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193回 総務委員会 17号

○竹内委員長 次に、輿水恵一君。 

 

○輿水委員 おはようございます。公明党の輿水恵一でございます。 

 

 質問の機会を与えていただきまして、感謝を申し上げます。 

 

 本日は、IoTによる地域の活性化、まさに地域IoTの社会実装の推進について質問をさせていただきたいと思います。 

 

 IoTの進展により、物や事がインターネットにつながり、情報のやりとりをすることで、物事の集中管理やそれに基づく自動化等が進むことにより、私たちの生活を支える新たなサービスや製品、商品が次々と生み出されることが期待されているわけでございます。 

 

 既に、ウエアラブル端末で日常生活の中で体調の変化を検知し、疾病の重症化の予防をすることや、無数のセンサー、幾つかのセンサーを農地や家畜等につけて、現場の状況に応じた適時適切な個体の管理の推進、さらに、運転ができなくなっても行きたいところに安全に行ける自動運転など、さまざまなサービスの実証テストが国内各地で展開をされているわけでございます。 

 

 人々の住みなれた地域での生活を支えるIoT、また地方創生の牽引力となるIoTの社会実装の促進は、少子高齢化が進むと同時に人口の都市部への集中が進む日本にとって待ったなしの課題であると思います。情報通信基盤と地方自治の健全な発展を進める総務省の役割はますます重要になっている、このように感じております。 

 

 このような背景の中で、総務省では、IoTによる地域の活性化を目指し、さまざまな地域における先導的なIoTサービスの創出支援事業を精力的に行っているわけでございますが、まず初めに、地方創生、地域経済活性化のためのIoTサービスの展開として、地方創生といえば観光関係の振興だとかあるいはふるさとテレワークとかさまざまあるんですけれども、きょうは、農林水産業について、まず、地域の自然の資源を生かした地域振興ということで確認をさせていただきたいと思います。 

 

 今日、第四次産業革命の流れの中で、農業や水産業においても、地方自治体、大学、企業等から成る地域の主体がIoTサービスの事業の実証に取り組み、自動の耕作機の導入や、センサーによる農作物や家畜に加え漁場の管理、それぞれの現場で、課題の抽出とデータの利活用による課題解決モデルの構築に取り組んでいるわけでございます。 

 

 ここで伺いますけれども、地域経済のいよいよ新たな牽引力となる農林水産業を目指して、今、IoTによる新しい農業また水産業の創造に向けた実証実験の現状、実施状況についてお聞かせ願えますでしょうか。 

 

○今林政府参考人 お答え申し上げます。 

 

 先生御指摘のとおり、農林水産分野では、ICT、IoTの活用によりまして、労働力負担の減少、あるいは生産性の飛躍的な向上といった大きな効果が期待できると考えております。 

 

 そこで、総務省におきましては、農林水産省さんの御協力も得ながら、例えば、農林水産分野の新たなIoTサービスといったものについて、その創出を後押しするための実証事業に取り組んでおります。 

 

 若干簡単に御紹介申し上げますと、例えば、昨年度でございますと、宮城県の東松島市におきまして、海洋ビッグデータを活用したスマート漁業モデルという事業を実施しております。ここでは、海に浮かべるブイにセンサーとか水中カメラを取りつけまして、潮の流れ、水中画像、こういったデータを収集、分析することによりまして、漁獲量の予測、あるいはそれに基づく効率的な出漁ということに役立てますとともに、マーケットとなりますような飲食店などが漁業者の方に直接注文できる、こういった産地直送のモデルの実現を目指すものでございます。 

 

 また、今年度におきまして、愛媛県におきましては、ビッグデータを活用した水産業支援ということで、海の状況を予測するIoT海況予測サービスといったことの創出に取り組むこととしております。海中にセンサーネットワークシステムを構築いたしまして、水温の変動、赤潮の発生、こういった情報を可視化しまして、地元の漁協、水産業の方々に迅速に提供することによって生産高の増加などを目指すものでございます。 

 

 さらに、長野県で取り組み始めた、IoTを活用したワインブランド創出スキームというプロジェクトにおきましては、センサーで観測した土壌あるいは気象などのデータを蓄積、分析いたしまして、ワイン用のブドウの収穫、害虫駆除の最適なタイミングを予測することなどを通じまして、高品質なブドウ栽培の確立、あるいはワインのブランド力向上ということを目指すというものでございます。 

 

 総務省といたしましては、こうした実証プロジェクトを通じて、スマート農業の普及、展開、あるいはその地域実装を進めまして、若い方々にも魅力のある、また、先生御指摘のとおり、地域経済の牽引力となり得る農業の実現に貢献してまいりたいと存じます。 

