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第192回国会  総務委員会 第4号

○竹内委員長 次に、輿水恵一君。

○輿水委員 公明党の輿水恵一でございます。

 本日は、本会議に続き、このような質問の機会を与えていただき、感謝の思いでいっぱいでございます。ありがとうございます。

 早速質問に入らせていただきますけれども、先ほど来、今回の消費税率の引き上げの延期による地方財政への影響、一・七兆円ということでお答えをいただいたところでございますが、ここでもう一歩踏み込んで確認をさせていただきたいと思います。

 この中で、地方税収への影響と地方交付税原資分への影響、これはそれぞれどの程度になっているのか、まず確認をさせていただきたいと思います。

 また、あわせて、一・七兆円というこの使途について、社会保障の安定化と充実の財源配分はどのように考えていたのかにつきましてもお答えいただければと思います。

 よろしくお願いいたします。

○林崎政府参考人 お答え申し上げます。

 地方財政への影響として見込まれるおよそ一・七兆円の減収というものがございますけれども、地方消費税収に係るものがおおよそ一・四兆円、地方交付税の原資分に係るものはおおよそ〇・三兆円ということでございます。

 増収分につきましては、御承知のとおりの、社会保障経費の充実に充てる、こういうことでございました。

○輿水委員 ありがとうございます。

 先ほど来の質問の中で、こういったものに対して適切な対応をとっていただけるということで、見守っていきたいと思っているわけでございます。

 あわせて、自動車税につきまして、平成二十九年四月より予定していた、自動車取得税を廃止するとともに自動車税及び軽自動車税に環境性能割を導入する、これは今回延期するということで決定をしたわけでございますけれども、もしこのまま延期せずに自動車取得税を廃止し、環境性能割を導入した場合の地方財政への影響額について、お聞かせ願えますでしょうか。

○林崎政府参考人 お答え申し上げます。

 全体の話がちょっとありますけれども、消費税率一〇%への引き上げ時の車体課税の見直しにつきましては、与党税制改正大綱において、他に確保した安定的な財源と合わせて、地方財政へは影響を及ぼさないということで、制度設計をこれまでしてきたところでございます。

 今委員お尋ねの、二十八年度税制改正における自動車取得税の廃止と環境性能割の導入のみの影響額だけを見ますと、この部分については約二百億円の減ということになりますけれども、その他、二十七年度から実施した軽四輪等の税率引き上げの増収分も含めて、必要な地方財源をおおむね確保してきたところでございます。

○輿水委員 ありがとうございます。

 こういった問題に対しましても適切な財源確保に努めていただけるものと考えておりますが、今回、消費税引き上げの延期の中で、しかし、やはり介護とか子育ての支援というのは待ったなしであると思うわけでございます。この引き上げの延期により地方財政は大変厳しい状況になっている中で、また政府からは、緊急の取り組みとして、保育の受け皿の整備など、今までの社会保障施策とは別枠で、新たな社会保障の充実に取り組んでいく姿勢が示されたところでございます。

 ここで、毎年増大していく社会保障関係費の地方負担増への対応に苦慮している自治体において、新たな負担増は大変に厳しいものがあると感じるわけでございます。このような状況におきまして、地方における社会保障施策への実施に支障が生じることのないようにしなければいけない。

 またさらに、人材確保が喫緊の課題ということで、これもまた新しい今の課題になっているわけでございますけれども、保育士、介護職員などの処遇改善など、一億総活躍プラン関係施策においても地方負担分の財源をどのようにしていくのかという課題があるわけでございます。

 これらの施策は、国として責任を持って進めていく中で、地方が協力をして実施するものであると思います。そういった観点から、新たに政府より打ち出された社会保障の充実や処遇改善に係る費用につきましては、地方に負担を押しつけることなく、国の責任において明確に財政措置がなされなければならないと考えますが、総務大臣の御見解をお聞かせ願えますでしょうか。

○高市国務大臣 子育て、介護などにつきましては、社会保障の多くが地方自治体を通じて国民に提供されておりますけれども、役割が極めて大きいということから、国と地方の協力が不可欠です。ですから、所要の財源確保というのは明確になされるべきであると思っております。

 このため、総務省から、消費税それから地方消費税率の引き上げ延期に対応した社会保障の充実施策や、保育士、介護職員の処遇改善など一億総活躍プラン関係施策の実施に関しては、地方負担分も含めた安定財源を確保すること、その際、地方に負担を転嫁するような制度改正等を行わないことということについて、関係府省に既に要請をしております。

 財源負担のあり方も含めて、具体的には今後予算編成過程で検討されますけれども、地方財政への影響については、年末の地方財政対策の中で、地方自治体の財政運営に支障が生じることがないようにしっかりと対応をしてまいります。

