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第185回国会 厚生労働委員会 第5号


持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律案(内閣提出第二号)


○後藤委員長 次に、輿水恵一君。

 

○輿水委員 公明党の輿水恵一でございます。

 

 本日は、参考人の皆様、貴重な御意見、まことにありがとうございます。

 

 渡邉さん、本当に長時間こちらの御出席を賜り、本当にありがとうございます。

 

 先ほどお話をいただきました介護の現場、もしかしたらヘルパーさんがお手伝いさん的な状況になっているのかなと思っていたんですけれども、実際、歩けなかった渡邉さんが、プロのヘルパーさんの助けにより歩けるようになった、そういった一つ一つ改善に向けてのプロとしての仕事のあり方の大切さ、よくわかりました。本当にありがとうございました。

 

 さて、今、社会保障制度、大きく見直しの時期が来ていると思います。いわゆる医療、年金、介護、子育て支援、一九八〇年のその総額が約二十五兆円だったのが、二〇一〇年で百兆円を超えてしまって、さらに、高齢化が進み、あるいは医療の高度化等によって、二〇二五年、推計で百五十兆円、大体、大枠三割程度が公費の負担になってくる。このままいったら、なかなかこの制度を保つのが難しい。

 

 そういった意味の中で、重点化、効率化という視点で、この制度をどうやって維持し、皆様が将来にわたり安心して暮らせる地域社会をつくっていくのか、こういった議論が今なされていることと思います。

 

 そこで、まず山崎参考人にお伺いいたしますが、山崎参考人は、あらゆる社会保障制度を総合的にいろいろな形で研究されていらっしゃいました。一人一人の負担を余り上げるわけにはいかないし、また、サービスを落とすわけにも、求めている方がいらっしゃるので落とすわけにもいかない。そういった中で、あらゆる世代の負担の公平性というか、また、高齢者の方にも状況に応じては、そういった御意見がございました。

 

 ここをさらに飛躍してしまいますと、私も考えているんですけれども、もう、例えば六十五歳という年齢で支える側と支えられる側を分けて考える、そういった時代ではないのかな。元気な方は、最後までできれば支える側で、また元気に働いていただく、また、そうでない方は、ちゃんとその皆さんの協力を得ながらしっかりとした社会保障が受けられる、そういった環境整備が必要だというふうに思うのですけれども、その辺の支えられる側、支える側の線引きの、今後の引き方をもうちょっと、考え方について御指導いただけますでしょうか。

 

○山崎参考人 お答えします。

 

 一体改革推進法の考え方でもございますけれども、全世代がお互いに支え、支えられるという社会保障制度を構築しなければいけないということでございまして、特に負担面におきましては、支える側ということにつきましては、もう年齢の区別なく、幅広く、高齢期にあっても、いろいろな形で支え手になっていただきたいなというふうに思います。

 

 保険料を負担する、あるいは税金を負担するということでもそうですが、特に前期高齢者につきましては、地域のいろいろな活動に参加していただいて、そのことが介護予防にもなるし、健康の維持にもなると思います。その一部は、介護保険の分野で地域支援事業を今回拡大するということになっておりますから、専門的なサービスでなくても、一定程度対応できる部分もなくはないはずでございますから、そういったところに新たに踏み出そうとしている地域支援事業の中で、かかわり合っていただけないだろうかなというふうに思っております。

 

 以上です。

 

○輿水委員 どうもありがとうございました。

 

 まさに、全体で支えながら、みんなで社会保障制度を守っていく、そういった視点、私もまさにそのように思っております。

 

 そこで、今度は小黒参考人の方に御質問させていただきますが、小黒参考人は先ほど、社会保障制度の給付と負担のバランス、それをとるためには、このまま推計すると多額な増税というか税金が必要になってくる、そういった中でどうやってこの制度を保っていくのか、そういったお話がございました。

 

 まさに、負担をふやさず、給付を減らさないでうまくやっていこう、そういったところで、今回、一つの政府の方針として、健康寿命を延ばす産業の育成。いわゆる元気な方をどうやって、今まで、このまま推計すると介護が必要、医療が必要、そういった方を、それが必要じゃなくて元気に過ごせるようにしていくという、そこに新しい要素を加えたときに、またこのバランスが変わってくる。また、そこがどううまくいくかということによって、将来の日本のイメージも変わってくるかなと思うんですけれども、その辺の、健康寿命を延ばすという要素を考えたときの社会保障の見通しみたいなものについての見解を伺えますでしょうか。

 

○小黒参考人 健康寿命を延ばすということでございますけれども、財政面から見ますと、社会保障については幾つかインパクトがあるかなと思います。一つは、まず医療費が削減できる可能性がある、それから介護費も削減できる可能性がある。これはプラスに働くということだと思います。もう一つは、年金の財政に対するインパクトでございまして、こことの関係があるかなというふうに思ってございます。

 

 ただ、やはり、先ほど山崎先生がおっしゃられましたように、元気で活力ある高齢者の方々が、なるべく現役でずっと働いていただいて、むしろ支えられる側から支え手になっていくということについては、実は、理論的にはダブルのゲインがあるかなというふうに考えられます。

 

 どういうことかと申しますと、よく、そういった場合に移民を入れろという話がございますけれども、その場合は支える側が一ポイントふえる。支えられる側はふえないわけですね。ですけれども、支えられる側から支える側に変換しますと、実は二ポイント改善しますので、そういった意味で、きちんと健康な人をふやしていって支え手をふやしていくという試みは、重要かなというふうに思ってございます。

 

○輿水委員 どうもありがとうございました。

 

