地域の防災力強化等について(全文)


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質問 輿水恵一(予算委員会第二分科会第2号平成25年4月15日).pdf
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奥野主査 次に、輿水恵一君。

輿水分科員 公明党の輿水恵一でございます。

 私は、地域の防災力の強化、そういった視点で、総務省関連の予算について質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 初めに、消防防災体制の強化について、大規模災害発生時の救急消防援助隊の災害対応力を強化するための消防救急デジタル無線の整備について伺います。

 消防救急無線は、消防救急活動の高度化及び電波の有効利用の観点から、平成二十八年の五月までにアナログ方式からデジタル方式に移行するとされております。この消防救急無線のデジタル化は、音声の情報の伝達だけではなく、データ、文字情報や位置情報など、さまざまなデータの活用を可能にし、確実かつ効率的な消防救急活動の実現につながるものと思われます。

 例えば、消防救急車両の位置情報を活用することにより、迅速、確実に現場に車両を手配することができます。また、現場近くの受け入れ可能な医療機関情報を活用することで、迅速かつ適切に救急活動が進められるようになると思います。さらに、この消防救急無線のデジタル化により、利用可能なチャンネルをふやすことができるようになります。事案別のチャンネルの設定により、活動内容に応じて、必要な情報を必要な部門に、迅速かつ的確に伝達することができるようになります。現在懸念されている大規模な災害が発生したときの多角的な活動や広域連携を可能にするためには、この消防救急無線のデジタル化がまさに必要であると思います。

 そこで、まず、消防救急無線のデジタル化の重要性、また大規模災害発生時の整備の効果についてどのように考えているのか伺います。また、あわせてデジタル化について、全国の自治体消防における進捗状況についてもお聞かせ願えますでしょうか。よろしくお願いいたします。

新藤国務大臣 まさに御指摘のとおり、大規模災害ですとか通常の業務においてデジタル化をする、しかも、それを消防救急という極めて緊急かつ重要な場面で、人の命がかかる部分であります、そういったときに、そこに展開するというのは、最も取り組まなければいけない、最重要課題の一つだ、このように思います。

 そして、消防救急無線のデジタル化によりまして、まず、チャンネル数を増加すると御指摘いただきました。チャンネル数を増加するということは、結局、複数事案への対処が可能になるということです。

 東日本大震災のときに、大規模災害時、全国からの緊急消防援助隊が参集した場合でも、やはり通信の混雑とかふくそう、こういったものが発生してしまったんです。ですから、これをデジタル化することによって、緊急消防援助の運用の混乱が回避できるようになるのではないかというふうに思います。

 もう一つは、この通信機能の強化が、広域に及ぶ被災地に展開できる、広域展開です。そして、そのことによって効率的な部隊の展開が可能となる、こういうことだと思います。

 この導入の取り組み状況については、事務方からちょっとお話しさせます。

市橋政府参考人 消防救急無線のデジタル化の進捗状況でございますが、委員御指摘のとおり、消防救急無線は平成二十八年五月末までにデジタル化するということになっておりまして、整備に着手または整備済みの割合は、平成二十五年四月一日現在で四〇・六%となっているところでございます。

輿水分科員 ありがとうございます。

 ここで、デジタル化を進めている自治体において、システムの設計や整備から運用に至るまで、数年を要している実態もあるように伺っています。

 このような実態を踏まえ、やはり、災害というのはいつ来るかわからない、緊急性がありますので、導入してから運用までの期間もしっかり短縮をして、もしもの災害にしっかりと備えていくことは重要だと思いますけれども、その辺の、運用までの期間短縮への支援についての見解をお聞かせ願えますでしょうか。

市橋政府参考人 消防救急無線をデジタル化するに当たりましては、私ども、消防本部の取り組みを支援するために、無線に関する技術的知見を有する技術者でございますとか、あるいはデジタル化の整備を先行的に進めている消防本部、これらの職員をアドバイザーとして派遣するというふうな事業を展開しているところでございます。

 何せ、委員御指摘のように、災害はいつ来るかわからないという問題もございますし、また、期限が限られているということもございますので、これらの事業を活用しながら、円滑に消防本部での整備が進むように取り組んでまいりたいというふうに考えております。

輿水分科員 ありがとうございます。

 ぜひ、円滑なデジタル化の推進をよろしくお願い申し上げます。

 それでは、次に移らせていただきます。

 消防防災体制を強化するための高機能消防指令センター、また耐震性貯水槽等の消防防災施設の整備促進について伺います。

 大規模災害が発生した際に被害を最小限に食いとめるためには、情報の迅速な収集と的確な支援活動が必要であると思います。そのためには、先ほどの消防救急無線のデジタル化と同時に、十分な機能を備えた指令センターの整備は不可欠であると思います。

 そこで、どのような整備方針を持って、また、どのような役割、効果を期待し、この高機能消防指令センターの整備を進めようとしているかについて伺います。あわせて、全国における高機能消防指令センターの整備状況についてもお聞かせください。よろしくお願いいたします。

