· 

第211回国会 本会議 第19号


○議長(細田博之君) 輿水恵一君。

 

    〔輿水恵一君登壇〕

 

○輿水恵一君 公明党の輿水恵一です。

 

 私は、自由民主党・無所属の会、公明党を代表し、ただいま議題となりました法律案について質問をいたします。(拍手)

 

 人口減少や厳しい財政状況の下で、経済成長と公的サービスを維持するためには、官民共に生産性を向上させることが不可欠です。そのための有力な手段の一つがデジタル化であると思います。

 

 本法案は、これまで社会保障、税、災害対策で活用されてきたマイナンバーの利用範囲を拡大するほか、迅速な給付に向けて公金受取口座の登録を加速する特例制度の創設や、マイナンバーカードの利用促進により社会のデジタル化を一層前へ進めようとするものであり、時宜を得たものであると思います。

 

 今後、あらゆる分野でのデジタル化が進展する中で、生産性や利便性の向上に加えて、データの利活用により、新たな価値を創造する多様なサービスの展開も期待されます。

 

 一方で、国民の不安を払拭することも重要です。社会のデジタル化が進めば進むほど、個人情報の保護を始め、安全で安心な情報連携とともに、その適切な運用のための環境整備がますます重要になります。

 

 また、日常のあらゆる場面においてデジタル技術の活用が浸透する中で、その基盤である情報通信インフラの安定性や冗長性の更なる強化も不可欠です。

 

 本日は、我が国のデジタル化の将来ビジョン、デジタル化への信頼性の構築、強靱で安全な情報通信網の整備について質問をさせていただきます。

 

 社会のデジタル化において、その恩恵を国民が実感できることが重要です。マイナンバーの活用範囲の拡大によるバックオフィスでの情報連携や、マイナンバーカードのICチップに搭載された電子証明書による公的個人認証やカードアプリの活用によって、私たちの日常はどのように変わるのか、また、行政の生産性や国民の利便性をどのように向上させようとしているのか、デジタル大臣の将来ビジョンを聞かせてください。

 

 マイナンバーやマイナンバーカードを活用するサービスを、一人でも多くの国民に、いつでもどこでも安全に安心して利用していただくためには、分かりやすい情報提供とともに、悪用に対する不安を解消することが重要であると思いますが、その現状認識と今後の取組について伺います。

 

 社会のデジタル化が進展し、個人が保有する様々な情報のあらゆる場面での活用が進む中では、その安全性を確保し、個人情報を適切に保護する取組の強化が求められます。個人の権利利益を保護するために、個人情報の適正な取扱いの確保を図ることを任務とする個人情報保護委員会の果たす役割はますます大きくなります。

 

 本法案には、新規に必要とされる情報連携の速やかな立ち上げを実現するために、既にマイナンバーの利用が認められている事務に準ずる事務という判断基準によって、マイナンバーの利用拡大を可能にしたり、マイナンバーの利用が認められている事務における情報連携に係る事項を省令で規定できるようにする内容が含まれています。

 

 ここで、不適切なマイナンバーの利用や情報連携が行われてしまうのではないかといった不安の声もありますが、実務を担うデジタル庁の認識をお聞かせください。また、運用面において、独立性の高い機関である個人情報保護委員会の果たす役割について、その現状と今後についてお聞かせください。

 

 今後は、国民の最も身近なところで行政サービスを提供する地方自治体でのマイナンバー等の活用により、書かない窓口や行かない窓口など、業務のデジタル化が期待されている中で、その信頼性を確保することが大切です。

 

 個人情報保護委員会は、マイナンバーによりアクセスできる情報を含む個人情報が行政機関等や事業者において適正に取り扱われるよう、指導助言、検査等を適時適切に行うとしています。今日のデジタル化への流れの中で、その役割を十分に果たすための組織体制の強化も必要かと思いますが、その現状と今後についてお聞かせください。

 

 社会のデジタル化を進める上で、行政サービスや行政データ等を活用した民間サービスの利用者に対して安定的にサービスを提供し続けるためには、デジタルインフラの強靱化が必要です。

 

 そこで、地震や台風などの災害の発生に対して、デジタルインフラの中でも重要なデータセンターについて、どのような被害を想定し、どのような対策を進めようとしているのか、お聞かせください。

 