 

○輿水委員 どうもありがとうございます。 

 

 まさに、IoTの活用で若い人たちが夢や希望を持って取り組める、そんな農業の実現もぜひ期待をするわけでございます。 

 

 今御紹介ありました海洋ビッグデータを活用したスマート漁業、ここでは、首都圏の個人飲食店を含む小規模飲食店が漁業者と直接やりとりをする海産物の産地直送の取り組み、こんなことも今視野に入れて検討されているということを伺ったんですけれども、まさに、農業や水産業のそれぞれの産物が市場で適切な価格で取引され、農林水産業に従事する人々が安定した形で収入が得られる、そういった流通の仕組みの構築が非常に重要であると考えるわけでございます。 

 

 本日は、農水省の方から矢倉政務官にいらしていただいておりまして、ちょっとここで伺いたいんですけれども、このように、生産の現場のデータを活用して、消費の現場におけるより付加価値の高いサービスの展開について、農林水産省として、現状と今後の考えにつきましてお聞かせ願えますでしょうか。 

 

○矢倉大臣政務官 お答えいたします。 

 

 委員御指摘のとおり、農林水産業の今最大の課題は生産者の所得向上でありますが、そのためには、農林水産物の付加価値を高めなければいけない。 

 

 どうすればよいかといえば、やはり生産者の創意工夫がしっかり価格として乗らなければいけないわけでありますが、そのために必要なのが、生産者のそのような情報をしっかり実需者のニーズとマッチングさせる、生産者と実需者が直接結びつくことが必要であり、ICTというものの活用が非常に重要であるということは、今委員が御指摘いただいた例も含めまして、改めて申すまでもないことであるかというふうに思っております。 

 

 農林水産省におきましては、現在御審議いただいている農業競争力強化支援法案に、農産物の流通等における情報通信技術等の技術の活用の促進、また農産物の出荷等に必要な情報の入手の円滑化、これを位置づけまして、ICTを活用し、農業者がみずから販売先を選択できる、また実需者からは、自分のニーズに合った生産者はどこにあるかということがわかる環境の整備をしております。ウエブシステムをつくって、例えば、利用も無料、誰でも閲覧可能、キーワードや条件などで自分のニーズに合った人を選べるようなシステムをつくる予定でおります。 

 

 四月に閣議決定をいたしました新たな水産基本計画におきましても、IT等の新たな技術も活用しつつ、最も高い価値を認める需要者に水産物が効率的に届くシステムも構築すること等といたしております。 

 農林水産省といたしましては、今後、ICTをさらに活用して、例えば、農水産物の鮮度やおいしさ、出荷量、生産履歴等の産地側の情報と、売れ筋や需要量、嗜好の変化等の消費者、需要者側の情報がより双方で共有され、有効に活用される効率的な流通の仕組みを構築できるよう取り組んでまいりたいと思います。 

 

 徳島県の上勝町などの葉っぱビジネスなども有名ではあるんですが、かつては防災無線とかファクスで情報を提供していたのが、上勝情報ネットワークという、パソコンやタブレットで見る端末を使ってやることによりまして、生産者の人が全国の市場情報を分析して、みずからマーケティングを行うなどの取り組みも生まれて、中には年収一千万円を稼ぐおばあちゃんもいらっしゃる、そういった例もあります。 

 

 そういった環境整備をして所得向上をしっかり図っていくように、総務省とも連携をして取り組んでまいりたいと思います。 

 

 よろしくお願いします。 

 

○輿水委員 どうもありがとうございました。 

 

 まさに、農林水産業におきましても、生産と流通の仕組み、ICT、IoTを活用して新たなそういった仕組みを構築しながら、地方創生また地域経済の活性化の道を大きく開く農林水産業の構築、総務省また農林水産省協力して進めていただければと思いますので、よろしくお願いをいたします。 

 

 続きまして、今度は、人々の住みなれた地域で安全で安心な生活を支えるIoTの社会実装につきまして質問をさせていただきたいと思います。 

 

 超高齢化社会の進展する中で、やはり日本に一番大事なことは、全ての国民の皆様が可能な限り長く健康を維持し、自立して暮らしていく、そんな社会の構築が大変重要ではないか、このように思うわけでございます。私たち公明党も、健康寿命を超えて、どちらかというと活動寿命を延ばしていこう、こんなことでいろいろなプロジェクトを進めているわけでございます。 

 

 そこで、今回、このIoTを活用して、限りなく、できる限り健康を維持し、自立して暮らすことができる社会の実現に向けて、総務省としてさまざまなプロジェクトを進めていると思いますけれども、現状の状況、また今後の展開についてお聞かせ願えますでしょうか。 

