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第208回国会 総務委員会 第4号


○赤羽委員長 次に、輿水恵一さん。

 

○輿水委員 公明党の輿水恵一でございます。

 

 本日は、質問の機会を与えていただきまして、心より感謝を申し上げます。本当にありがとうございます。

 

 早速でございます。質問に入らせていただきます。

 

 初めに、地方創生臨時交付金について質問をさせていただきます。

 

 令和三年度は、地方創生臨時交付金で新型コロナウイルス感染症対策を全面的にバックアップをしていただきました。一方で、同交付金が一般財源の肩代わりになっているケースがあるとの指摘や、同交付金の使途や規模の適正性について疑問視する意見もあります。

 

 そこで、この地方創生臨時交付金が適切に活用されたかどうか等についての検証の在り方について、当局のお考えをお聞かせください。

 

 また、あわせまして、現在もオミクロン株が蔓延している中で、機動的に地方創生臨時交付金の地方への供給が必要になると思いますが、この点についても見解をお聞かせください。

 

○黒田政府参考人 お答えさせていただきます。

 

 地方創生臨時交付金につきましては、各自治体が地域の実情に応じてきめ細やかに必要な事業を実施できるよう、自由度の高い財源として措置をされております。

 

 この交付金の中でも、特に地方単独事業分につきましては、これまで、感染防止対策及び事業継続に困っている中小・小規模事業者への支援や、飲食、観光、交通事業者等への支援を行うなど、地域経済やそれを支える事業者を財政面から下支えするとともに、マスク、消毒液の確保など、地域の実情に応じた感染拡大防止策を行ってきたところでございます。

 

 地方単独事業分を活用した事業につきましては、各自治体にホームページ等で効果を住民に説明するよう要請してきておりますが、国としても、現在、令和二年度に行われた事業につきまして、各地域の感染拡大防止や事業継続、住民生活にどのように活用されたか、その使途や効果等の把握、分析を行っているところでございまして、また、令和三年度、本年度に行う事業も含めまして、今後も検証を進めてまいりたいと考えております。

 

 また、あわせまして、機動的な供給という御質問をいただいております。

 

 この交付金につきましては、昨年末に成立いたしました補正予算におきまして、飲食店への協力金、これは五兆円、また、PCRの無料化、検査に支援する検査促進枠〇・三兆円を確保をさせていただいております。現在、三十五都道府県に蔓延防止重点措置が適用されておりますが、飲食店への時短要請など、感染抑止策を実施するための財源として活用されているところでございます。

 

 また、このほか、地方創生臨時交付金の地方単独事業分につきましては、今後の感染症の対応や地域経済回復のため、一兆円につきまして、各自治体に交付限度額を通知し、地域の実情に応じた対応策を講じていただいているところでございます。

 

 今後とも、感染状況に応じて、各自治体が財政上の不安なく切れ目なき対応ができるよう、適切に対応してまいりたいと考えております。

 

 以上でございます。

 

○輿水委員 どうもありがとうございました。

 

 無料のPCR検査というのも、ある地域で、そのまま発注したら何か最初九千九百円で見積りが出てきて、これはちょっと高いんじゃないかということで議会でいろいろ審議をして、最終的には三千五十円になった。そういった地域の、地方議会のチェック機能も果たしながら、この臨時交付金が適切に活用されるように進めていただければと思います。

 

 続きまして、そんな中で、令和三年度の感染症対策において財政調整基金が果たした役割についてもお聞かせ願えますでしょうか。

 

○前田政府参考人 お答え申し上げます。

 

 新型コロナウイルス感染症への対応につきましては、ほとんどの事業を全額国費対応といたしますとともに、今し方内閣府の方からも答弁がございましたが、地方自治体の判断によって自由度が高く地方単独事業に取り組むことができる財源として、地方創生臨時交付金も措置されているところでございます。

 

 もとより、地方自治体におけます財政調整基金につきましては、様々な役割がございますけれども、現下の感染症への対応の下におきましては、感染症対策に係る国からの補助金等が交付されるまでの間の一時的な財源などとして活用されているものと承知しておりまして、不測の事態においても、地方自治体が機動的な財政運営を行うための重要な役割を果たしているものと認識しております。

 

○輿水委員 ありがとうございます。

 

 続きまして、地域社会のデジタル化の推進について伺います。

 

 地方が抱える課題をデジタル実装を通して解決をし、全ての地域がデジタル化によるメリットを享受できる地域社会のデジタル化を一層進めるため、令和四年度地方財政計画の歳出項目といたしまして、令和三年度に引き続き、地域デジタル社会推進費が計上をされました。

 

 そこで、令和三年度は具体的にどのような取組がなされ、どのような効果がもたらされたのか、その成果等についてお聞かせください。

 

○田畑副大臣 お答え申し上げます。

 

 地方が抱えます課題をデジタル実装を通じて解決をし、全ての方がデジタル化のメリットを享受できる社会を実現することは大変重要でございます。

 

