農産物、水産物、畜産物の風評被害および放射能被害について(全文)


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農産物、水産物、畜産物の風評被害および放射能被害について
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質問 輿水恵一(予算委員会第六分科会第2号平成25年4月15日).pdf
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西銘主査 次に、輿水恵一君。

輿水分科員 公明党の輿水恵一でございます。

 私、昨年の総選挙で初当選をさせていただいて以来、地域の農業者の方からさまざまなお声を伺ってまいりました。

 そのような中で、きょうは、何点か現場の声を伝えさせていただきながら、今後の取り組みについて確認をさせていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願いを申し上げます。

初めに、東日本大震災により被害を受けた水産業の復旧について、ワカメやカキのがんばる養殖復興支援事業の推進について伺います。

 日本人は、平均して、一年間に約二キログラムのワカメを食べると言われております。肉厚でうまみが強く、味や品質の点でも高い評価を受け、日本一の収穫を誇っていた三陸のワカメの養殖棚は、あの東日本大震災で全滅をしてしまいました。私が住んでいる埼玉においても、三陸のワカメは大評判でございました。

 一方、生ガキ、ここには、百グラムの中に、一日に必要なたんぱく質の量の三分の二、カルシウムは三分の一、燐は全量、鉄分、ヨードは四倍含まれている。このほか、ビタミンB2を初め、各種ビタミンも豊富。まさに栄養の宝庫でありながら、カロリーは意外に少なく、一個当たり十六キロカロリーということで、いいことずくめであるのがカキでございます。

 国民に親しまれてきた東北のワカメもカキも、一日も早い養殖の再建が望まれるところであります。

 ここで、養殖業の復興を推進するため、地域で策定した養殖復興計画に基づき、共同化、協業化により、安定的な水産物生産体制の構築に資する事業を行う漁協等に対し、人件費を含む生産費用、さらに、資材費等、必要な経費において、水揚げ金額で賄い切れなかった分を補填するという、そういったこのがんばる養殖復興支援事業、ここに大きな期待を寄せているところであります。

 そこで、東日本大震災の被害を受けたワカメやカキの養殖業の復興における、がんばる養殖復興支援事業の活用状況についてお聞かせ願えますでしょうか。よろしくお願いいたします。

本川政府参考人 御指摘のとおり、岩手県及び宮城県は、ワカメ養殖で全国生産量の七割を生産しておられます。カキ養殖では三割でございまして、その復旧復興は、地域経済のみならず、水産物の安定供給の観点からも極めて重要だと認識しております。

 御指摘のとおり、養殖業は、経営の再開から出荷までの間に時間を必要といたします。その間収入が得られないという事情がございますので、御指摘いただいたがんばる養殖復興支援事業というのを創設いたしまして、人件費とか燃油費、こういった生産に必要な経費を前渡しするという形で支援をさせていただきます。

 現在までのところ、岩手県で三十六計画、四百五十一経営体、宮城県で三十計画、四百十七経営体が参画をしておられまして、こういうものも受けて、ワカメについては養殖施設の九割程度が復旧をしております。生産量も震災前と比べて八割ぐらいまで回復しておりますが、残念ながら、カキにつきましては、養殖施設は七割以上復旧しておるんですが、出荷までに複数年を要するということで、生産量は一割強にとどまっているといったような実態にあります。

 今後とも、現場の声を伺いながら、被災地における養殖業の一日も早い復旧復興に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

輿水分科員 ありがとうございます。

 一つ一つ、その復旧復興にこの事業が適切に役に立っている、また、地域の支えになっているということがよくわかりました。

 しかし、そこで、例えばカキの養殖。壊滅的な被害を受けた女川では、ようやくカキの出荷までこぎつけ、そして、災害前のカキに比べるとまだまだ大きさは小ぶりですけれども、味は最高の仕上がり、そういった状況だと伺っています。ここで問題は、販売の低迷でございます。せっかく丹精を込めてつくったこのカキも安く買いたたかれてしまう状況。

 このように、ワカメもまたカキも、養殖の復旧ができたとしても、適切な価格で安定して売り上げを伸ばせるかどうかが大変に重要であると思います。このような風評被害は、地元の取り組みだけで解決する、そのことはなかなか難しいものがあると思います。

 そこで、風評被害に対してどのような取り組みを考えているのか、お聞かせください。

林国務大臣 今先生おっしゃいましたように、風評被害対策、これのためには、まずはやはり正確でわかりやすい情報提供を行うということが重要である、こういうふうに考えております。

