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第186回国会 厚生労働委員会 第18号


・地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第二三号)

・介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案(中根康浩君外七名提出、衆法第一〇号)


○後藤委員長 次に、輿水恵一君。

 

○輿水委員 公明党の輿水恵一でございます。

 

 本日は、本当に貴重な御意見をいただきまして、また、現場でお一人お一人のために、さまざまな視点から全力を尽くしていただいている、本当に貴重なお話をいただきまして、ありがとうございます。

 

 私たち公明党は、今日まで五十年間、福祉の党、そういった旗を掲げて走り抜いてまいりました。そんな中で、今の予防給付、地域支援事業、皆様がいろいろな形で御懸念されている点、私たち、三千名の地方議員さんと一体となって、そこをどう、そういったものがなく、一人一人が本当に安心して、またさらにその効果が出るような事業になるのか、していくのか、今必死に取り組んでいるところでございます。

 

 公明党の地域包括ケア推進本部を立ち上げさせていただき、もう十一回の会合と、各地方でのそういった移動推進本部なども進めさせていただきながら、また先生方のきょうの御指導をいただきながらしっかりと取り組んでいきたい、まずこの決意をさせていただきたいと思います。

 

 その上で、山崎参考人さんにまずお伺いをしたいんです。

 

 まさに、急激に医療と介護の需要がふえてくる、それをどうやって受けていくのか、これは本当に今やっておかなければ将来大変なことになる、そんな思いの中で、地域包括ケアの構築と、またその制度の持続可能性をしっかり担保していく、こういった問題が大事であります。その上で、きょう私は、そういった受け皿も大事ですけれども、先ほどの、いかに元気な、またできるだけ重症化しないような取り組みを現場でどこまでできるのか、そういったところも勝負なのかな、その点につきまして伺いたいと思います。

 

 先ほど、本当に貴重な、ローカルオプティマムというか、地域でということがいよいよ地方分権の試金石である、そういうお話をいただきました。

 

 まさにその地域、私も、全国、都市部も回らせていただければ、岩手だとか石川県だとか、そういった地域の山間部も回らせていただき、本当に人材がいない、あるいは状況が全く違う。そういった中で、地域のできる限りのことをどう進めていくかという問題になってくるんですけれども、そこでやはりうまくいっているところは、リーダーというかコーディネートする人材、あるいは、そこに来て、これは大変だと思ったお医者さんが立ち上がった、地域の方が立ち上がった、そういった人材がいらっしゃるところはある程度進んでいる。しかし、そういった方がいらっしゃらないところはなかなか進まない。

 

 そのリーダーというかコーディネーター、そういった方をどうこれから育成するのかが大きな問題だと思うんですけれども、その点につきましての御見解というか、また、どういうふうな形でそこを育てていけばいいのか、御所見がございましたら、まずお聞かせ願えますでしょうか。

 

○山崎参考人 国の方でも全国の進んだ先進事例をどんどん収集していただいて、それを受けて地方で工夫をするという進め方になるのではないかというふうに思います。

 

 今お話にありましたように、どう人を育てていくかということが非常に大事でありまして、市町村役場の中にも専門職を育てる。それから、地域でも恐らく、普通に考えれば、もっともっと社協に、社会福祉協議会に頑張っていただきたいなというふうな感じがしておりますが、しかし、それを超えて、それぞれ地域地域に、ああ、この人なら、あるいはこの人がという人がいるわけでございまして、その人がお医者さんであったり、あるいは全くの、何というんですか、退職後の、現役時代の経験知識を生かした自発的な取り組みをされる方であったり、さまざまな方がいるんじゃないかなというふうに思います。

 

 今回の法案では、そういう生活支援のサービスの担い手に対しても、きちっと規定をし、そして財政支援を行うことになっておりますから、移行期をしばらく置いておりますので、地方でそれぞれ前向きに取り組んでいただきたいというふうに思っております。