 現在、自治体におきましても、靴に小型のGPSを内蔵することで高齢者の見守りを行い、地域の安心、安全につながった事例ですとか、センサーやカメラつきのわなを用いて害獣捕獲を行い、猟友会等の負担軽減につながった事例、また、中山間部に住む買物弱者に対してドローンを活用し商品を配達する取組により、住民の利便性向上が図られた事例など、デジタル実装により、地方が抱える課題を解決する取組が進められているところでございます。

 

 総務省におきましては、これらの取組を含め、昨年十二月、各自治体が地域社会のデジタル化に係る事業を検討する際に参考となるような事例集を公表し、各自治体に周知を行いました。

 

 また、令和四年度におきましても、地方財政計画の歳出に、引き続き地域デジタル社会推進費を二千億円計上することとしてございます。

 

 今後も、地方におけるデジタル実装の取組について、一層推進してまいります。

 

○輿水委員 ありがとうございます。

 

 続きまして、eLTAXについて伺います。

 

 地方税共同機構が管理するeLTAXについては、多くの納税企業等の端末が地方団体のシステムと接続されることから、障害等の防止に万全を期する必要があり、また、各地方団体においては、基幹税システム等の情報セキュリティー対策を強化する必要があると思います。

 

 そこで、このように安定して安全にデータを送受信するシステムの構築と管理について、具体的にどのような取組がなされているのか、お聞かせください。

 

○稲岡政府参考人 お答えを申し上げます。

 

 総務省から地方団体に対しまして、総務省が策定するガイドラインを参考に情報セキュリティーポリシーを策定するよう要請しており、各地方団体においては、それに基づいて基幹税務システムにおけるセキュリティー確保に努めているものと承知しております。

 

 また、eLTAXにおきましても、通信の暗号化やファイアウォールの設置などのセキュリティー対策を講じた上で、申告データ等の安定的な送受信のため、毎年、繁忙期のアクセス想定数を踏まえた動作確認を実施するなど、必要な措置を講じているところでございます。

 

 今後、eLTAXを活用した申告、納付の更なる増加が見込まれますことから、引き続き、地方税共同機構、地方団体と連携し、安定的なシステムの稼働に万全を期してまいりたいと考えております。

 

○輿水委員 どうもありがとうございます。

 

 続きまして、消防防災力の一層の強化について伺います。

 

 令和四年度は、豪雨、台風災害や土石流災害など、近年、災害が頻発し、また、激甚化、広域化する中で、人命に直結する災害時の応急対策がより重要となっていることを踏まえ、消防防災力を一層強化するため、緊急防災・減災事業費の対象事業が拡充されました。

 

 ここで、消防本部における災害対応ドローンの整備も対象事業になりますが、具体的に、どのような仕様のドローンをどのように活用することが考えられるのか、お聞かせください。

 

○鳩山大臣政務官 御質問にお答えをさせていただきます。

 

 災害が発生した初期の段階において、ドローンにより俯瞰的視点で被害状況を把握することは、迅速的確な部隊運用につながり、被害の軽減に効果があると考えております。

 

 このことから、全国の消防本部において災害対応ドローンの整備を推進するため、令和四年度から新たに緊急防災・減災事業債の対象に加えることといたしました。

 

 この緊急防災・減災事業債の対象となる災害対応ドローンは、降雨時にも飛行可能とされる一定の防水性能を有すること、災害の推移や消防隊等の活動状況をリアルタイムで把握できるよう、動画撮影が可能なカメラを搭載することを必須要件といたしております。そのほかにも、必要に応じて、赤外線カメラ、ズーム機能、自律制御飛行などの機能を備えることも可能としております。

 

 このような仕様の災害対応ドローンは、多少の悪天候下でも飛行し、リアルタイムで被災状況の把握、消防隊が進入困難なエリアにおける要救助者の捜索や情報収集、土砂災害現場における土砂崩れが発生する危険のある箇所の監視など、災害時の消防活動に有効に活用できるものと考えております。

 

○輿水委員 ありがとうございます。

 

 また、今後は、市町村の単独での体制の整備、消防等の体制の整備に加え、区域を超えた広域的な連携も必要かと思います。消防の広域連携における取組の状況についてお聞かせください。

 

 また、あわせまして、消防の分野においても、緊急通報への対応や現場の救急車の急病人等の搬送先の検索など、AI等を活用した支援体制の整備も必要かと考えますが、見解をお聞かせください。

 

○小宮政府参考人 お答えいたします。

 

 小規模な消防本部におきましては、出動体制に限界があるなど、消防の体制として必ずしも十分でない場合が多く、また、昨今、人口減少が進む一方、大規模災害が頻発している現状を踏まえますと、消防本部の更なる体制強化が重要であり、消防の広域化や連携協力をこれまで以上に推進していく必要があると考えております。

 

 消防庁といたしましては、これまでも、消防指令センターの整備を始めとする広域化などに伴い必要となる経費に対する財政措置、また、消防広域化推進アドバイザーの派遣などを通じて必要な支援に取り組んでまいりました。

 

 こうした取組により、平成十八年に消防の広域化が法律上位置づけられて以降、これまで、五十六地域において広域化が実現し、全国の消防本部の数は八百十一本部から七百二十四本部に減少したほか、連携協力につきましては、現在、四十七地域、百九十五の本部において消防指令センターの共同運用が実施されているなど、取組が進められております。

