第187回国会 内閣委員会 第11号

女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案(内閣提出第二二号)

○井上委員長 次に、輿水恵一君。

 

○輿水委員 公明党の輿水恵一でございます。

 

 本日は、参考人の先生方に貴重な御意見を賜り、心より感謝を申し上げます。

 

 初めに、小室参考人の方に質問させていただきたいと思います。

 

 まさに人口ボーナス期から人口オーナス期ということで、本当に、現在、私たち、二〇一五年、超高齢化社会を迎えるに当たって、どういう地域社会をつくっていくのか、大変大きな課題であると思うわけでございます。

 

 そして、今回、女性の職業生活における活躍、確かに、女性は、子育てとかそういった部分との両立するものが非常に多かった。しかし、これから高齢化社会になってきますと、私たち男性も、介護とか、また地域でのさまざまな活動が必要になって、地域の支え手、家庭の支え手となる、そういった時代がやってくるのかな、このように感じているわけでございますが、まさにこの人口オーナスに対応する、そういった女性が活躍しやすい社会をつくるということは、余りのんびりしていられないというか、緊急にやるべき課題なのかな、そのように感じているんですけれども、現場の実感としてどのようにお感じなのか、教えていただけますでしょうか。

 

○小室参考人 御質問ありがとうございます。

 

 こういった女性に関するものの緊急度というところなんですけれども、まさにおっしゃるとおり、こういった対策を二年でやるのか五年でやるのかは大きな違いだと思っています。

 

 一番大きな要因としては、団塊ジュニア世代の出産適齢期の女性の適齢期がもう終わりつつあるということです。日本はベビーブームがあって、その子供たちがもう一度のベビーブームを今起こせずにいます。そうすると、人口減が激しく構造上のいびつさを生み出してしまいますので、次世代の子供たちの借金というようなものが本当に心配な状況になっています。

 

 それを少しでも緩和できるのかどうかというのを考えたときに、団塊ジュニア世代の女性たちの出産適齢期がまだ数年残っているうちに待機児童がゼロになるのか、それがすっかり終わって五年後に待機児童がゼロになるのかは、産める子供の数でいうと大きな違いが出てしまうので、五年ぐらいでというようなのんびりした形ではなくて、本当にこの一年、二年でどれだけ集中的にできるのかというようなことが重要だと思っています。そういった意味では、本当にそこの財源を確保して、しっかり投入していくということが大事だと思っています。

 

 また、一つ、私も自分で体験してわかったことですが、二〇一〇年に夫の母がクモ膜下で倒れまして、介護ということがこんなに早いタイミングで来るということに気づきました。これは晩産化の影響だと思うんですね。親も自分自身も晩産化であれば、当然、育児と介護の時期が重なります。そのときに、私の場合は、長男は四歳でした。今までであれば、育児が一段落して介護というようなイメージがありましたが、団塊ジュニア世代以降は、育児、介護、共働きという状況なんですね。これは、四十年前とは全然違う背景を持った人が今の社会の主たる労働者になってくるということですので、どれだけのスピードを持ってできるのかというところがまさに重要ではないかなというふうに思います。

 

 ありがとうございます。

 

○輿水委員 どうもありがとうございました。

 

 本当に一つ一つの課題をスピード感を持って進めていくことが必要だなと。そのような中で、今回の女性の活躍という部分を考えたんですけれども、結局は、これからは男性も本当に働きやすい、そういった環境をつくっていくことが必要、介護も含めてです。

 

 そして、結論的に私が感じているのは、結局は、労働の時間をしっかりと、残業なしで、決められた時間の中できちっとなし遂げていく、そして、その時間のあり方を前にしたり後ろにしたり、あるいは分けたりしながら、その中で自分のやるべきこと、また仕事をしっかりやりながら、そこにお互いが認め合いながら、そして社会の生産性を高めていく、こういった社会の実現こそがまず第一優先なのではないかなというふうに感じるわけでございますが、この点につきまして、お三方にそれぞれの御意見を賜りたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

○小室参考人 ありがとうございます。

 

 どれだけ短時間で、生産性の高い国に今、日本がなれるのかに本当にかかっていると思っています。というのも、労働時間に制約がないことによって日本がイノベーションを生まない状態になっているということに私は高い危機感を持っています。

 

 日本も、竹やりでは勝っていけませんので、どうしたら高付加価値型のビジネスに転換していけるかということがグローバル社会の中での競争のポイントになっているわけですが、その高付加価値型の商品、サービスを考えるに当たっては、従業員の多様性が必要であることと、それから従業員がいかに勉強するかということが大事になります。

