、あの工場がとまると世界の自動車生産がとまってしまうんだということにびっくりしたんですけれども、そんな基幹部品が赤字会社だということがもっとびっくりしたということを言われるわけですね。

 要は、インテルの場合だと、パソコンの利益のほとんどを部品メーカーが持っていっちゃう。それで、こちらは基幹部品でありながら、利益をみんなとられちゃう。これは、ビジネスモデルで負けているのではないか。つまり、製品に対する価格支配力をしっかり持つような、いいものをつくるということは大事ですけれども、それをしっかりとしたビジネスモデルに仕上げるというところが日本は欠けていたのではないかということが随分指摘されているわけであります。

 これからは、技術開発の分野とそれからビジネスの分野、経産省を中心に、経済界でも、しっかりとしたビジネスモデルまでつくっていって、技術が収益に反映していくような、トータルコーディネートということをしっかりしていかなければいけない、新しい視点を持って日本の産業を考えていかなければならない時期だというふうに思っております。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 まさに、三本目の矢の成長戦略、ここに大きな鍵があると私は感じております。この取り組みに期待をいたしまして、次の質問に移らせていただきます。