 また、サイバー攻撃によるシステム障害などの被害を未然に防止するために、通信事業者との連携によるセキュリティー対策の強化も求められます。その現状と今後についてお聞かせください。

 

 今後のデジタル化の進展の中で、情報通信トラフィックの増大やデータセンターなどの更なる増設により、情報通信網の電力消費は膨大になることが予想されます。持続可能なデジタル社会の構築に向けて、DXとGXを両立させる情報通信ネットワークの構築を目指す必要があると考えますが、どのような取組がなされているのか、お聞かせください。

 

 これまでも公明党は、デジタル化の恩恵が国民一人一人に行き渡るよう、安全、安心の、人が中心の新たなデジタル社会の構築を目指し、取組を進めてきました。

 

 そこで、最後に、本法案で進めようとしているマイナンバーカードと保険証の一体化において、マイナンバーカードを持たない方や紛失してしまった方への丁寧な対応や、デジタル端末の操作に不慣れな方への寄り添った支援を行うデジタル推進委員の全国展開など、誰一人取り残されない、人に優しいデジタル社会の構築に向けて、デジタル大臣の御決意を伺い、私からの質問とさせていただきます。

 

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

 

    〔国務大臣河野太郎君登壇〕

 

○国務大臣(河野太郎君) まず、マイナンバー制度の推進による将来ビジョンについてのお尋ねがありました。

 

 マイナンバー制度は、行政の効率化と国民の利便性向上を実現し、公平公正な社会を実現するデジタル社会の基盤です。マイナンバーの利用によって、現在、児童手当の申請など、約二千五百の社会保障制度、税制、災害対策といった事務において、行政機関等の間での情報連携により、住民票の写しや課税証明書等の添付書類を省略可能としています。

 

 本改正法案では、社会保障制度、税制、災害対策分野以外の行政手続においても、マイナンバーの利用の促進を図ることとしています。具体的には、国家資格、自動車登録、在留期間更新に関する事務等において、マイナンバーの利用を可能とします。これにより、当該手続においても、これまで提出を求めていた書類の取得、添付が不要となります。

 

 マイナンバーカードは、対面に加え、オンラインでも確実な本人確認ができる安全、安心なデジタル社会のパスポートです。マイナンバーカードなどの利便性向上については、引っ越しや子育て、介護など、スマホから様々な手続ができるオンライン市役所サービスや、マイナンバーカード一枚で図書館カードとしての利用や避難所受付など様々な市町村サービスが受けられる市民カード化を推進するとともに、民間事業者における活用の拡大に取り組んでいます。

 

 引き続き、デジタル社会の基盤であるマイナンバーやマイナンバーカードの活用拡大を図っていくことで、一人一人がデジタル化の恩恵によりニーズに合ったサービスを享受できるよう、デジタル社会の実現に向けた取組を強力に進めてまいります。

 

 次に、マイナンバーやマイナンバーカードの悪用に対する不安の解消についてのお尋ねがありました。

 

 マイナンバー制度では、制度面及びシステム面で各種のセキュリティー対策を講じており、具体的には、マイナンバーを取り扱う者に対して、漏えい防止等の安全管理措置を義務づけ、個人情報保護委員会が必要な指導等を行うこと、個人情報を一元管理せず、各行政機関において分散管理することなど、個人情報保護に十分配慮した仕組みとしております。

 

 また、マイナンバーカードのICチップに記録される個人情報は、券面に記載されている氏名、住所などの情報に限られ、機微な個人情報は記録されておりません。

 

 さらに、マイナンバーカードを利用する場合には暗証番号が必要であり、一定回数間違えるとロックがかかるなど高いセキュリティー対策を講じており、カードの紛失、盗難等により個人情報が流出するものではございません。

 

 本法案により、こうした個人情報保護に配慮した仕組みが変わることはございません。

 

 マイナンバー制度やマイナンバーカードに対する国民の不安が解消されるよう、引き続き、周知、広報についても積極的に取り組んでまいります。

 

 次に、マイナンバーの利用や情報連携に関する不安についてお尋ねがありました。

 

 本改正においても、個別の法律の規定に基づく事務について新たにマイナンバーを利用するためには、従来どおり、引き続き、マイナンバー法に個別に規定する必要があります。その上で、法律でマイナンバーの利用が認められている事務に準ずる事務について、事務の性質が同一である事務に限定した上で、主務省令によりマイナンバーの利用を可能とすることとしています。

