第189回国会 厚生労働委員会 第39号

戦没者の遺骨収集の推進に関する法律案起草の件

○渡辺委員長 次に、輿水恵一君。

 

○輿水委員 公明党の輿水恵一でございます。

 

 本日は、質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 

 まず、質問に入る前に、このたびの大雨の被災者の皆様に心よりお見舞いを申し上げます。

 

 私は、昨日、五十年に一度と言われる大雨に見舞われた栃木、また茨城、現地へ駆けつけさせていただきました。本当に、栃木県庁では、福田知事を本部長として、消防庁、あるいは内閣府、国土交通省の皆さんもしっかり集まり、また自衛隊、警察の方も連携をとりながら、まず第一に県民の皆様の安全を確保していく、そういった取り組みとともに、被害の実態をいち早く正確に掌握していく、そんな行動が迅速になされておりました。

 

 土砂や激流により家屋が流された鹿沼市におきましては、警察や消防隊員とともに、地元の消防団の皆様が、会社を休んで、昨夜から不眠不休の、そういった作業をしておられました。

 

 栃木においても茨城においても、多くの家屋が浸水をしてしまいました。当面の人命救助、道路や橋の修復、土砂の除去などの取り組みとともに、今後は、家が浸水してしまった方々について、感染症の発生防止のために、住居の消毒などの衛生管理も必要かと思います。

 

 そこで、厚生労働省として、今回の大雨の被災地に対して、被災された皆様の健康を守るための取り組みなど、地元の自治体と連携をしながら具体的にどのような支援を考えているのか、お聞かせ願えますでしょうか。

 

○塩崎国務大臣 このたび被災をされた栃木県、茨城県、そしてまた他の県にもまだまだ被害が広がるかもわからない、こういうことでございまして、被災をされた皆様方に心からお見舞いを申し上げたいというふうに思います。

 

 厚生労働省としては、昨日、私を本部長といたします対策本部を設置いたしました。災害医療の提供、DMATとか、これを出しておりますし、保健衛生の維持等に全力で取り組むように指示をいたしたところでございます。

 

 本日朝から現地へ政府調査団が派遣をされたところでございますが、私ども厚生労働省からも永岡副大臣、御自身の選挙区がまさに今回の被災地のど真ん中でありますけれども、副大臣を派遣いたしまして、状況把握に努めておるところでございます。

 

 栃木県や茨城県等の避難所において保健師が二十四時間常駐するなど、避難者の健康状態の把握と健康上の必要な支援を行っているというふうに承知をしております。

 

 また、厚生労働省では、避難所における健康管理のガイドラインを被災県に対して改めて周知して、バックアップをしているところでございます。

 

 今後は、汚泥の除去に当たっての家屋等の消毒、あるいは発熱や下痢などの症状を呈する方が同時期に複数発生したような場合の迅速な対応などの感染症対策、これに万全を期していきたいというふうに思っておりまして、極めて重要な対策かと思います。

 

 厚生労働省としては、被災自治体と緊密に連携を図って、ニーズをしっかりと把握しながら、必要な支援を行ってまいる覚悟でございます。

 

○輿水委員 どうもありがとうございます。

 

 迅速かつ適切な対応をよろしくお願い申し上げます。ありがとうございます。

 

 それでは、皆様のお手元に配付されております戦没者の遺骨収集の推進に関する法律案に関連する事項につきまして、質問をさせていただきたいと思います。

 

 この法律案は、先ほどもありましたとおり、今日まで、戦没者の遺骨収集、政令で定められた慰霊の事業として地道に進められてまいりましたが、戦後七十年がたち、御遺族の皆様の高齢化が進展している状況において、戦没者の遺骨収集に関し国の責務を明らかにし、向こう十年間を集中実施期間として、戦没者の遺骨収集の推進に関する施策を総合的かつ計画的に行おうとするものでございます。

 

 公明党は、昨年、戦没者遺骨収集帰還事業推進プロジェクトチームを立ち上げ、戦没者の遺骨収集について議論を進めてまいりました。今回、渡辺委員長のもと、このように法案としてまとめ上げられたことを大変うれしく思っております。

 

 まず初めに、戦没者の遺骨収集の経緯と今後について確認をさせていただきます。

 

 海外戦没者数は、おおむね二百四十万人と言われております。そして、今日までに復員や引き揚げ時に送還した遺骨を含めて日本に帰還した遺骨は、約百二十七万柱とのことでございます。このうち、遺骨収集帰還事業による収容遺骨数は約三十四万柱。