 

 一番大事なのは、市町村長さんの姿勢かなというふうな気がしております。

 

○輿水委員 どうもありがとうございます。

 

 まさに市町村長さん、トップが、本当に真剣に、いかに地域の高齢者の皆様にできる限りのそういったサービスを提供していくのか。そういった意味で、先ほど浦野参考人さんあるいは田部井参考人さんの方からもありました現場の思いとか意見、そういったものも共有をしていく、そこで、その中で何をしていくのか、そういった取り組みを進めていくことが必要かなと。

 

 そういった意味では、ケア会議というものを形骸化させないで、しっかり一人一人に寄り添って、皆で考えていくところにまたそういった問題の共有化ができて、やるべきことが見えてくるのかなという部分では、しっかりと進めていきたい、このように思っているところでございます。

 

 その上で、新田先生に伺いたいんです。

 

 先ほど来、認知症は、重度化してしまうと、精神的また行動的なそういったものが周りに非常にいろいろな形で負担というか大変な状況になってくる、そこをどう早期に対応していくのかということが大事になってくると。

 

 今回の法案でも、認知症の初期の支援チームというか、そういった形とか、あとは支援員という位置づけもあるんですけれども、その上で、やはり先ほど伺いました認知症市民勉強会、まず多くの皆さんがしっかりと理解をして、そして、そういったところに適切につなげていくという取り組みも必要なのかなということを感じたんです。

 

 改めて、この認知症市民勉強会、一人でも多くの人がこういう意識をまず持っていくというところが大きな力になる、そのように思うんです。その辺の見解と今後の取り組みの方向について教えていただけますでしょうか。

 

○新田参考人 質問ありがとうございます。

 

 これだけマスコミで認知症について言われている中でも、まだまだ市民の認知症の理解は、実際に自分の目の前、自分の身内に起こってみると、それが認知症によるものなのかどうかわからない。結果として、それがもう少し悪化してから地域包括なり我々の地域の医療機関にかかる、現実に起こっております。その意味で、私たちは、まず市民。

 

 先ほどから要支援外しとか云々ありますが、私は、今現在、認知症四百七十万、MCIを入れると八百万時代に、従来の介護保険では対応がもう無理だというふうに実は思っていて、それを超えるものが何かという意味で、今質問がありました、それは認知症対策である、それが地域包括を含めて市民を巻き込んだ体制づくりをしない限り、介護保険はもともと機能しないんだろうというふうに思っています。

 

 その意味で、やはり市民に理解していただいて、単に例えばヘルパーさんが週に一回行くのではなくて、みんなで見守っていく体制。それは、早期に発見を私たちがして、それを発見して発見しっ放しではどうしようもありません。ただ、その人はまだ仕事をしているかもわからない、でも、仕事を援助しながら、さらに私たちがその進行に従ってそばにつくという、その地域の体制こそがこれからの社会に対応できるのかなというふうに思っています。

 

○輿水委員 どうもありがとうございました。

 

 まさに、共助と公助に加えて、やはり自助と互助、総力戦でこの高齢化社会をどう受けとめて、そして皆が安心して地域で暮らせる社会を築いていくか、そういった思いを私も共有させていただきたいと思います。

 

 その中で、やはり認知症と一言で言っても、その重症度というか、いろいろ千差万別でございます。それぞれの高齢者の心身の状態に応じた適切な対応というのが非常に大事になるかなと。

 

 そういった中で、国のやるべき大枠の進めるべきことと市町村がしっかり担うべきこと、その辺のあり方について御意見をいただけますでしょうか。

 

○新田参考人 国がやる大きな対策としては、オレンジプランがありました。そして、昨年度来、精神病院における入院の検討会等々が挙がっております。

 

 私は、認知症でアルツハイマーの方は、かなり重度まで自宅で生活することが可能だと思っております。その意味では、私たちはその次に、国のオレンジプランに応じて、最後までできる限り在宅というのはやはり市町村の役割だろうというふうに思います。