 農林水産省といたしましても、原発事故以降のこれまでの放射性物質の検査結果の蓄積がございますので、現在、海域を問わずに、ワカメ、カキといった、今先生がおっしゃっていただいた海藻類や貝類、それから、表層、上の方のところで生息している魚については、もう基準値を超えない状況があるということはわかってきておりますので、これらの情報をなるべく広く消費者に公表してきておるところでございます。

 まずこれをやらなきゃいけないということですが、さらに、この被災地の水産業の復興のためには、販路の確保、拡大を図っていかなければならないということでありまして、これは平成二十四年度からですが、東日本大震災復興交付金、これを活用しまして、被災した市町村が地域の水産物の販路拡大、販売促進の取り組みを行う場合の支援をこの交付金によってしていこうということを実施してきております。

 それにあわせて、二十五年度の予算案においても、被災地域の漁協やそれから水産加工業の協同組合等が販路回復、販売回復に取り組む場合にも支援できる事業を二十五年度予算にも盛り込んだわけでございまして、やはり信頼を確保するためには、正確な情報提供それからいろいろな販路拡大、販売促進、県や漁業関係者と連携し、漁業の復興を推進してまいりたい、こういうふうに思っております。

 なお、霞が関全般としても、食べて応援しようということで、例えば農林水産省の食堂にはなるべくこういう被災地のものを使っていこうと各所に呼びかけておりまして、各省でそのシェアを競い合うような状況にも今なっている、こういうことも申し上げておきたい、こういうふうに思います。

輿水分科員 まさに力強いお言葉をありがとうございます。

 この販路拡大。今、農水省でもどんどん使っていただく、産地と消費地をつないでいく、そういった取り組みによって、きちっとした販路の拡大ができると思います。また、そのような取り組み、さらに拡大を期待しておりますので、よろしくお願いを申し上げます。

 続きまして、放射性物質の被害を受けた地域の農業の復旧について、初めに、原木キノコの栽培の復旧について伺います。

 原木キノコ栽培は、国産の原木に国産の菌を植えつけ、約半年から二年近くをかけて収穫できる状態にし、その後、三、四年の間に休養させながら約五回から八回収穫をするそうであります。栽培期間が長く、天候に左右され、安定栽培のためには確かな技術と経験が必要になってまいります。

 この原木キノコの栽培は、自然の営みに沿って原木だけの栄養で育つので、農薬や化学肥料などは一切使用せず、人と環境に優しい栽培方法でございます。木の栄養分を十分に吸収して育ったキノコは肉厚でぷりぷり、香りもしっかりしています。農薬、化学肥料を一切使用していないため、小さなお子様から高齢者の方まで安心して食べられる安全な食材であり、人気も上々でございます。

 しかし、東日本地域において、原発事故による放射性物質の影響で、この原木キノコ栽培が大打撃を受けております。原木キノコ農家は、長年培ってきた技術や経験を大切に、また、長年にわたり原木キノコを求めていただいた消費者の皆様の声に応えるために、その再建を目指しております。

 そこで、この原木キノコ栽培農家の再建に対して、国としてどのような取り組みを進めているのか、お伺いいたします。

沼田政府参考人 お答え申し上げます。

 原木キノコにつきましては、放射性物質の影響によりまして、現在、六県、九十四市町村でございますが、出荷が制限されております。そういったことに加えて、価格の下落、キノコ原木の不足など、生産者の方々は非常に厳しい状況に置かれていると認識しております。

 こういったことで、私どもといたしましては、キノコ原木の供給の掘り起こし、そして、需要者とのマッチングの推進、キノコ原木の購入費用や洗浄機械購入への支援、こういったものを実施しているところでございます。また、生産したキノコが食品の基準値を超えないようにするための生産工程管理、こういったものを実施すべく、現在、栽培管理に関するガイドラインの考え方を提示、お示しさせていただいているところでございます。

 なお、キノコ生産者の損害賠償につきましても早期かつ適切に賠償されるよう、東京電力への要請を行うとともに、生産者向けのQアンドA、こういったものを作成いたしまして、情報提供等に努めさせていただいているところでございます。