 

 令和四年度は、消防指令センターの共同運用に取り組む市町村などに対する都道府県の支援に要する経費につきまして、特別交付税措置を講じるほか、財政措置の拡充を行うこととしており、今後とも消防の広域化及び連携協力を積極的に進めてまいります。

 

 次に、消防庁では、現在、消防研究センターにおきまして、迅速な救急搬送のための救急隊の配置にAIを活用することにつきまして研究開発を行っております。

 

 令和二年度は、名古屋市消防局におきまして二週間の実証実験を行いまして、令和三年度は、札幌市の消防局を対象といたしまして効果を検証するシミュレーションを行いました。今後、より長期間にわたる実証実験を行うことなどによりまして、実用化に結びつけてまいりたいと考えております。

 

 また、令和三年度の補正予算及び令和四年度の当初予算案におきましては、一一九番通報の受信の際の画像、動画、データの活用、さらにはAI技術の活用の可能性など、消防指令システムの高度化に向けた検討や、また、救急業務におけるマイナンバーカードの活用、さらには、災害に強い防災情報基盤の整備として消防庁被害情報収集・共有システムの整備などに取り組むこととしております。

 

 今後とも、AI技術、IoT技術などのデジタル技術を活用することにより、消防防災の高度化を推進してまいります。

 

○輿水委員 どうもありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 

 続きまして、公立病院経営強化の推進について伺います。

 

 医師派遣等に係る特別交付税措置の拡充において、看護師等の医療従事者の派遣を追加し、派遣元病院に対する措置を拡充することとしています。

 

 そこで、そもそも、公立病院の医師や看護師の確保に対する支援もまずその前に必要かと思いますが、この点についての現状と今後について伺います。

 

○大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 

 まず、医師の確保について申し上げますと、各都道府県が策定をします医師確保計画、これに基づいた取組、具体的には、医師不足の地域におきまして、一定期間勤務することを約束して入学をしていただく地域枠、こういったものがありまして、修学の資金の貸与といった取組を支援しております。また、それ以外に、臨床研修や専門研修、こういった医師の養成課程におきましても、都道府県の定員を設定するといった取組で地域の偏在を是正する、こういったことも進めております。

 

 また一方で、看護職員に関しましても、復職支援ですとか定着の促進といったことを目的とした看護師の養成所や病院内の保育所の運営などに対する財政支援も行っているところでございまして、厚生労働省といたしましては、こういった取組を通じて、医師、看護師の確保に努めているところでございます。

 

○輿水委員 ありがとうございます。

 

 そして、今回のこの措置におきまして、経営統合に伴うシステム統合をする場合とか、あるいは電子カルテの統一、そういったものにも経費を追加するとされておりますが、この点につきまして、セキュリティー上、安全なシステムを導入するためには、やはり専門的なそういった支援、技術的なそういったサポートが必要かと思いますが、この点についてはどのように考えているのか、伺います。

 

○大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 

 医療機関間での情報連携、今精力的に進めているところですが、情報のセキュリティー、これは大変重要な課題だというふうに認識をしております。

 

 厚生労働省では、医療情報システムの安全管理に関するガイドライン、これを平成十七年から公表しておりまして、医療機関が医療情報を扱うときの安全対策として実施すべき内容、こういったものの周知を行っておりまして、まさに、ただいま、制度的な動向や技術的な動向を踏まえて、今年度末までに改正を行っているところでございます。昨今、医療機関へのサイバー攻撃、これも多様化をしておりまして、こういったシステム障害に備えたバックアップデータの保存の徹底などといった項目を盛り込むことも予定をしております。

 

 それ以外に、医療機関における情報セキュリティーに関する御理解を深めていただくために、研修を行ったりですとか、あと、研修に活用できるような研修教材や動画、こういったものを公開するなどして医療機関の支援を行っているところでございます。

 

○輿水委員 ありがとうございます。

 

 それでは、最後になりますが、貯留機能保全区域の指定について伺います。

 

 治水対策においては、事前防災の観点から進めることが重要であり、この貯留機能保全区域制度の活用を含め、今後の流域治水対策をどのように進めていくお考えなのか、お聞かせ願えますでしょうか。

 

○高橋政府参考人 お答えいたします。

 

 近年の気候変動の影響による水害の激甚化、頻発化に対応するためには、災害を未然に防ぐ事前防災対策をスピーディーに実施することがますます重要となっております。

 

 このため、全国の河川で、河道掘削や樹木伐採等により、洪水が流下する能力を早期に向上させるとともに、遊水地や輪中堤等の整備、雨水の貯留施設や貯留機能保全区域等の、流域でためる対策も活用するなど、流域のあらゆる関係者が協働して取り組む流域治水を早急に進めてまいります。

 

 これらの対策を、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策も活用して強力に推進することにより、水害、水災害に強い国土づくりに全力で取り組んでまいります。

 

○輿水委員 ありがとうございました。

 以上で質問を終わります。