 

 その市町村の役割をどこが果たすかというと、先ほどから言われています地域包括ケアセンターだろうなというふうに思います。ただ、全国広くございますので、そこが非常に形骸化したところもあれば、ハードはできているけれども中身がないところとか、さまざまあります。そこのところはやはり市町村が責任を持って、私は、地域の人たちと、医師も含めた多職種とつくり上げる努力は必ず必要だというふうに思います。

 

 そして、認知症に関しては、軽度から重度までのステージアプローチが必要だろうなと思う。非常にMCIの人にはどのような対応をするのか、そして初期、中度、先ほど話がありました終末期、終末期にはどのような対応をするのか、最終的には誤嚥性肺炎に対してどう我々が対応するのかという、段階を持ってきちっとやっていく、それを、私たち医療者だけではなくて、市民、家族、そしてヘルパーさん、訪問看護、全ての人が共有することだろうなというふうに思います。

 

○輿水委員 どうもありがとうございます。

 

 まさに、認知症の方は常にヘルパーさんが一緒にいるわけではなくて、家族の方、また友人の方、市民の方、同じ意識に立って、適切に対応していく、そのことが一人一人の安定につながってきたり、また、生活環境の向上にもつながってくる、そういうふうに私も思います。ありがとうございます。

 

 その上で、さらに認知症、デイサービス等もいろいろされているんですけれども、先生も認知症を特に大切に、また、そこを先進的に取り組んでいらっしゃっているというふうに伺っておりますが、重度者、認知症高齢者を支えるデイサービスのあり方、そういったもので何か、御経験の中で、こういったことが必要なのではないかということを教えていただけますでしょうか。

 

○新田参考人 現在のデイサービスは、やはり主に軽度から中等度の認知症の方というふうに思っております。その意味で、地域において、いわゆる行動・心理症状、BPSDと俗に言われる、こういうことが起こった場合にどうするのかということでございます。

 

 家族は、放置すれば二週間で疲労します。二週間以内できちっとその対応をする。その起こる原因を見るには、単に介護者、例えば訪問看護も含めてそうですが、やはり医療の目をきちんと入れて、何が原因か。もちろん環境要因があることもあります。そういったことを含めて対応して、家族支援のためには、重度に対しても対応できるようなデイを利用する。施設、精神病院への入院をできるだけ少なくするということで、私は、日本独特のデイをうまく重度化に対応したものに変えていく必要があるなというふうに思います。

 

○輿水委員 どうもありがとうございます。

 

 ぜひ、そういった先生の研究の成果も、全国の議員と共有をしながら、生かしていけるように取り組んでまいりたいと思います。

 

 最後の質問になるかと思うんですけれども、武藤参考人にお伺いしたいと思います。

 

 先ほどの薬剤師さん、地域に一番身近にいらっしゃって、人数も多い状況の中で、当然、予防において、薬剤の管理と同時に、そのときに食だとか運動だとか睡眠だとか、医療、また、その方の健康状態をどう保っていくか、そういったアドバイス、そういった取り組みもこれから一つ大きな役割になってくるのかなというふうに感じるんですけれども、その辺の見解についてお聞かせ願えますでしょうか。

 

○武藤参考人 まさしく御指摘のとおりであります。

 

 今、薬局において、自己採血による検査もこれから可能になりますし、それから、場合によっては、栄養士さんを薬局に配置しているところもあります。そうしますと、薬局に来る、そこでさまざまな健康相談それから栄養相談等も受けられるということで、町の中の健康ステーションというような形でもって今後の薬局が展開していくのではないか、そういうふうに期待しております。

 

○輿水委員 どうもありがとうございました。

 

 二〇二五年へ向けて総力戦で、しっかりと地域の中で安心して暮らしていける、そんな社会の構築を目指して、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。

 

 きょうは本当にありがとうございました。