· 

第208回国会 総務委員会 第12号


○赤羽委員長 次に、輿水恵一さん。

 

○輿水委員 公明党の輿水恵一でございます。

 

 本日、質問の機会をいただきましたことに、心より感謝を申し上げます。

 

 それでは、早速でございますが、電波法及び放送法の一部を改正する法律案につきまして質問をさせていただきます。

 

 我が国の移動通信システムは、第一世代のアナログ音声通信から始まり、第二世代では、デジタル音声通信に加え、メールやインターネット接続が可能となりました。そして、第三世代では、音楽、ゲーム等のサービスも提供されるなど急速に進展し、第四世代では動画の配信、そして第五世代、いわゆる5Gにおいては、超高速化、大容量化等が進められているところでございます。

 

 この移動通信システムの高度化とともに、スマートフォンが急速に普及する中で、通信トラフィックが激増している状況であります。

 

 また、近年、無線モジュールを搭載した自動車を始め、様々なものがインターネットにつながるIoTの進展、さらに、ビッグデータを扱うM2M無線システム、また、ドローンによる配送サービスを始めとするロボット等の遠隔操作、また、スマートインフラとしてのワイヤレス給電システムなど、電波を利用したサービスへのニーズは急激に高まっているところでございます。

 

 そこで、金子総務大臣に伺います。

 

 今後の我が国の無線通信において、どのような分野における電波のニーズが今後どのように増大すると考えているのか、また、そのニーズに対して周波数をどのように分配しようとしているのかにつきまして、お伺いを申し上げます。

 

○金子(恭)国務大臣 輿水委員御指摘のとおり、社会全体のデジタル変革が進む中、今後、電波の利用ニーズが一層拡大することが予想されております。

 

 具体的には、総務省で開催をいたしました昨年八月のデジタル変革時代の電波政策懇談会報告書におきまして、5G、ビヨンド5Gなどの携帯電話に加え、衛星通信、IoT、無線LAN、自動運転等の次世代モビリティーなどの分野を中心に、今後ニーズが拡大することが指摘されております。二〇二五年度末までに約十六ギガヘルツ幅、二〇三〇年代までに約百二ギガヘルツ幅の新たな周波数を確保する必要があるとの目標が示されたところでございます。

 

 総務省としては、この目標の実現に向けて、技術の進展を踏まえた周波数の一層の有効利用、同じ周波数帯の複数のシステムによる共用、ミリ波帯やテラヘルツ帯など高い周波数の利用技術の開発を一層推進することにより、5Gやビヨンド5Gを始めとする新たな電波の利用ニーズに対応するため、必要な周波数をしっかりと確保してまいりたいと思います。

 

 御支援をよろしくお願いいたします。

 

○輿水委員 どうもありがとうございました。

 

 まさに、そして今回の電波法の改正では、この限りある電波の有効な活用を目指して周波数利用の最適化を目指すということでございますが、そこで、今お話にありました5Gやビヨンド5Gなど、高速、大容量、低遅延の通信に活用される電波は、周波数が高く、そして、一方で電波の到達距離が短いのが特徴であると聞いておりますが、今後は更に高い周波数の電波の利活用も進められる中で、より狭く限られたエリアでのサービスの展開も想定され、また、基地局についてもより細かく整備する必要があるのかと思います。

 

 そこで、高速、大容量、低遅延の通信サービスの展開において、今後は、同一の周波数を、限定的なエリアにおいて、複数の無線システムが活用されるシーンも増えるものと考えますが、このようなダイナミックな電波の利活用について、総務省はどのように対応しようとしているのか、お聞かせ願えますでしょうか。

 

○二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 

 5G、ビヨンド5Gなど、新たな電波利用ニーズに応えるためには、より一層の周波数の効率的な利用に取り組んでいくことが重要であると考えております。

 

 このため、総務省では、異なる無線システム間で、同一の周波数において、地理的、時間的に周波数を柔軟に共用するダイナミック周波数共用を推進しております。

 

 今般、二・三ギガヘルツ帯を新たに5G用に割り当てるため、本年三月に、周波数を柔軟に共用するシステムを構築し、開設計画の申請を受け付けたところでございます。

 

 今後、ミリ波など高い周波数帯を含め、ダイナミック周波数共用を活用することなどにより、周波数の更なる有効利用に取り組んでまいります。

 

○輿水委員 ありがとうございます。

 

 続きまして、電波利用料の在り方について御質問をさせていただきます。

 

 今回の電波利用料の見直しの中で、電波利用料の総額は約七百五十億円となりました。

 

 そこで伺いますが、近年は、地上放送のデジタル化や携帯電話の普及拡大、さらに、電波の利用シーンの多様化など、電波の利活用の環境が大きく変化する中で、この電波利用料の総額の推移はどのようになっていたのか、また、その変動の要因も含めてお聞かせ願えますでしょうか。

 

 さらに、もう一つ。今回の改正で、電波利用の共益事務に関する事項として、研究開発のための補助金の交付も追加をされました。

 