○輿水委員 どうもありがとうございます。力強い御答弁をありがとうございます。

 今日、地方財政におきまして大きなウエートを占めているのが社会保障関係費であると思います。その割合と額は年々ふえている。例えば、地方向け補助金等において、平成十四年度は総額が二十・四兆円、そのうち社会保障関係費は十・五兆円、約半分でございましたが、これが、平成二十五年度は総額が二十三・九兆円となり、そのうち社会保障関係費は十六・四兆円、全体の約七〇%となりました。この社会保障関係費が二十八年度は十八・四兆円となり、この十八・四兆円のうち医療、介護関係費が約六〇%を占めている、このような状況でございます。

 そこで、社会保障費が増大する中、健康増進、介護予防、また医療費の適正化など、地方自治体における社会保障の負担軽減への取り組みが大変に重要であると考えます。

 近年のネットワーク環境の拡充とクラウド技術の進化は、地方自治の効率化の上で追い風になっていると思います。消費税引き上げは二年半延期となりましたが、社会保障関係費の低減による地方財政の安定化への取り組みは積極的に進めるべきと考えます。

 そこで、総務省におきまして、ICTを活用した自治体の健康増進、医療費適正化などの取り組みにつきまして、現状と今後についてお聞かせ願えますでしょうか。よろしくお願いいたします。

○今林政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御承知のとおり、ICTには地理的な制約を克服する力があるということでございまして、こういうことを活用すれば、例えば地方におきましても都市部などと同様に豊かな医療サービスを適切に受けることが可能になるのではないかというふうに言われております。

 また、最近ではIoTとかAIとかビッグデータというようなことが言われますけれども、先ほど先生がおっしゃったとおり、いろいろな技術の進歩によりまして、こういったことを活用することが可能になっております。

 例えば、患者さんの情報を医療、介護の関係者の間で共有する、あるいは、国民がみずからその健康データを把握して、これを十分に利活用することができれば、国民の健康長寿の増進と医療費の適正化、この両立を図ることができるのではないか、こういうことが言われておりまして、自治体や厚生労働省などの関係省庁と連携して総務省でも取り組みを行っております。

 例えば、具体的に申し上げますと、平成二十六年度から三年間で、伊達市とか岡山市など六つの自治体におきまして、住民の七割を占めると言われております、健康診断、健康指導に参加しない、いわゆる健康無関心層でありますが、こういう方々に対しても、ポイントを付与するといったようなインセンティブなどを用いてそれらの方々の参加を促し、また、そのデータに基づいて健康指導を行う、こういったモデルの確立に向けた実証事業を実施しております。

 これまでの実証におきまして、健康無関心層が全体の参加者の七七%に上っておりまして、例えば、一日の歩数が増加したということで、これを仮に人口十万人程度の自治体で計算しますと、年間医療費が六千七百六十万円程度抑制されるのではないかという効果が試算されております。

 今年度末には三年間の実証事業の成果を取りまとめまして、そういった健康増進効果とともに、医療費の適正化効果の試算も行いまして、有効性を確認した上で、厚生労働省などと連携しながら、来年度以降、ほかの自治体にも展開できるように検討してまいりたいと考えております。

○輿水委員 どうもありがとうございます。

 ICTを積極的に活用しながら、地方財政の安定化、目指していただければと思います。

 本会議での質問で、地方財源確保において大変に重要な消費税一〇%への引き上げを平成三十一年十月に確実に実施するための、ローカルアベノミクスの推進について質問させていただきました。大臣より、ふるさとテレワークなどの推進に引き続き力を入れるなど、あらゆる政策を動員して、ローカルアベノミクスを強力に推進するとの答弁をいただきました。

 総務省では、日本経済再生の鍵を握る地方創生に向けたふるさとテレワーク推進のための地域実証事業等を進めてきたと伺っておりますが、まず、その成果と今後の展開についてお聞かせ願えますでしょうか。

○今林政府参考人 お答え申し上げます。

 テレワークは、さまざまな働き手が多様な生活スタイルに応じて働くことを可能とするものでございますので、地方における人手不足の解消ですとか雇用創出、いずれの面でも有効なツールであると私どもも考えております。

 総務省では、こういう観点から、従来型のテレワークから一歩進めまして、先生今御指摘ございました、都市部から地方への新たな人や仕事の流れをつくり出すふるさとテレワークを大臣のもとで推進しております。

 昨年度は全国十五カ所でふるさとテレワークの地域実証事業を行いましたが、全国各地で人や仕事の地方への流れが生まれたところでございます。

 例えば、委員が総務大臣政務官でおいでになったときに、昨年十一月に御訪問になった和歌山県白浜町におきましては、平成二十七年十月から二十八年の四月までの七カ月間に、商談の件数が二〇%、契約金額も三一%向上するといった生産性の向上を示す具体的な成果も出ております。

 昨年度の実証の成果を踏まえまして、ふるさとテレワークの全国展開を図るために、今年度からはその導入を希望する地方自治体などへの補助事業を開始しておりまして、全国二十三カ所で導入予定でございます。

 来年度も継続したいと考えて平成二十九年度概算要求にも盛り込んでおりますので、また御支援をいただきまして、ふるさとテレワークの全国展開を本格化させてまいりたいと存じます。