市橋政府参考人 高機能消防指令センターにつきましては、出動指令を自動的に行う機能も備えてございまして、災害通報に迅速、的確に対応できるとともに、全国からの応援部隊であります緊急消防援助隊に的確に指示を与えるためにも非常に効果があるものというふうに考えているところでございます。

 高機能消防指令センターの整備につきましては、その促進を図るために、従来より、補助金や地方財政措置により財政支援措置を講じているところでございます。

 今後の高機能指令センターの整備につきましては、費用負担の低減の観点やより広域での運用による住民サービス向上の観点から、消防の広域化や指令業務の共同化とあわせて整備することが望ましいと考えておりまして、そのような整備につきましては、補助金の優先採択なども行うというふうにしているところでございます。

 各消防本部におかれましては、これらの財政支援措置も活用し、効率的な高機能消防指令センターの整備に努めていただきたいというふうに考えているところでございます。

 なお、高機能消防指令センターがどのような整備状況になっているかということでございますが、実は、これは単独で整備しているところも多うございまして、私ども、全体像というふうな把握はまだ行っていない状況にございますけれども、例えば、先生御出身の埼玉県におきましても、二つの消防本部を除いて高機能指令センターの整備が進んでいますように、単独での整備もかなり進んでいるものというふうに考えております。

輿水分科員 どうもありがとうございます。

 まさに、消防の高機能指令センターの整備、場合によっては各自治体でそれを担っていくというのは難しい場合もあるかと思います。今言われたように、広域的に共同でそういったものを整備しながら迅速な対応がとれる、そんなことも必要なのかなと感じております。

 今発生が懸念されている首都直下型あるいは南海トラフの地震に対して、やはり国民の命と財産を守るために、本当に一日も早い、先ほどの消防救急無線のデジタル化とともに、高機能消防指令センターの整備、しっかり掌握をしながら、地域にアドバイスをしながら進めていただけたらと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 次に、あわせまして、大規模災害の発災後、住民の命と財産を守るために、やはり大規模火災の発生をいかに防ぐか、こういったことが重要になると思います。

 そこで、地震が発生してしまいますと、水道管の破損により消火栓等からの水が得られなくなってしまう、そんな場合に備えているのが、今回予算にも挙げられております耐震性貯水槽、そういった整備があると思います。

 この耐震性の貯水槽についても、その整備方針と進捗状況を確認させていただけますでしょうか。よろしくお願いいたします。

市橋政府参考人 お答えいたします。

 耐震性貯水槽につきましては、断水により消火栓が使用不能になった場合の消防水利として利用できます。また、それのみならず、生活用水としても重要な役割を担うものでございまして、私ども、この整備につきましては、補助金を確保しながら、鋭意整備を推進してきたところでございます。

 現時点で私どもが把握しております耐震性貯水槽の全国での整備状況でございますけれども、九万四千基余りというような状況になっているところでございます。

輿水分科員 ありがとうございました。

 次に、救急体制の強化における消防と医療機関の連携の推進についてお伺いします。

 先日、埼玉においても、輸送先の確保に時間を要してしまい、その患者が死亡してしまう、そんな事例も起きてしまいました。非常に残念なことであると思います。

 救急医療体制の整備は、救急医や救急病床の不足から思うように進まない、そんな現状もあるかと思いますが、救急の機関の受け入れ情報を消防の救急搬送とできるだけ連動させて、その情報を的確につかむことにより時間を短縮していく、こんなこともできるのではないでしょうか。

 実際、佐賀県では、救急医療情報システムを構築し、その運用を開始しています。救急搬送において受け入れ病院の確保が課題となっている中で、現場を見える化することで救急患者を一刻も早く病院に搬送する。一人でも多くの人の救命につなげていくために、佐賀では全ての救急車に端末を配備している。そして、救急車の中から、どの病院が受け入れ可能なのか、あるいはどの病院に搬送が集中しているのか、そういった情報を瞬時に捉え、救急隊が判断をし、共有をし、そして各行動をしていく、そんなシステムと伺っております。

 まさに、消防の中でやるべきこと、できることをしっかり進めながら、こういった救急への対応も図っておく、このことは大変に重要かと思いますが、見解をお聞かせ願えますでしょうか。

市橋政府参考人 議員御指摘のとおり、消防機関と医療機関の連携による傷病者の円滑な受け入れ体制の整備が必要でございまして、消防庁では、平成二十一年に消防法を改正いたしまして、都道府県に、傷病者の搬送及び傷病者の受け入れの実施に関する基準というものの策定を義務づけたところでございます。

 この実施基準を運用するに当たりまして、佐賀県におかれましては、救急隊員がタブレット端末に医療機関の受け入れ情報を入力し、その情報を県内の消防機関や医療機関がリアルタイムで共有するという、さがネットを構築いたしまして、傷病者の搬送と受け入れの円滑化を図っているというふうに伺っているところでございます。