 そこで、この研究開発のための補助金の交付として、どのような研究開発について、どの程度の補助金を想定されているのか、また、将来的にはどのような成果を期待しているのかにつきましてもお聞かせ願えますでしょうか。よろしくお願いいたします。

 

○二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 

 電波利用料の歳出予算については、料額改定の際に使途の見直しを行いつつ、無線局全体の受益を直接の目的として行う事務、いわゆる電波利用共益事務の処理に要する費用の積み上げを行ってきております。

 

 電波利用料の歳出総額の推移につきましては、例えば、平成二十九年度改正においては、使途として衛星放送受信環境整備支援を追加し、総額六百二十億円規模としております。また、令和元年改正では、使途として電波伝搬の分析、観測などの推進、地上基幹放送などに関する耐災害性強化支援事業を追加し、総額七百五十億円規模としております。

 

 その変動要因につきましては、使途の追加に伴う新たな事務の実施に加えて、近年の携帯電話の普及拡大や電波の利用シーンの多様化を踏まえ、光ファイバー、5G基地局、WiFi等の整備のほか、電波の有効利用に資する研究開発なども強化してきたことが挙げられます。

 

 また、これらの事務の実施に合わせて既存の事務の見直しや予算の節減に努めることにより、歳出予算の効率化を行ってきております。

 

 総務省では、引き続き、歳出抑制に努めながら、電波の有効利用に資する取組をしっかり進めてまいります。

 

○田原政府参考人 研究開発のための補助金の交付について、お答え申し上げます。

 

 国際競争が激化するビヨンド5Gなどの分野について、集中的に研究開発投資を行う必要があるため、補助金の交付を新たな使途として追加し、電波利用料財源による研究開発を進めることとしたものでございます。

 

 これにより、高い周波数の電波の利用など、おおむね五年以内に開発すべき電波の有効利用に資する技術研究開発に集中的に取り組むことが可能になり、令和四年度当初予算においては百億を計上しているところでございます。

 

 当該予算による研究開発に着実に取り組むとともに、後年度の予算も含め、継続的な研究開発投資を行うことにより、熾烈な国際競争を勝ち抜き、二〇二五年度以降、順次研究開発成果を社会実装できるよう、しっかりと取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

 

 以上でございます。

 

○輿水委員 どうもありがとうございます。

 

 まさに5Gまたビヨンド5G、こういった高速、低遅延、また大容量、こういった開発と同時に、それを使うサービスの、そういった開発もセットで考えながら、国民の皆さんがその利便性を十分活用できるような、そんな社会を目指していただければと思います。

 

 ここで、今後、あらゆる物事が電波で様々なシステムにつながり、人々の日常を支えるデジタル化がこのように急激に進展する中で、電子機器等による不要電波から電波環境を保護し、安全で安心な情報通信環境を実現するためにも、電波利用料を活用しての電波の監視体制の強化も必要と考えますが、見解を伺います。

 

○二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 

 総務省は、国民の電波利用環境の維持に向け、電波利用料を活用し、不法無線局の探査、混信妨害の排除などの電波監視に取り組んでおります。

 

 近年のIoTの進展などによる電子機器の増加に伴い、無線通信の混信原因も多様化、複雑化してきております。こうしたことを踏まえ、IoTなどの新しい無線システムや、高い周波数を利用する5G携帯電話にも対応可能な電波監視設備を拡充するなどにより、安全で安心な情報通信環境の確保に取り組んでまいります。

 

○輿水委員 しっかりと、安全、安心な電波環境の維持管理をよろしくお願いを申し上げます。

 

 続きまして、東日本大震災の、大規模災害時における避難あるいは復旧活動を通じ、社会インフラとしての無線システムの重要性が再認識され、災害に強い通信また放送インフラの整備が必要だ、このように思っているところでございますが、特に衛星無線通信について、緊急時は非常にその有効性が高いと考えております。

 

 そこで、この衛星を活用した移動通信無線技術の現状と今後についてお聞かせください。特に、衛星通信の場合は、通信の容量の拡大や電波の受けられる場所や方角の制約など、様々な課題があると思いますが、具体的な改善策など、検討されているのかについてもお聞かせください。

 

○二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 

 委員御指摘のとおり、衛星通信システムは災害に強いという特徴を有していることから、災害時のバックアップ回線などに利用されているところでございます。

 

 このほかにも、携帯電話不感地帯を解消するための基地局への通信回線や、船舶、航空機への通信サービスの提供など、様々な場面で利用されており、衛星通信システムの通信回線の大容量化が期待されているものと認識をしております。

 

 このような中、総務省におきまして、多数の小型衛星を一体的に運用し、大容量通信等を提供する衛星コンステレーションシステムなど、新たな衛星通信システムの導入に向けた制度整備を順次進めております。

 

 これにより、衛星通信システムの通信容量の拡大や、場所や方角などの利用シーンに応じて選択が可能となるよう、衛星通信システムの多様化が図られることを期待しております。

 

○輿水委員 まさに大規模な震災なんかも想定される中で、今の衛星通信の技術の向上と、またその情報の大容量化等につきまして、早急に研究を進めて、また開発を進めていただき、いざというときにしっかりと活用できるような、そんな社会を築いていただければと思います。

 

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。