 

 昭和四十二年度から五十年度までの九年間で二十一万五千柱の収容で、この間の年間平均収容数は約二万四千柱であったのに対し、平成十八年度から平成二十六年度までの九年間では約二万八千柱の収容で、この間の平均収容数は三千柱と大幅に減少をしております。

 

 そこで、このように、近年、年間の遺骨収容数が当初に比べて大幅に減少している要因について、遺骨収集事業の経緯も含めてお聞かせ願えますでしょうか。

 

○谷内政府参考人 お答えいたします。

 

 厚生労働省におきましては、昭和二十七年度以降、遺族や戦友の協力のもとで、戦没者の遺骨収集帰還事業を実施してきております。

 

 それで、厚生労働省は、昭和二十七年度から三十二年度をもって一旦政府事業として概了としておりましたけれども、その後、三十二年度から四十一年度までの十年間につきましても、遺族や戦友の方が独自の取り組みとして遺骨収集を行うなど、献身的な取り組みがなされたというふうに承知しております。

 

 その後、昭和四十年代になりまして、さらに遺族や戦友の方々から数多くの遺骨情報が寄せられました。また、相手国からもいろいろな開発に伴いまして遺骨情報が寄せられましたことを踏まえまして、四十年代におきましては、計画的に、また集中的に遺骨収集帰還を行ったところでございます。

 

 その後につきましても、遺骨情報に基づいて遺骨収集帰還事業を行っているところでございますけれども、先生御指摘のように、近年では、昭和四十年代に比べまして、年間平均の遺骨収容数が以前に比べて大幅に減少しておりますけれども、これにつきましては、独自の取り組みをされておりました遺族や戦友の方が既に高齢化し、当時の状況を知る方々が少なくなって、遺骨情報も減少していること、さらに、遺骨収集が比較的簡単なところの埋葬地が少なくなってきていること、そういったことが要因として挙げられると考えております。

 

○輿水委員 ありがとうございます。

 

 やはり、情報と、埋葬されているというか、遺骨を収容する環境もどんどん変化するということで、一刻を争う、そういった内容であるように感じております。

 

 ここで、戦後七十年になり、まさに新たな情報も入手するのが非常に難しい。今を逃しては、当時のことを知る人もますます少なくなる。情報の収集がさらに難しくなる。

 

 そこで、限られた時間で効率的に情報を収集するためにどのような取り組みが考えられるのか、また、新たな情報収集の方法としてどのようなことを考えているのか、お聞かせ願えますでしょうか。

 

○谷内政府参考人 お答えいたします。

 

 戦後七十年を迎えました今日、先ほど申し上げましたように、当時の状況を知る関係者の高齢化によりまして遺骨情報が減少していることから、議員御指摘のように、遺骨に関する情報収集を強化することが重要であると考えているところでございます。

 

 このため、平成十八年度からは、民間団体などの御協力を得ながら、例えば太平洋の島々、フィリピン、東部ニューギニア、ビスマーク・ソロモン諸島、インドネシアにおきまして、未収容遺骨の現地情報収集を行って遺骨収容につなげてきたところでございまして、来年度からはパラオやミャンマーもつけ加えていきたいと思っております。

 

 また、これに加えまして、交戦国でございました各国の公立公文書館等が保有する情報につきまして、資料調査を行っているところでございます。具体的には、平成二十一年度からアメリカの公立公文書館等における調査、また平成二十四年度からはオーストラリアの公立公文書館等における調査、また、さらに平成二十六年度からはニュージーランド、イギリス及びオランダの調査を行っているところでございます。

 

 本年度、平成二十七年度からは、それに加えまして、フランスを加えて六カ国につきまして、さらに三年間で集中的な調査を実施することとしていきたいと考えております。

 

○輿水委員 ありがとうございます。

 

 まさに情報は一番命でございますので、適切な、また迅速な情報の収集をよろしくお願いいたしたいと思います。

 

 この法案では、戦没者の遺骨収集のために必要な情報の入手や遺骨の収容と帰還などを適正かつ確実に行うことができると認められる一般社団法人または一般財団法人を、全国で一個に限り指定することができるとしております。

 

 そこで、今日までの遺骨収集事業の経緯も考慮し、どのような法人を指定するのが望ましいと考えているのか、伺いたいと思います。

 