 

 また、本改正において、情報連携を速やかに開始するため、法令でマイナンバーの利用が認められている事務の範囲内で、主務省令において情報連携を可能とすることとしています。この場合においても、情報連携できる主体、事務は法令で厳格に限定されていることから、政府の裁量が従前より大きくなることはございません。

 

 このような改正は、新型コロナウイルス感染症対策の経験を踏まえた措置であり、国民の利便性向上や行政の効率化が大きな目的であります。

 

 また、先ほどもお答えしましたように、この改正により、個人情報保護に配慮した制度に何ら変更はございません。

 

 なお、個人情報保護委員会においては、現状、特定個人情報保護評価制度の運用及び監視、監督の取組を行っており、本改正後も引き続き適切な対応がなされるものと承知しております。

 

 個人情報保護委員会の組織体制についてのお尋ねがありました。

 

 個人情報保護委員会は、令和三年の改正個人情報保護法により、従来の民間事業者に加え、昨年度から、国の行政機関等における個人情報保護の制度及び監視、監督業務を所管しており、今年度からは、地方公共団体等についても所管しているものと承知しております。

 

 これらの業務を適切に行うために必要な体制として、令和四年度及び令和五年度の機構・定員要求を通じて、監視、監督業務を担当する審議官等の設置とともに、事務局の定員として、令和三年度末の定員から七十三人増員し、二百二十一人の体制とすることが認められたものと認識しております。

 

 今後とも、個人情報保護委員会において、マイナンバーを含む個人情報の適正な取扱いの確保に向けて、デジタル技術の活用による効率化も図りながら、必要な体制整備について検討されるものと承知しております。

 

 最後に、誰一人残されないデジタル社会の構築についてお尋ねがありました。

 

 誰一人取り残されないデジタル社会を実現するためには、紛失等によりマイナンバーカードを持たない方やデジタル機器に不慣れな方へのきめ細やかなサポートが重要です。

 

 マイナンバーカードと健康保険証の一体化に関しては、デジタル庁、総務省、厚生労働省で進めてきた検討会において必要な対応を取りまとめています。

 

 具体的には、現在、カードの交付まで約一か月を要するところ、紛失等、速やかにカードを取得する必要がある場合には申請から最短五日で交付できる仕組みを構築することや、マイナンバーカードによりオンライン資格確認を受けることができない状況にある方については資格確認書を提供することなど、一体化に向けた環境整備を丁寧に行っていくこととしています。

 

 また、デジタル庁では、これまでに二万四千人を超える方々をデジタル推進委員として任命し、デジタル端末に不慣れな高齢者等を対象に、スマホの基本的な操作方法やマイナンバーカードの利用方法などをサポートしていただいています。

 

 このような取組を引き続き進めていくことにより、誰一人取り残されないデジタル社会の実現を目指してまいります。(拍手)

 

    〔国務大臣松本剛明君登壇〕

 

○国務大臣(松本剛明君) 輿水議員からの御質問にお答えいたします。

 

 まず、データセンターに関する災害対策について御質問いただきました。

 

 現在、我が国のデータセンターは東京圏に集中しており、例えば首都直下地震により甚大な被害が生じ稼働ができなくなった場合、その影響が全国に及ぶ可能性があります。

 

 そのため、総務省では、経済産業省と連携し、データセンターの分散立地を推進するため、民間事業者の初期投資を支援しております。

 

 総務省としては、今後も、データセンターの災害対策を始め、災害に強いデジタルインフラの整備に取り組んでまいります。

 

 次に、サイバー攻撃への対策強化について御質問いただきました。

 

 総務省としては、電気通信事業者と連携しながら、サイバー攻撃情報を共有するICT―ISACの活動を推進し、NISCなどとともに、政府として、国民生活や社会経済活動を支える情報通信ネットワークの安全性、信頼性の確保に努めております。

 

 また、総務省では、電気通信事業者が、大規模化、巧妙化するサイバー攻撃に、より効果的に対処できるよう、攻撃の指令元となるサーバーを早期に検知する技術の実証等を実施しているところです。

 

 最後に、DXとGXを両立させる情報通信ネットワークの構築を目指した取組について御質問いただきました。

 

 DXの進展などにより、このまま技術革新がなければ、通信インフラの消費電力が大幅に増大することが懸念されております。

 

