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193回  総務委員会 9号

○竹内委員長 次に、輿水恵一君。

 

○輿水委員 公明党の輿水恵一でございます。

 

 稲津委員に引き続きまして、質問をさせていただきます。

 

 私の方からは、先ほども御答弁の中にありましたが、NHKワールドTV、約百六十の国・地域で今視聴が可能だということで、まさにこのワールドTV等を使っての海外への情報の発信の強化充実について質問をさせていただきます。

 

 昨年、二〇一六年の日本への外国人の旅行者数は、約八百万人だった二〇一二年の三倍の二千四百万人、このような形で、その経済効果は約四兆円というふうに言われております。

 

 そして、日本では、東京オリンピック・パラリンピックが開催をされる二〇二〇年には外国人旅行者四千万人、さらに二〇三〇年には六千万人にふやす目標を掲げております。経済効果についても、二〇二〇年は八兆円、そして三〇年には十五兆円に拡大する、そういった形で目指しているところでございます。

 

 そこで、我が国が唯一全世界をカバーするNHKワールドTV、この役割というのは非常に大きいと私は感じているわけでございまして、このNHKのテレビ国際放送、NHKワールドTVにおける外国人旅行者をふやすための取り組みにつきまして、まずお聞かせ願えますでしょうか。

 

○木田参考人 お答えいたします。

 

 二〇二〇年に向けて日本に対する世界の関心が高まる中、日本各地の魅力を世界に発信することはNHKの国際放送の重要な役割の一つであるというふうに考えております。

 

 より多くの視聴者に日本各地の魅力を伝えるために、NHKワールドTVでは、紀行、観光情報番組を強化しております。例えば、来年度は、東京とか京都とかいう有名な観光地だけでなく、全国各地の観光情報を紹介するような番組も新設する予定です。

 

 また、こうしたNHKワールドTVの番組をもっと視聴してもらうための周知広報活動といいますか、いわゆるプロモーションですけれども、これも強化しております。海外で開催される日本関連のイベントに出展したり、航空機の機内誌であるとか空港のロビーなど訪日外国人の方が目にしやすいような場所では広告を掲載したりするとか、あるいは、訪日前はもとより、滞在中のさまざまな機会を捉えて周知するように努めております。

 

 今後も、海外の方の有用な情報源として活用していただけるよう、内容をさらに充実させたいと考えております。

 

○輿水委員 どうもありがとうございます。

 

 まさに、一つ一つの裾野を広げる、一人でも多くの方に日本のすばらしさを知っていただく、そういった放送と同時に、やはりリピート率の向上もしっかり図っていく、そういった取り組みも必要ではないかと思っております。

 

 先ほども少し触れていただいたんですけれども、もう既に世界的に有名になっている観光地だけではなく、日本の各地の魅力ある観光地にも行ってみたい、また来たい、このような思いが湧くような情報を提供していく、こういったことも必要かと考えております。

 

 そこで、先ほどのインバウンド増への国際放送の展開とともに、リピーター増に向けた放送内容の充実についてどのような取り組みをなされるのか、お伺いを申し上げます。

 

○木田参考人 お答えいたします。

 

 NHKワールドTVの番組編成や個々の番組につきましては、視聴者の具体的なニーズを把握するために、海外のモニターからの評価や視聴者からの意見、感想などを分析しております。あるいは、ウエブサイトへのアクセスなどの分析、解析も行っております。

 

 さらに、日本人の目からだけではなく外国人の方の目線で見た場合にどういうことが魅力的かということが結構ポイントかと思いまして、そういった海外の方のニーズを取り込むべく、新たに新設する番組では、外国人旅行者のSNSであるとか旅行サイトの投稿動画や感想など、そういったものを紹介しながら、来日してすぐ役立てていただけるような情報をたっぷり御紹介しようと思っております。

 

 なお、先ほど、全国各地の観光情報を紹介する番組、来年度と言いましたが、今年度からスタートしております。失礼いたしました。

 

○輿水委員 どうもありがとうございました。

 

 まさに、日本の視点というより外国人の、来た方の視点で、それから多く広がってくる、また日本にももう一回行きたいみたいな流れができる、そういった番組をぜひ進めていただければと思います。

 

 一方で、日本、人口減少の時代に突入した中で経済の成長を持続させていくためには、やはりアジア地域、今後成長が見込まれるアジア地域の海外需要をいかに取り込んでいくか、そういったことも必要なのかなというふうに考えるわけでございます。

 

 そこで、NHKの国内コンテンツ等を活用してアジア諸国への日本の文化や情報の伝達をしっかり進めることによって、日本のいろいろなサービスや情報がアジアの人に受け入れやすくなる、そんな取り組みをNHKとしてしっかり進めるべきだと考えるわけでございますが、その点についての取り組みについてお聞かせ願えますでしょうか。

 

○黄木参考人 お答えします。

 

 NHKの番組の平成二十七年度の海外への販売実績は、三十三の国と地域におよそ六千七百本で、その売り上げのおよそ七〇%はアジアでございます。

 

 こうした番組販売に加えまして、アジアでの展開強化策として、現地の放送局の協力を得まして、NHK番組の定時枠を設ける事業を進めています。ミャンマーでは、地上波放送局の夜の時間帯にNHK番組の定時枠が定着しておりまして、これまでに「あまちゃん」「龍馬伝」といったドラマだけでなく、日本を紹介する情報番組を放送しています。

 

 また、ベトナムの国営テレビに去年誕生いたしました教育専門チャンネルへの制作支援にも力を入れておりまして、幼児番組の「いないいないばあっ!」のベトナム版を制作いたしております。

 

 さらに、中国でも、この「いないいないばあっ!」のリメーク権をライセンスしましたほか、放送と連動した商品等を展開することが決まっております。具体的には、DVD、出版、キャンペーン、イベント等の計画を進めております。

 

○輿水委員 どうもありがとうございます。

 

 今、ミャンマーだとかベトナムまた中国、日本のコンテンツをしっかり伝えながら、日本に対しての正しい理解というか、また、いろいろな信頼をかち取れるような、そんな取り組みもぜひ進めていただければと思います。

 

 このような諸外国との相互理解を深める取り組み、さらに、先ほど申し上げました観光というのは、我が国の力強い経済力を取り戻すため、極めて重要な成長分野であるわけでございます。

 

 特に、急成長するアジアを初めとする世界の観光需要を日本全体、地域にも取り込むことによって、地域経済、また日本の経済の底上げにつながる、このように確信をするわけでございますが、NHKの二十九年度予算には、テレビ国際放送を強化するために、国際放送関係費として、昨年に約十億円上乗せの三百十二億円が計上されているわけでございます。

 

 そこで、改めまして、日本の経済成長を支え、日本のプレゼンスを向上させるために、上田会長のNHKのテレビ国際放送並びにコンテンツの海外展開の拡充への思い、決意についてお聞かせ願えますでしょうか。

 

○上田参考人 お答えいたします。

 

 国際発信力の強化は大きな経営であると認識いたしております。グローバル化した世界で日本の存在感を示す役割を果たすことは、公共放送NHKとしての大きな使命だと考えております。一層の強化を図ってまいります。

 

 日本各地の魅力を世界に発信することで地域の活性化にも積極的に貢献するほか、さまざまな形で国際展開を推進することで、日本のブランド力を高めることにもつながるものと考えております。

 

 

○輿水委員 どうもありがとうございました。