 

○金子大臣政務官 先ほどの答弁にもございましたが、総務省では現在、農業そして医療といった生活に身近な分野で地域発の先導的なIoTサービスの創出を後押しする実証事業を、身近なIoTプロジェクトとして進めております。 

 

 委員の中で特に御関心の高い健康に関して、健康維持に関するプロジェクトといたしましては、昨年度、新潟県見附市などにおきまして、インセンティブ付きIoT健康サービスの有料化挑戦事業を実施いたしました。このプロジェクトは、ウエアラブル端末などのIoT機器から得られる個人のバイタルデータと健康データを統合、見える化し、健康づくりの努力と成果が出た方にはポイントという形でフィードバックするものでありまして、住民の自発的な健康づくりを促すことによって、将来的に医療費の抑制を目指すものであります。 

 

 また、今年度は、大阪府の八尾市において、スマートキッズCity“YAOCCO”といって、成長への切れ目のない支援事業を実施することとしておりまして、先月末にスタートしたところでございます。このプロジェクトは、位置情報や脈拍などを把握できるIoT機器や簡便な身体測定器などを通じて、子供の発育や活動に関するデータを収集し、発達障害や虐待、病気のリスクを予測したり、健康記録の自動化によって保育士の負担を軽減したり、また、保育園、幼稚園、小学校の連携システムの構築やデータの共有化などに取り組むものであります。 

 

 総務省といたしましては、今後も、こうした実証プロジェクトを通じまして、他の地域が参照できるモデルの構築でありますとか、またデータを活用したさまざまなサービスの実現を促すルールの整備などに取り組んでいきたいと考えております。 

 

○輿水委員 どうもありがとうございます。 

 

 まさに、高齢化また少子化の中で一人一人が健康で活躍し続ける地域、またその一人一人がさまざまな可能性を持って大きく成長できる、そんなIoTやICTの利活用をこれからしっかりと進めていただければと思います。 

 

 そんな中で、やはり介護や医療が必要になってくる、そんな方も地域ではふえるわけで、厚生労働省では、地域包括ケアシステムということで、医療と介護を連携させながら安心して住み続けられる、そういった地域をつくっていきたい、こんな取り組みをしているわけでございますけれども、やはりこんなところにもICT、IoTの利活用でそのシステムをよりきちっとしたものに構築していく手助けができるのではないか、このように考えるわけでございます。 

 

 そこで、看護や介護が必要になっても住みなれた地域で質の高い医療・介護サービスを享受することができる社会の実現に向けて、総務省として具体的にどのような取り組みを進められているのか、お聞かせ願えますでしょうか。 

 

○今林政府参考人 お答え申し上げます。 

 

 委員御指摘のとおり、ICTを活用することによりまして、医療・介護サービスの質を向上し、国民の健康寿命延伸を実現することができるのではないかと私どもは考えております。 

 

 そのためには、地域の医療機関あるいは介護施設内での患者さんの情報といったものの共有、これに加えまして、日常生活の中での運動や健康データあるいは服薬の状況、こういった情報も活用することで、日々の予防、健康管理につなげていくことが課題ではないかと考えております。 

 

 総務省では、こういった課題の解決に向けまして、主として二つの大きな事業に取り組んでおります。 

 

 一つ目は、地域の医療機関、介護事業者の方々がクラウド技術を活用いたしまして低廉で効果的に患者さんの情報を共有するための基盤の構築を支援する、クラウド型EHR高度化事業でございます。 

 

 二番目は、個人の医療、介護、健康データ、こういったものを御本人の御判断のもとで予防、健康管理のサービスなどに効果的に活用していくためのモデル構築を行う、PHRモデル構築事業でございます。 

 

 四月に開催されました未来投資会議におきましても、在宅医療における患者情報のモニタリング、あるいは介護分野でのデータ活用による自立支援、こういったICTやデータの活用による新たな医療・介護システムについて議論がなされたところでございます。 

 

 今後、総務省といたしましても、厚生労働省など関係省庁と連携をいたしまして、健康長寿社会の実現に向けて取り組みをさらに積極的に進めてまいりたいと存じます。 

 

○輿水委員 どうもありがとうございました。 

 

 私も、先日、岩手の住田町と大船渡と陸前高田が、そういった今のEHR、PHRで、住民約七千人がそれに入って医療、介護をICTの中で安心して受けられる、そんな取り組みもしていました。 

 

 そんなことが総務省のお力で全国に広がって、皆さんが安心して暮らせる地域を構築できることを期待いたしまして、質問を終わらせていただきます。 

 

 大変にありがとうございました。