 そういった方向の中で、制度を守りつつも、今回の一つの大きな目玉として、自助、共助、公助、それとバランスがとれた地域包括ケアシステム、そういったものが大きく提案されております。

 

 本日は、地域医療の現場で働いておられる古屋先生にせっかくいらしていただいているので、この地域包括ケアシステムを考えたときに、私が介護を受ける立場になったときに、医療と介護と、また地域のサービスと、どういうふうに受けたらいいのか、自分にとってどうつないでもらえるのか、そういったコントロールは誰がやるのかとか、その人に光を当てて、適切なその受け方というものをどう指導していくか。

 

 そういった面では、地域の医療を支えていく先生方から、その状態を見ながら、総合的に、一人一人に合った制度のあり方、支援のあり方をコーディネートしてあげるということが、安心して、また効果的にそういった制度が働くようになるのかな、そういうふうに感じるんですけれども、その現場における地域医療の役割等についての考え方をお聞かせ願えますでしょうか。

 

○古屋参考人 どうもありがとうございます。

 

 地域包括ケアシステムでは、まず、地域の中に住んでいる方、住民の中の健康問題を適切にピックアップできる能力が必要になります、仕組みが必要になります。そのピックアップした仕組みを適切なところにつないで、その方のレベルに応じて、その方をマネジメントするような方が存在する必要があります。その方のマネジメントをするような方が、その方に必要な多職種のチームのかなめとなって、その方をみんなで、同じような立場で見守るみたいな形がそういうイメージになります。

 

 端的なのは高齢者であって、高齢者で介護が必要な人というような少し不自由な方がいたら、御家族とかが役場に相談したり、あるいは、近所の人、民生委員さんが役場に相談したりすると、そこでは、役場の保健師さんとかがそういう必要性を知って、現在だと、地域包括ケアセンターなどに連絡すると、その地域包括ケアセンターの担当職員が訪問して、実際の面談を行って、介護保険の該当になりそうか、あるいは、ほかのサポートができるかの相談に乗って、介護保険のサポートが必要そうであれば、御家族とか御本人にお勧めして介護保険を申請する。

 

 介護保険を申請したら、今度は、もし認定がつけば、ケアマネジャーが堂々とできて、ケアマネジャーは医療も介護も含めたマネジメントを行うという感じになります。

 

 障害者の場合にも、地域の中のそういうセンターに、そういうマネジメントをできる人が出て、そういう方は、常に、医療に直接携わる医師と連携をとるわけですけれども、イメージしやすいのは、在宅診療医は、いつも患者さんの一番近くにいて、患者さんの状態の多くのことがわかるので、ケアマネジャーとか、そういうマネジメントする業種とは常にやりとりをしながらアドバイスしていきます。

 

 ただ、在宅診療医みたいなかかりつけ医も、患者さん、そういう方の周りにいる一人にすぎなくて、そういう方がもしもっと高度な医療が必要であれば、もっと高度の医療機関に紹介をするし、そうでない、高度の医療機関から紹介されてきた神経難病とかがんの患者さんとかの方を在宅診療医やかかりつけ医が診ながら、ケアマネジャー、あるいはその他のマネジャー役の方と協力しながら診ていくということに、それは在宅みとりの場合もあるし、病院にまた御紹介する場合もあるけれども、そういう間のかかわりをチームで行う。

 

 地域包括ケア自体の大切なところは、現在、光の当たっているのが、チームで医療と介護、ケアしながら、最期をどこでみとるかみたいなことに重点が置かれているけれども、地域で元気に働いていて地域活動をしている間に、もっと悪くならないように問題点を早目に見つけて、それに対していろいろな対策を地域で行われながら、肝心なときに医療とか介護に渡されていく、そういうずっとシームレスな形が大切になるので、地域の活動にありながら、どの医療にも、介護にも近い、地域包括ケアセンター、地域医療支援センターというような役割が、どこでもやはり大切になっていくだろうなと思います。

 

○輿水委員 まさにシームレス、コントロールするところがなければなかなかうまくいかないかな、そこがどう構築できるか。あとは、また人材の確保の問題等もあると思いますが、この点について、またさまざま御議論しながら、うまくいくように進めていければと思っています。

 

 最後に、遠藤参考人に伺いたいと思います。

 

 遠藤参考人は、社会保障制度改革国民会議の会長代理として、今日までさまざま御尽力をいただきました。

 

 そして、民主党時代から、この持続可能な社会保障制度ということで、制度の重点化とか効率化ということで、そういった路線の中でさまざま御意見をいただきながら検討されて、今回、国民会議としての御報告書を出していただきました。

 

 そして、これがまた、今回、その方針が具体的に法律となっていく、そして方向性が定められるという、その法律になる意義についての見解をお聞かせ願えますでしょうか。

 

○遠藤参考人 ありがとうございます。

 

 お時間もないようですので、一言申し上げますと、やはり、法律という形になって、この法律の中身は、報告書の内容について非常にそれを反映しているものというふうに理解しております。それが法律という形でさらに議論が進み、また国民の理解が進むという意味合い、そして、その後、その法律に沿って具体的なものにつながっていくということで、非常に重要なことだというふうに理解しております。

 

 以上でございます。

 

○輿水委員 どうもありがとうございました。

 

 きょうは、長時間にわたり貴重なお話をありがとうございます。また一つ一つ、皆様からいただいた御意見をもとに、持続可能な社会保障制度の構築に向けて、また、皆さんが安心して暮らせる地域社会の構築に向けて、全力を尽くしていきたいと思います。どうもありがとうございました。

 

 以上で終わります。