 

 この勉強の時間というのは、放っておくと従業員はしません。自分の知識やスキルが低いまま、それを、お金をもらいながら、残業代をもらいながら時間で補うという方法をとった方が実入りもいいわけなんですね。これをやってしまうと、学ばないで、知識、スキルの低いまま勝負をする人が一番お金をもらってしまうというような、これはワーキングマザーにしてみるととても腹が立つ状況なんですね。

 

 弊社では、全員残業禁止ということにすると、転職してきた社員はもうびっくりするわけなんです。時間内で成果を出さなきゃいけないというのは一番厳しいやり方です。きょう、後ろに二人、弊社の若手の男性を連れてきたんですが、放っておくと多分残業しがちな年代だと思うんですけれども、弊社では、六時までに成果を出したもので評価がつくと思うものですから、六時以降、必死に学びます。本も非常に読みますし、いろいろな団体に自分から積極的に顔を出して人脈をつくるということをやります。

 

 こういった方向に社会全体を、要するに、制約がイノベーションを生むわけですので、逆に制約をつけることで高いイノベーションを生むような、そういった、ワーク・ライフシナジーと私たちは呼んでいるんですけれども、この状態をつくっていかなければ日本の産業が沈んでしまうということではないかなというふうに捉えています。

 

 以上です。ありがとうございました。

 

○内藤参考人 御質問ありがとうございます。

 

 委員が言われた中で、私は、やはり長時間労働の抑制ということが一番重要かなというふうに思いました。

 

 実際に今、育児中の女性労働者の方々にお話を聞きますと、やはり定時に帰れるということが一番重要じゃないかという感じをしました。フレックスとかということではなくて、本当に、五時なら五時、五時半なら五時半に保育園にお迎えに行けるということが重要であって、これについて、どうやったら実現できるか、労使が知恵を絞っていく、そして、国がもしかしたらそういう協議する枠組みをつくっていく、そういったことが大事なのかなというふうに思っています。

 

○矢島参考人 ありがとうございます。

 

 最近、本当に、働き方の厳しい業界から御相談を受けることが多くなっておりまして、IT企業であるとか商社であるとか、あるいはマスコミ、報道関係の方々、それから、中には、警察、警察官の方への研修もさせていただいたんです。

 そういった中で、女性の問題というよりも、男性の、特に働き盛りの皆さんの働き方について、自分自身で考えていただくような研修をいたしますと、大抵の方が、何らかの自分の働き方を変える必要性を感じている。ただ、日ごろ、職場の中ではなかなかそういう話はしづらかったり、やはり社会的使命も高いようなお仕事も多いですから、言えない。

 

 そういう中で、ワーク・ライフ・バランスというのは女性だけの問題でしょうというふうに日ごろ言っておりますけれども、実は、男性たちに話し合っていただきますと、ほとんどの方がニーズを持っている。そういうニーズを持っていることを職場や会社全体で共有して、長時間労働をみんなでなくすことが、単に時間制約のある方の両立のためではなくて、自分たちが本当に価値の高い仕事あるいは自分たちが本当にやりたい仕事にかける時間をとるために重要なんだということを理解していただくことが重要だというふうに考えております。

 

 以上です。

 

○輿水委員 どうもありがとうございました。

 

 先ほど、ショッキングというか、なるほどというお話をいただいたのが、女性の方で管理職になりたいという方が少ないのではなくて、今いるような、ああいう管理職にはなりたくないなと。これは、もしかしたら、女性だけではなく、若者も、ああはなりたくないなと。あるいは、高齢者もこれから活躍する場があるとしても、今までさんざん頑張ってきて、もうああはなりたくないなと。これからはそういう管理職であってはいけない。

 

 今お話あったように、しっかりとした時間は時間があって、そして自分自身の新しい何かをインプットするような時間あるいは社会に貢献するような時間、そういったものを持ちながら生き生きと働く、そこに管理職の理想像というものが求められれば、さらに女性の活躍の場というか、また女性のモチベーションも非常に上がってくるのかな、このように感じているところでございます。

 

 そういった意味で、今回の法案の中で、各企業の取り組みを公表していくという部分で、さまざまな、管理職の数というよりも、管理職に希望を持っている方とか、でも、その以前に、やはり平均残業時間がどうなっているのかとか、あるいは有休の消化率がどうかとか、この辺をきっちりやってしまうことによって、相当、皆様方が働きやすい、活躍しやすい、こういった環境ができるのかなと思うんですけれども、この点につきまして、皆様に一言ずつコメントをいただけますでしょうか。