輿水分科員 ありがとうございます。

 さまざまな支援と同時に、工程管理によって東日本の地域においても安全で安心なキノコ栽培が可能になる、そういった方向でのガイドラインを作成されたと伺っております。

 ただ、ここで、西日本などの他の地域に比べ、工程管理をしていくということによって、原木の購入から施設の整備などの経費が余計にかかり、価格面での大きなハンディを負うことになるようにも思います。また、先ほどの風評による販売の下落も予想されてまいります。このような点について、やはりこの現場の皆さんに対して丁寧な対応が必要かと思いますが、見解をお聞かせください。

沼田政府参考人 原木キノコの生産工程管理の実施、これは極めて大事なことだと思っておりまして、こういった場合におきます放射性物質の検査でありますとか、ほだ木の洗浄、こういったことを行うことをガイドラインの中ではお示ししているところでございまして、その実施に伴いまして、放射性物質の測定でありますとか原木の洗浄機器の整備に費用を要するということでございます。

 こういったことで、私どもとしては、地方自治体の放射性物質測定機器の導入でありますとか、生産者の原木洗浄機器の導入、こういったものに支援いたしますとともに、ほだ場の除染につきまして、技術開発のための実証事業、こういったものを実施しております。

 また、そういった際に、生産者の方々は費用負担がかかってまいります。具体的には、放射性物質の検査費用でありますとか、洗浄機等の購入に伴う生産者の負担費用、そして、実証事業による知見を踏まえまして生産者が行うほだ場の除染費用、こういったものが必要になろうかと思っておりまして、東京電力が早期に損害賠償するように、引き続き働きかけを行ってまいる考えでおります。

 こういったことで、生産工程管理の実施に当たって、生産者の新たな負担、こういったものが実質的に生じないように全力で取り組んでいく考えでございます。

輿水分科員 ありがとうございます。

 まさにそういった工程管理につきまして、基本的には東京電力の補償、こういったお答えがありましたが、東京電力のそういった補償の方も、なかなかうまく進まないケースもあると伺っております。

 そんな中で、せっかく復興復旧に向けて取り組みを進めている地元の皆さんに対して、事前に少しでもそういった支援ができるような柔軟な取り組みも必要かなと思うんですけれども、その点についての見解をお聞かせ願えますでしょうか。

沼田政府参考人 キノコ原木のこういった被害につきまして、私どもとしても、きちんと対応していかなければいけないというふうに考えております。私ども職員も、何回も、福島を初め茨城の方にも職員を派遣させていただきまして、現地の状況を把握し、御意見も伺ってきております。

 そういったことで、私どもとしても、ぜひ、こういったキノコ原木による栽培の生産再開ができるように、全力を挙げて努力してまいりたいと思っておりますし、そのためには、やはり賠償という問題も解決しなければならないという点は重々承知しておりますので、東電の皆様方ともよく意見交換をさせていただいているということでございます。

輿水分科員 どうもありがとうございます。

 重労働で、自然環境に左右される中を、安全で安心、そして何よりもおいしい、そんな原木キノコ栽培にこだわりを持って取り組む農家の皆様の気持ちを大切に、最大限の支援を期待いたします。

 それでは、次に、畜産業の復旧について伺います。

 同じく、東日本の広い地域で、放射性物質の影響で牧草から放射能が検出をされ、牧草を家畜に与えることができない酪農業家がたくさんあります。実際に、宮城県や栃木県の現場に私も行ってまいりました。

 長年の苦労を乗り越え、やっと軌道に乗ったやさきにこのような事態になってしまい、落胆の色が隠せない状況でございました。本来であれば自前で確保できる牧草を、他から購入しなければならない状況も続いております。ここで、牧草の購入は東電から補填されるという前提で借金を重ねている、しかし、なかなか手続が時間がかかり補償金が届いていない、そんな現場の実態もございました。

 そして、このような農家に対して、牧草地の復旧対策、さらに、当面の牧草の確保に対しての丁寧な支援も必要と考えますが、見解を伺います。

佐藤(一)政府参考人 お答えいたします。

 今、先生の方から質問がございました、除染が必要となる牧草地でございますが、岩手、宮城、福島、栃木、そして群馬の五県でございまして、その面積は延べで三万九千ヘクタールというふうになっておりまして、二十三年度に既に実施したところが二千ヘクタール、二十四年度に一万五千ヘクタールの除染の実施が見込まれているというような状況になっておるところでございます。