○谷内政府参考人 お答えいたします。

 

 これまでの遺骨収集帰還事業につきましては、長年にわたりまして、遺族や戦友の方々から構成されます多くの関係団体に御協力いただきまして実施してきたところでございます。

 

 議員御指摘のように、今、議員立法で法律が成立されました暁には、一つの法人が遺骨収集のための法人として指定されることになるわけですけれども、厚生労働省といたしましては、遺骨収集に関します豊富な経験、知見を有するこれらの関係団体、今までの多くの関係団体と連携しながら、遺骨収集帰還事業をより効率的、効果的に実施していくためには、今まで協力いただいた関係団体によって構成される法人、いわゆるオール・ジャパンの法人を指定する、オール・ジャパンになっていただいて、そういった法人を指定することが望ましいと考えているところでございます。

 

○輿水委員 ありがとうございます。

 

 まさにこの遺骨収容の事業というのは、収容も大事でありますけれども、慰霊という思いの中で、やはりそういった団体の皆様が一つになって、そして進められることが私も望ましいと思っております。よろしくお願いいたします。

 

 そこで、現在、未収容遺骨は約百十三万柱。この未収容遺骨のうち、海の中に没したと思われる約三十万と、相手国の事情により収容することが困難なものが二十三万柱と伺っております。したがって、当面の収容を目指す遺骨は残りの約六十万柱となります。

 

 日本において、集中期間にこれらの全ての遺骨の収容を目指すのは当然でございますが、なかなかできない、そういった場合もあるかもしれません。そういったことを考慮する中で、遺族の皆様がこの機会に慰霊の思いを形に残す、そういった事業も展開することも私は大事かなと思っております。

 

 日本において、亜熱帯のジャワから極寒のシベリアまでどんな気候でも育つ新種の桜、これは名づけて陽光桜と申しますが、これが生み出されました。この陽光桜というのは、大臣の地元でもございますが、愛媛県の青年農業学校の教員をしていた高岡正明氏が、各戦地の最前線で命を落とした教え子たちの慰霊のためにどんな気候の地域でも花を咲かせる新種の桜をつくると決めて、長い年月をかけて執念で生み出したものでございます。

 

 例えば、慰霊の意味も込めて、遺骨収容に携わった皆様の気持ちを形に残す意味から、日本の代表的な花木である桜を戦没者の遺骨があると思われる地域に植樹し、現地に桜の花を咲かせることは、収容事業にあわせて慰霊の事業として有意義なことであると思いますが、見解をお聞かせ願えますでしょうか。

 

○谷内政府参考人 お答えいたします。

 

 まず、厚生労働省におきます今までの取り組みを申し上げさせていただきますと、御遺族や戦友の方々の心情に鑑みまして、海外の主な戦域ごとに、その戦域で亡くなられた全ての方々を慰霊の対象とした戦没者慰霊碑を建立したり、また、海外での慰霊巡拝や遺児の方を対象といたしました慰霊友好親善事業を実施してきているところでございます。

 

 議員御指摘の点でございますけれども、御遺族や戦友の方々の思いを形に残すということは非常に大事なことであると考えております。御提案についても厚生労働省として検討していきたいと考えております。

 

○輿水委員 ありがとうございます。

 

 私も、先ほどの委員と同じように、先日、厚生労働委員会の視察で硫黄島に行かせていただきました。慰霊碑に献花をさせていただきました。祖国の行く末を案じ、家族の幸せを願いながら戦陣に散った皆様のことを思うと、本当に胸が痛みました。改めて、戦後七十年を迎え、さきの大戦における全ての犠牲者の皆様に哀悼の祈りをささげるとともに、御遺族並びに今なお深い傷跡に苦しむ皆様に対し、心よりお見舞いを申し上げます。

 

 私も、先ほどの桜なんですけれども、できれば、慰霊の土地があったんですけれども結構殺風景な形だったんですけれども、そこに桜の花がぱっと咲いて、そして、現地の皆さんもそこの地域に眠っている方も桜がめでれるような、そんな取り組みができるといいなと思いをはせてまいりました。

 

 そんな中、今回、安倍総理は、戦後七十年の談話で、二度と戦争の惨禍を繰り返してはならない、事変、侵略、戦争、いかなる武力の威嚇や行使も、国際紛争を解決する手段としては、もう二度と使用してはならないと宣言をされました。

 