 このため、総務省では、本年三月にNICTに造成した研究開発基金を活用して、世界でも高い評価を受けている、通信インフラの超高速化、低遅延化とともに大幅な省電力を実現するオール光ネットワーク技術などの開発を支援し、早期の社会実装、海外展開を促進してまいります。(拍手)

 

    ―――――――――――――

 

○議長(細田博之君) 塩川鉄也君。

 

    〔塩川鉄也君登壇〕

 

○塩川鉄也君 私は、日本共産党を代表して、マイナンバー法等改正案について質問します。(拍手)

 

 まず、健康保険証廃止の問題です。

 

 国民の大きな反対の声があるにもかかわらず、本案は、保険証を廃止し、マイナンバーカードに置き換えようとするものです。

 

 資格を有することを示す保険証を被保険者に届けることは、国、保険者の責務です。マイナ保険証も本案で創設される資格確認書も、本人からの申請に応じた交付です。保険証を廃止して申請交付とすることは、国、保険者の責任放棄であり、国民皆保険制度を揺るがすものです。

 

 本案は、マイナ保険証も資格確認書も持たない人に、不利益をもたらすことになるのではありませんか。

 

 そもそも、マイナカードの取得は、義務ではなく、希望者のみではありませんか。保険証を人質に、窓口負担を増やしてまで、マイナカードの取得、利用を強要することは許されません。

 

 医療関係者は、オンライン資格確認システムについて、医療機関の経済的負担やデータ漏えいリスク負担の危惧を訴えています。高齢者、障害者施設からは、マイナ保険証と暗証番号の管理や資格確認書の申請管理が困難との声が上がっています。これらの声をどう受け止めているのですか。

 

 マイナ保険証利用の押しつけ、保険証の廃止は撤回すべきです。答弁を求めます。

 

 次に、マイナンバー制度拡大の問題です。

 

 マイナンバー制度は、政府が住民一人一人に生涯変わらない番号をつけ、多分野の個人情報をひもづけるものです。プライバシー侵害のリスクが避けられません。

 

 それゆえ、現行制度は、社会保障、税、災害対策の三分野に限定し、利用する事務、情報連携も法律で規定し、マイナンバーを含む個人情報の収集、保管は本人同意があっても禁止しています。こうした厳格な縛りは、国民総背番号制導入やプライバシー侵害に対して国民の批判があったからではありませんか。

 

 にもかかわらず、本案は、基本理念の中で、マイナンバー利用を、三分野に限定せず、全ての行政分野において推進するとしています。マイナンバー利用の対象に理美容師、教員、調理師等の国家資格の事務等を追加し、さらに、法定事務に準ずる事務や条例で措置した自治体事務は、法定することなくマイナンバーを利用できるとしています。マイナンバーの情報連携は、法定から外して法改正なしとし、国会審議もなしに拡大できるようにしています。これは、マイナンバー制度の仕組みを大きく変えるものであり、プライバシー侵害の危険性を一層高めるものではありませんか。答弁を求めます。

 

 マイナカードの本人確認も問題です。

 

 政府は、交付の際に市町村で厳格な本人確認を行う、利用には暗証番号か顔認証が必要であると安全性を強調してきました。ところが、本案では、マイナカードの直接交付の規定を緩め、二回目以降の暗証番号入力なしを認めるとしています。マイナカード普及のために、安全確保策を後退させるものではありませんか。

 

 また、公金受取口座登録の特例も問題です。

 

 本案は、年金受給口座を手始めに、本人から不同意との回答がなければ、自動的にマイナンバーとひもづける特例を盛り込んでいます。これまでの本人同意ありの原則から百八十度の転換ではありませんか。このようなやり方では、制度に対する国民の不信は一層高まるものであります。

 

 最後に、デジタル化の推進のために盛り込んだ、戸籍等の氏名の振り仮名の問題です。

 

 本案は、氏名の振り仮名は一般に認められている読み方に限るとしています。これでは、行政が一般的な読み方の審査を行うことになります。命名に介入することは許されません。

 

 また、現在戸籍に記載されている人の振り仮名は、本籍地市町村長が記載するとしています。本人が知らない間に、現に使っているものとは違う振り仮名となる可能性があるのではありませんか。

 

 氏名は個人の人格を象徴するものであり、その読み方は尊重されなければなりません。

 