 この除染を推進するために、二十五年度も二十四年度と同様に、特にこの放射線量の高い汚染状況重点調査地域につきましては環境省による除染事業が予定されているほか、その他の地域につきましては東京電力による損害賠償が基本となりますが、傾斜が急であるといったような除染困難な地域におきます除染については、東日本大震災農業生産対策交付金、こういったものを措置することを予算案に盛り込んでいるところでございます。

 こうした事業を活用しながら除染を進めるとともに、引き続き、各県や関係団体とも連携して牧草地の除染対策を推進していきたい、かように考えている次第でございます。

輿水分科員 ありがとうございます。

 もう一つ、今、牧草を購入している、しかし、なかなかその補償金が届かない、そういった環境の中でさらに牧草が必要になってくる、こういった農家がありますが、この点について新たな対応が必要かと思うんですけれども、その点、何かございますでしょうか。

江藤副大臣 東電さんは、いわゆる肉用牛の価格下落分については、もう九割ぐらいちゃんと払っているんですよ。あと、処理処分とか。ところが、牧草につきましては、毎日毎日これは食べなきゃいけないものであって、生き物相手ですから。御指摘があったように、借金を抱えて、そして必死に歯を食いしばって頑張っていらっしゃる方がたくさんおられます。

 ですから、今は、本当は東電が払わなきゃいけないこと、一義的責任は当然なんですけれども、民間団体がALICの支援を受けて、これはALICが全部払うんですけれども、いずれ東電が払うことなりますが、その民間団体を通じて、いわゆる全酪連などのこういった方々が牧草の支援を行う。ちょっと今価格が上がっておりますけれども、これについては予算的な措置を十分にいたしておりまして、今のところはそちらの方で対応させていただいているという状況でございます。

輿水分科員 ありがとうございます。

 畜産農家の将来に安心と希望が持てる取り組みを期待いたします。

 それでは、次に、鳥獣被害対策について伺います。

 東日本の野山に生息する鹿やイノシシが、今、異常に繁殖し、付近の農作物を食い荒らすなどの被害が多発しております。この原因として、肉が放射能に汚染されているということで、猟友会の方々が狩猟をやめている、そんなことも取り上げられております。

 このような鳥獣被害の状況をどのように捉え、どのような対策を進めようとしているのか、見解をお聞かせください。

長島大臣政務官 御質問にお答えをしたいと思います。

 非常に深刻な問題をはらんでいると思います。ただ、鳥獣被害対策ということであれば、鳥獣被害緊急捕獲等対策事業だとか、交付金事業だとかで対応できるんですが、いわゆる放射性物質を帯びている野生動物の移動を我々がどこまで監視をして把握をできるかということと、そして、それを駆除できるかどうかということについて、大変大きな問題をはらんでおりますし、委員御指摘のとおり、汚染をされている地域にはどうしても捕獲作業やハンターが入りたがらない現況があることは事実でございます。

 そのことを踏まえて、防止柵の整備、わなの購入など、やはり基本的なことを繰り返しながら、できるだけ移動しないように、移動を確認できた時点では的確に早急に被害軽減に努められるように、地道にやっていくことが今第一歩の道なのかなというふうに考えておりますので、ぜひまた御指導を賜りたいと思います。

輿水分科員 どうもありがとうございます。

 狩猟をしないと、ますますイノシシや鹿が繁殖し、被害が拡大をしてしまうということで、いろいろな、放射性物質というか、そういった放射能が絡んでいる問題でございまして、対応が非常に難しいかと思いますが、将来的にまた何か具体的な対応もしっかりと考えていただき、地元の皆さんの安心が少しでも図られるような取り組みを期待しておりますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、最後の質問に入らせていただきたいと思います。

 激甚災害指定下での農地等の復旧について伺います。

 具体的な場所なんですけれども、福岡県の八女市などでは、昨年の北九州北部豪雨により茶畑が崩れる、そういった大被害を受けた地域がございます。ここで激甚災害を受けているわけでございますけれども、この激甚災害では原形復旧が原則となっている。段々畑になっている茶畑が全部崩れてしまった、それを地元の皆さんは、段にするよりは面にして復旧した方が、コストもかからない、その後の作業効率もいい、そういった視点があります。

 そういった面で、原状復旧ということにこだわることなく、その状況に合わせた適切な復旧ということも必要なのか、そういうふうに考えますが、見解をお聞かせ願えますでしょうか。