 そこで、戦後七十年のこのとき、厚生労働省として、遺骨収集事業を集中的に進めるに当たり、戦没者とその家族の皆様への思いと世界の平和に向けての決意を改めてお聞かせ願えますでしょうか。

 

○橋本大臣政務官 お答えいたします。

 

 さきの大戦におきましては、三百万余りの方々が、祖国を思い、愛する家族を案じつつ、苛烈な戦闘に倒れ、また、遠い異国の地でお亡くなりになられたわけでございまして、改めて哀悼の意を表したいと思います。

 

 また、最愛の肉親を戦争で失った悲しみに耐えながら、戦争の混乱と困窮の中を生き抜き、我が国の発展に貢献された御遺族の方々に対し、深く敬意をあらわさなければならないと思っております。

 

 終戦から七十年の歳月が過ぎ去りました。今日の平和と繁栄、まさに、私たちがこうして暮らしていくことができているということ、それは戦没者の方々のとうとい犠牲と御遺族の方々の並々ならぬ御労苦の上に築かれていることを片時たりとも私たちは忘れてはならないと考えているわけでございます。

 

 お触れをいただきましたように、安倍総理の七十周年の談話でも、二度と戦争の惨禍を繰り返してはならない、このことをはっきりおっしゃっているわけですし、また、冒頭のセンテンスで、その歴史の教訓の中から、未来への知恵を学ばなければならない、このようにお触れになっているわけであります。

 

 そうした意味でも、きょう御審議をいただいている御遺骨の収集のような事業、あるいは、例えば昭和館、しょうけい館のような、次世代に戦争の、あるいはその時代の記憶をつないでいくような事業に私たちは取り組んでいるところでございまして、そうした取り組みを通じまして、厚生労働省といたしましても、世界の恒久平和と繁栄にぜひ貢献をしてまいりたい、このように考えているところでございます。

 

○輿水委員 ありがとうございます。

 

 本当に戦争ほど悲惨なものはない、もう絶対繰り返してはならない、そんな思いで、恒久平和を目指して私もできること、またやるべきことに全力を尽くしていきたい、このように決意をさせていただいております。

 

 戦後七十年談話では、先ほども触れていただきましたように、歴史の教訓を深く胸に刻み、よりよい未来を切り開いていく、アジア、そして世界の平和と繁栄に力を尽くす大きな責任がありますとも宣言をされました。

 

 平和な世界を築く基盤は、各国との連携、信頼と友情であると思います。このためには、まさに七十年談話にあるとおり、アジア、そして世界の平和と繁栄に尽くすことも大事であると思います。

 

 そこで、厚生労働省として、新興国、途上国における医療保健分野の支援など、国際社会への貢献のためにどのような取り組みを進めようとしているのか、お聞かせ願えますでしょうか。

 

○塩崎国務大臣 厚生労働省としては、これまで感染症対策など個別の課題に対応した国際貢献を行ってまいりましたけれども、今後は、こうした取り組みとあわせて、途上国における基本的な保健システムの強化を支援することが極めて重要ではないかというふうに認識をしているところでございます。

 

 けさほど官邸で健康・医療戦略推進本部というのが開催をされまして、基本的な考え方が取りまとめられました。こういう中で、保健医療分野に対する二国間支援として、医療従事者の人材育成とか病院における医療の質の向上などの支援を行ってまいっていますけれども、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの達成に向けて、WHO等関係機関と連携しつつ、保健システム構築について技術支援などを行ってきているわけであります。

 

 今申し上げたように、この推進本部で、けさほど官邸で総理も交えて議論の結果、基本方針が決まりましたけれども、厚生労働省としては、引き続き、今申し上げたような取り組みを着実に進め、保健医療分野における国際貢献に努めてまいりたいというふうに考えております。

 

○輿水委員 どうもありがとうございます。

 

 まさに保健医療分野、しっかりと進めていただきたい。

 

 また、日本は世界でも類を見ない高齢化が進んでいる、そういう中で、高齢社会に対してどのような対応の中でそれを大きく乗り越えていくのか。そんなこともしっかり進めながら、世界と情報やいろいろなやり方を共有して世界に貢献する、そんなあり方も一緒に考えていきたいなというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 

 最後に、本法案による遺骨の収集の事業が、多くの皆様の思いが凝縮され、すばらしい慰霊の事業として進められることを心より御祈念申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 

 ありがとうございました。