 

○小室参考人 ありがとうございます。

 

 私は、時間当たりの生産性で勝負をする国に日本を組みかえられれば総力戦で戦えるのにという思いで創業をして、今日までやってまいりましたので、本当にその社会をつくっていくことが大事だと思っています。

 

 今、管理職の方や企業の経営者の方もこの重要性には大変気づいてきていまして、私どもコンサルにお金を払って残業を減らしたいという企業さんがたくさんいるということなんですね。九百社に私どもから営業したことは実は一社もないんです。九百社全て、問い合わせで受注をしました。それぐらい、実は、企業は労働時間を減らしたくて仕方がない。

 

 でも、最後は、それがなぜできないのかというときに、イメージでいうと、業界に六社あるとすると、そのうちの四社は、もう疲弊合戦でやめたいと思っているわけなんです。ところが、まだ比較的若い従業員が多いような企業は、自分たちは残業合戦で勝ちたいと思うわけなんですね。そうすると、この二社の方がそこに応じないことによって、この四社は、自分から労働時間を短くしてしまうと、それによって負けたらいけないと思うので、いつまでも一歩も踏み出せないというところがあります。ただし、本当はやめたいと思っている企業の比率の方が断然高くなっているという状況なんです。

 

 このもうやめたいと思っている企業が口をそろえて言うのは、自分たちで主導するのにはもう限界がある、政府として何らかの方針を示してもらった方が、企業としては、莫大な残業代が浮いて、従業員の働き方が効率的になって、本当はありがたいんだけれども、でも、うちが言ったということになると、経済団体からいろいろ言われるから、うちが言うというわけにはいかないんだよねというところが企業の本音ですので、そういった意味でいうと、実は経済団体の方は、働き方を変えたがっているという一企業ごとの声がまだ十分に吸い上げられていないのではないかと思いますので、そういったところにぜひ力を入れて推進していただきたいと思います。

 

○内藤参考人 御質問ありがとうございます。

 

 建議では、公表事項としまして、女性採用比率、勤続年数男女差、労働時間の状況、女性管理職比率ということが上がっております。これ以外にも、もしここに入らないのであれば、任意に企業において公表していただきたいものは幾つもあるというふうに思っております。

 

 例えばですけれども、さっきおっしゃったような年休の取得率というのもあると思いますし、男女労働者の育児及び介護休業、それから育児及び介護短時間勤務、それから看護及び介護休暇の取得率、育児・介護休業法というのは、育児休業や介護休業だけを規定しているものではなくて、看護休暇とか介護休暇とか育児の時短勤務、こういったものも多数制度としてございまして、こういったものも織りまぜて、皆さん両立されているわけですけれども、やはりこれも、育児休業と同じように、女性だけに偏っているというところがございます。

 

 ですから、こういうのも公表していただくということも重要ですし、育児休業後の原職復帰率とか、さまざま任意に公表していただくことで、企業がみずから変わっていくという契機になることは可能なのではないかなというふうに思っています。

 

○矢島参考人 ありがとうございます。

 

 今回の法律を通じて、企業が、これまで整備してきた制度だけでなく、今ある状態を公表することというのは非常に重要だと思いますし、その中に、単に管理職比率ですとかそういった活躍度だけではなくて、男性を含めた働き方の問題というのが見えるようになってくるということはとても重要だと思います。

 

 今いろいろな都道府県でもさまざまな取り組みが行われておりまして、私も滋賀県で、滋賀県独自の見える化指標というのをつくる検討に参加しておりますけれども、その中でも一番難しいのは、やはり公表のハードルを余り上げてしまうと多くの企業が参加できない、できるだけ多くの企業に参加していただき、その中では各企業の独自性とか特徴をアピールできるような内容にすると同時に、それから高いレベルを目指していただくというその両方がかなうような仕組みというのがとても重要だと思っておりまして、今私自身悩んでいるところですけれども、そういった仕組みを考えていくことがとても重要なのではないかと思っております。

 

 以上です。

 

○輿水委員 どうもありがとうございました。

 

 女性とともに男性も、全ての人々が働きやすい社会を目指して、私どもも頑張ってまいりたいと思います。きょうは本当にありがとうございました。

 

 以上で終わります。