 マイナンバー制度は廃止すべきだと申し述べ、質問を終わります。(拍手)

 

    〔国務大臣加藤勝信君登壇〕

 

○国務大臣(加藤勝信君) 塩川鉄也議員の御質問にお答えいたします。

 

 健康保険証の廃止についてお尋ねがありました。

 

 国民の皆様にマイナンバーカードで受診していただくことで、患者本人の健康、医療に関する多くのデータに基づいた、よりよい医療を受けていただくことが可能となるなど、カードと健康保険証の一体化には多くのメリットがあります。こうしたことを踏まえ、来年秋に健康保険証を廃止することを予定しております。

 

 マイナンバーカードが任意の申請に基づき交付されるものであることは変わりなく、健康保険証の廃止後、オンライン資格確認を受けることができない状況にある方に、本人の申請に基づき資格確認書を発行するとともに、資格確認書の申請勧奨など、資格確認書の取得について必要な対応を行ってまいります。

 

 また、オンライン資格確認を導入している医療機関などについては、薬剤情報などを活用した医療の質の向上が期待されるため、診療報酬を加算しております。その上で、マイナンバーカードを利用した場合には、問診等の業務負担が減ることから、患者負担を低くしているところであります。

 

 オンライン資格確認の導入支援や施設での入所者への対応についてお尋ねがありました。

 

 医療保険のオンライン資格確認の原則義務化に当たっては、顔認証つきカードリーダーの無償提供やシステム改修への補助金の拡充を行ってまいりました。また、医療機関等が使用するネットワークについては、善意のある第三者からの攻撃による情報漏えいを防ぐために、通信事業者が独自に保有する閉域ネットワークなどを使用するなどの対応を行っております。

 

 高齢、障害福祉施設における入所者のカードや資格確認書の管理の在り方については、安心して管理することができる環境づくりを推進するため、関係省庁とも連携し、関係団体の御意見も伺いながら、取扱いの留意点などを整理して丁寧にお示しをしてまいります。

 

 マイナンバーカードで受診するメリットを広く実感していただけるよう、現場からの様々な声に一つ一つ丁寧に対応しながら取り組んでまいります。(拍手)

 

    〔国務大臣河野太郎君登壇〕

 

○国務大臣(河野太郎君) まず、マイナンバー制度におけるプライバシー侵害の危険性についてのお尋ねがありました。

 

 マイナンバー制度は、行政の効率化と国民の利便性向上を実現し、公平公正な社会を実現するデジタル社会の基盤です。

 

 また、マイナンバー制度は、制度面及びシステム面で各種のセキュリティー対策を講じており、具体的には、マイナンバーを取り扱う者に対して、漏えい防止等の安全管理措置を義務づけ、個人情報保護委員会が必要な指導等を行うこと、個人情報を一元管理せず、各行政機関において分散管理することなど、個人情報保護に十分配慮した仕組みとしております。

 

 本改正でも、個別の法律の規定に基づく事務について新たにマイナンバーを利用するためには、従来どおり、引き続き、マイナンバー法に個別に規定する必要があります。その上で、法律でマイナンバーの利用が認められている事務に準ずる事務について、事務の性質が同一である事務に限定した上で、主務省令によりマイナンバーの利用を可能とすることとしています。

 

 また、本改正において、情報連携を速やかに開始するため、法令でマイナンバーの利用が認められている事務の範囲内で、主務省令において情報連携を可能とすることとしています。この場合においても、情報連携できる主体、事務は法令で厳格に限定されていることから、政府の裁量が従前より大きくなることはございません。

 

 このような改正は、新型コロナウイルス感染症対策の経験を踏まえた措置であり、国民の利便性向上や行政の効率化が大きな目的であります。

 

 また、本改正で、個人情報保護に十分配慮した仕組みに何ら変更はございません。

 

 次に、マイナンバーカードの安全性の確保策についてお尋ねがありました。

 

 改正法案では、J―LISから申請者に直接カードを送付する仕組みを整備しますが、これは、紛失等により速やかにカードの交付を受ける必要がある方に、申請時に市町村の窓口に出向いていただき、対面での本人確認を行うことを前提とするものであり、カードの交付に当たって厳格な本人確認を行うことを変更するものではありません。

 