實重政府参考人 お答えさせていただきます。

 委員御指摘のとおり、福岡県八女市では、昨年七月上中旬に九州北部を中心とする梅雨前線豪雨に襲われまして、農地九十七ヘクタール、それから、農地と農業用施設を合わせて約八十九億円の被害が生じております。

 現在、災害査定官による査定を終了しまして、順次農地の復旧工事に着手をしております。工事着手済みの水田については、春の作付を目標に復旧を急いでいるところでございます。

 御質問の、災害が生じた以前の原形の状態に復旧することについてでございますけれども、基本的に、これは災害査定官が査定を行いまして、原形復旧を行うことを基本としておりまして、被害の程度に応じて高い国庫補助を行っているわけでございますけれども、御指摘のように、従前の効用を回復するために原形に復するよりも経済的な工法が可能であるといったような場合には、被災農業者の意向に基づいて、そういった工法により復旧することも可能となっておるものでございます。

輿水分科員 ありがとうございます。まさにそういった形で考えていただくことはありがたい、そのようにも感じております。

 ここで、ただ一点、また問題がございまして、崩れたところと崩れないところがある。崩れたところは、そういった復旧が始まる。崩れないところも、できれば、この際だから同じ面にして、そして、そういった茶畑をつくった方が全体としての作業効率も上がる、そういった視点もあるそうでございます。

 そこで、この原形復旧、自在にそういった形で面にしていく、しかし、残ったところもあわせて一緒に整備をしながら、より効率的な茶畑に復旧をしていきたい、そんな希望もあるようでございますが、そういった復旧の複合化というか、いろいろな制度をうまく使いながら、周りのところもうまく復旧復興しながら、新たな形での農業の育成、そんな視点も必要なのかなと思うんですけれども、この点についての見解をお聞かせ願えますでしょうか。

實重政府参考人 復旧に当たりまして、地元からいろいろな御要請がございます。できるだけその要請にお応えするような形で工事を進めることができればと思っております。

 茶畑について、例えば、復旧に当たっては、段々畑ではなくて、一段の畑にしてほしいというような要請があった場合には、原形復旧に比べてその工法が経済的であるかどうか、それから、そうした工法をとることによって土砂崩れなど新しい災害を生ずるようなおそれはないかどうか、こういった点について精査をいたしまして、現状で、かなり本地区については工事が進んでいるところもございますけれども、地元の被災農業者や関係自治体の意向も踏まえながら、必要な形で助言していくことは可能と思っております。

 また、周辺農地を含めて圃場整備をしたい、あるいは排水路の機能向上をしたいというような、単に原形復旧だけでなくて、向上、改良したいというような御要請がある場合もございます。これについては、災害復旧事業に加えまして、農地災害関連区画整備事業を一体的に施行することによりまして対応することが可能でございます。この場合においては、再度、同様の災害が発生することを防止できるかどうかという点が要件でありまして、この点についてのチェックが必要であります。

 いずれにいたしましても、八女市の被災地区につきまして、関係の業者や自治体の意向を伺いながら、適切に助言をさせていただければと思っております。

輿水分科員 どうもありがとうございました。きょう、質問をさせていただき、明快な答弁、ありがとうございます。

 農業をやられている皆さん、今まで自分が長年やってきた経験やその技術を生かしていく、違うことをいきなりやるということは難しい状況でございますので、その今までやってきたことがちゃんと、きちっと継続できるような体制を早急につくって、そしてまた、その地域のさらなる繁栄と発展の道を開いていく、また地域の農業を守っていく、これはもう大変に重要なことであると思います。

 そういった取り組みの中で、やはり一日も早いというか、加速をしていく、そういった取り組みが必要かなというふうに考えます。この点につきまして、最後、大臣の決意をいただければと思います。よろしくお願いいたします。

林国務大臣 改めて、委員から大変いいポイントを聞いていただいたなと思っておりまして、今の八女市のお茶畑にしても、しゃくし定規にもとに戻すだけですよということではなくて、さらにいいようにしていく、そして周りもそれに合わせてやる、よってもってピンチをチャンスに変えていく、こういうことができるということを御指摘いただいたところでございます。

 そういうこともあわせて、農業の場合は、やはりやる気、頑張ってやっていこう、いいお茶をつくろう、これが大事でございますので、そういう気持ちに沿っていけるような施策の展開をしっかりとやってまいりたいと思っております。

輿水分科員 どうもありがとうございました。