○輿水委員 ありがとうございます。

 さらに、このふるさとテレワークに重ねて、このたびの補正予算でお試しサテライトオフィス事業が進められる、このように伺っておりますが、これは具体的に、どのような目的のもと、どのような取り組みを進めようとしているのか、お聞かせ願えますでしょうか。

○時澤政府参考人 お答えいたします。

 地方への人の流れをつくり出すために、サテライトオフィスの開設、誘致に取り組む地方公共団体がふえておりますけれども、都市部の企業の具体的ニーズが把握できない、あるいは誘致に向けた戦略やノウハウがないといった課題が指摘されております。

 また、都市部の企業には、いきなり地方にオフィスを設置することに対する不安もありまして、こうした課題を解決するために、お試しサテライトオフィスというものに取り組むこととしたわけでございます。

 具体的には、サテライトオフィスに関心の高い三大都市圏の企業を地方に招聘いたしまして、空き公共施設等におけるお試し勤務というものによりまして、企業ニーズを実践的に検証、分析するほか、執務環境や立地環境、生活環境を総合的に勘案した必要条件の整理や、開設、誘致に向けた戦略の策定などを行う地方公共団体を支援するというものでございます。

 あわせまして、これらの取り組みを効果的に進めるために、総務省におきまして、三大都市圏の企業等を対象にサテライトオフィス等に関する基本ニーズ調査を実施いたしまして、ニーズがある業種や業態や必要な条件等について、整理し、提供することといたしております。

 地方公共団体の取り組みを効果的に支援し、都市から地方への新たな人の流れを創出することといたしているものでございます。

○輿水委員 ありがとうございます。ぜひ、積極的な取り組みをよろしくお願い申し上げます。

 さて、昨日、総人口の二八・四%が東京圏に集中しているとの国勢調査の確定値が出されましたが、この東京圏一極集中をやはり是正し、地方の活力を生み出す上でも、ただいまのテレワークをいかに地域に定着させるか、また、サテライトオフィスを具体的に推進するか、こういった中で企業の働き方改革もしっかり進めていかなきゃならないと思っております。

 例えば、都市部の企業がプロジェクトチームなんかを組んで、一定の期間、システム開発や事業計画を地方で行う開発合宿などに対応したサテライトオフィスの展開など、さまざまな工夫を凝らした働き方改革を進め、そして、地域、もっともっと活性化をしていく。そういった中で、地方財政の安定化と、将来の、今度の消費税率引き上げはしっかりと確実にできるように進めることが必要だと考えております。

 そこで、地域経済の活性化を目指して、総務省としてあらゆる施策を動員して、テレワークの地域への定着を大胆に進めるべきと考えるわけでございますが、大臣の御決意をお聞かせ願えますでしょうか。

○高市国務大臣 輿水委員には、ことし八月まで総務大臣政務官として御活躍いただき、特に、ICT分野ではもう私よりもはるかに詳しい知識をお持ちなんですけれども、特にテレワークを先進的に実施している自治体や企業を全国各地、随分回ってきていただきました。先進的な取り組みについても横展開をするためにお取り組みをいただきましたことに、まず感謝を申し上げます。

 テレワークというのは、いろいろな効果があると思うんですけれども、やはり時間や場所にとらわれずに働ける働き方を可能にするものですから、ライフステージごとのいろいろな生活スタイルに応じて、自宅ですとか地域でも仕事ができる。そうすると、子育て世代やシニア世代や障害をお持ちの方にもまた働く場所ができてくるということで、働き方改革の切り札でもあります。

 また、地方創生という観点でも、離島や山間部でも今御活用いただいているところがふえてまいりましたので、大変大きな効果があると思います。ですから、三大都市圏だけではなくて、北海道、東海、北陸、九州、沖縄でもテレワークセミナーを開催することにしました。地方における普及に努めるということを考えますと、割とよく聞く声が、導入したいんだけれどもやり方がわからないというお声でありまして、テレワーク導入を目指す地方自治体や企業にテレワークアドバイザーを派遣して、導入支援を行っています。

 それから、先ほど地創審から説明をさせていただきました、ふるさとテレワークの全国展開を図るための補助事業を開始したんですけれども、この事業で設けられたサテライトオフィスの中にコワーキングスペースが併設されているという例もございますので、今、輿水委員が御紹介くださったような、都市部の企業が短期間、開発合宿をするというときにも御活用いただけると思います。

 いよいよ来月、十一月は産学官でテレワークを集中的にPRするテレワーク月間でございますので、私どもも優良事例を収集して、テレワーク先駆者百選として総務省のウエブサイトにも掲載しますし、この百選に総務大臣賞を新設しまして、特にすぐれたお取り組みをされている企業、団体を表彰するなど、これからもしっかりとテレワークを推進してまいります。

○輿水委員 どうもありがとうございました。

 地方消費税の引き上げ、二年半延期となりましたけれども、その間、あらゆる政策を総動員しながら、地方創生が着実に進められることを御期待申し上げ、質問を終わらせていただきます。

 大変にありがとうございました。