 また、改正法案では、マイナンバーカードの普及、利用促進のため、暗証番号の入力等を行わずに利用者の確認をする方法の規定を整備することとしています。この方法は、サービスの利用開始時に電子署名や電子利用者証明による確認を行うこととし、利用場面を、図書館サービスの貸出しや返却の場面のように、暗証番号の入力等まで求める必要がない場面に限ることとしています。その上で、暗証番号の入力等を行わずに受理した電子証明書について、その有効性を確認するとともに、マイナンバーカードに格納されたものであることを対面利用等により確認することとしています。これらの措置により、確実に安全性を確保しています。

 

 最後に、公金受取口座登録の特例制度に係る同意の取り方についてお尋ねがありました。

 

 改正法案の公金受取口座登録の特例制度においては、対象者に対し書留郵便等により個別に事前通知を行う旨、法律に規定するとともに、広報等を通じて前広に本制度の周知徹底を図ることを予定し、登録を行いたくない方について不同意の回答を行う機会を確実に確保することにより、本人の意思を確認することとしています。

 

 さらに、不同意の回答を失念していた等により、本人が希望していないにもかかわらず口座を登録してしまった場合であっても、マイナポータルや金融機関経由で登録口座の変更や抹消はいつでも可能であり、登録完了後の本人への通知においてその旨案内するなど、万全の対応を期してまいります。

 

 また、こうした取組と併せて、公金受取口座は公的給付等の支給のためのものであり、登録によって口座残高や取引履歴等が把握されるものではないことなど、公金受取口座登録制度の趣旨についても引き続き周知徹底を図り、国民の皆様の理解を得られるよう取り組んでまいります。(拍手)

 

    〔国務大臣齋藤健君登壇〕

 

○国務大臣(齋藤健君) 塩川鉄也議員にお答え申し上げます。

 

 まず、戸籍に氏名の振り仮名を記載することに関し、戸籍窓口の審査についてお尋ねがありました。

 

 氏名の振り仮名について、一般に認められている読み方かどうかは、社会において受容され、慣用されているかという観点から判断されることになります。

 

 本籍地の市町村長が戸籍に氏名の振り仮名を記載する場合の審査に当たっては、いわゆる名のり訓などを幅広く許容してきた我が国の命名文化を踏まえた運用とすることを予定しています。

 

 したがって、行政が命名に介入する旨の御指摘は当たらないものと考えています。

 

 次に、本籍地の市町村長による氏名の振り仮名の記載についてお尋ねがありました。

 

 現に戸籍に記載されている方の氏名の振り仮名については、まず、氏については戸籍の筆頭に記載されている方に、名についてはそれぞれの方に届け出ていただくことを予定しております。このため、その周知、広報に努めてまいります。

 

 また、こうした氏や名の振り仮名の届出がされないこともあり得るため、その場合には、本籍地の市町村長は、住民票において市町村が事務処理の用に供するため便宜上保有する情報等を参考にして、あらかじめ本人に通知をした上で、戸籍に記載することを予定しております。

 

 なお、この振り仮名が現に使用しているものと異なる場合には、家庭裁判所の許可を得なくとも、届出をすることで変更することも可能としています。

 

 次に、現に戸籍に記載されている方の氏名の読み方の尊重についてお尋ねがありました。

 

 現に戸籍に記載されている方の氏名の振り仮名については、現に使用している読み方を尊重する観点から、氏については戸籍の筆頭に記載されている方に、名についてはそれぞれの方に届け出ていただくことを予定しております。

 

 また、一般に認められている読み方以外でも、現に使用されている氏名の読み方であれば、許容することを予定しております。

 

 いずれにしましても、現に戸籍に記載されている方の氏名の振り仮名については、現に使用している方の読み方を尊重する取扱いをしてまいります。(拍手)

 

○議長(細田博之君) 厚生労働大臣から、答弁を補足したいとの申出があります。これを許します。厚生労働大臣加藤勝信君。

 

    〔国務大臣加藤勝信君登壇〕

 

○国務大臣(加藤勝信君) 塩川委員への答弁において、悪意のある第三者からの攻撃と申し上げるべきところを、善意のある第三者からの攻撃と答弁をいたしました。悪意のある第三者からの攻撃と答弁を訂正させていただきます。(拍手)

 

○議長(細田博之君) これにて質疑は終了いたしました。

 

     ――――◇―――――

 

○議長(細田博之君) 本日は、これにて散会いたします。