 このような取り組みにつきましては、全国でも広がりを見せ始めてきておりまして、私どもといたしましても、それらの取り組みの効果ですとか、あるいは導入に当たってのノウハウなどにつきまして調査分析をし、都道府県や市町村、医療関係機関等に周知することで、消防機関と医療機関の連携の推進というものを図ってまいりたいというふうに考えております。

輿水分科員 どうもありがとうございます。

 ぜひ積極的な取り組みをよろしくお願い申し上げます。

 それでは、続きまして、防災、減災のための地域の体制強化について伺いたいと思います。

 初めに、自治体の技術系職員不足について伺います。

 東日本大震災の被災地の復興を加速するために、また防災、減災の視点から、あの笹子トンネルのような事故を未然に防ぐために、やるべきことを迅速に進めることが重要であると思います。ここで、そういった工事のための予算が確保されたとしても、発注業務が滞っていては具体的な工事は進まない、そういった状況があります。現実問題として、地方自治体では、技術系職員、特に土木技術者が不足しており、迅速かつ適切な発注ができない状況にあります。

 そこで、地方自治体の技術系職員の配置状況についてどのように把握されているのか、また技術系職員の不足に対してどのような対策を打とうとしているのか、見解をお聞かせ願いますでしょうか。よろしくお願いいたします。

新藤国務大臣 これは頭の痛いところであります。そして、技術系の職員が年々下がってきているその最大原因は、我が国において公共事業を減らしてきた、それに尽きると思います。自治体とすれば、仕事がなくなって、そして需要がなくなったところをやはり削減していったんだろう、こういう大きな流れがあると思います。

 一方で、今委員が御案内のように、東北の被災地では通常の十倍以上の予算、今までの一般会計の十倍以上の予算を組み、そして事業量が、町によってさまざまでございますが、五倍から十五倍、こういうふうになっているわけであります。そこで最も必要なのは技術系の職員なんですが、最も少なくなっているのが技術系の職員だということであります。

 かつ、公務から、日本再生のために、全国的にも、もう一度、命を守る国土づくりをやろうではないか。それから、いろいろ大規模な修繕や補修が必要になってきます。高度経済成長時代に大量に整備された社会資本は、同じ時期に大量に老朽化するわけですね。

 ですから、笹子トンネル、ああいう事故ではありませんが、またそういったことが起きないようにするためには、今の社会資本をどのように長寿命化し、そしていつリニューアルしていくのか、その計画をつくらないと、ある試算によれば、あと十五年か二十年するともう我が国の予算は修繕だけで終わる、こういったことも想定されているわけであります。

 したがって、こういう部分を改善するためにも、やはりどうしても技術系の職員が必要だということだと思います。

 土木技師の職員数だけ見ても、ピーク時の一万七千人の減少ということでありまして、二割近くの減少になっているということであります。ですから、今後、我々とすれば、逆に言えば今が一番厳しいときで、仕事がふえれば、当然そこに必要な人間はまた充足させていくことになると思いますから、ここをいかに工夫するかというのは、自治体の声も、また御相談に応じながら我々も取り組まなければいけないと思います。

 特に、被災地の職員不足については、これはもう私も本当に心を痛めておりまして、今おかげさまで、千五百人欲しいんだというものに対して千人ちょっとまでは確保できるようになったんですが、それでもまだ足りないわけです。したがって、そういったことをいろいろとお手伝いさせていただきたい、このように考えています。

輿水分科員 どうもありがとうございました。

 まさに、変化の中に、急激に今回、震災あるいは国土の強靱化、また高度経済成長期に建設されたものが一気に老朽化を迎えるということでその需要が高まっている。いかに対応していくか、前向きな御答弁をありがとうございます。

 ただ、人の確保と同時に、地方自治体の発注の仕方とか仕事の出し方の形態を簡略化、簡素化して技術者不足を補う、そういった取り組みも必要なのかなと思うんですけれども、その点についての見解はございますでしょうか。

新藤国務大臣 まさにおっしゃるとおりで、やるべきことは、工夫をすればいいことはぜひやりたいと思いますし、また、自治体においてそれぞれ工夫をしていただいて、我々とすれば、いい事例があれば、そういったものを全国に紹介する。先進自治体の取り組みを全国の自治体に御紹介させていただいて、そして、全体としてより効率よくしていく、こういうことが重要だと思いますね。

 あわせて、やはり考え方を変えなきゃいけないと思います。それは、例えばビッグデータです。それからICTです。

 要するに、今までと同じやり方ではお金がかかるだけなんです。だから、お金をかけずに、しかも上手に長寿命化するとともに、今すぐやらなきゃいけないものは何なのか、それをデータでチェックするということです。それは、センサーをたくさん埋め込んで、それでもって、今危険度が高いのはどこだとか、そういったものをICTで管理して、そこに最適な対策を打つとか、そういう工夫が必要だと思います。

 これからつくるものは、つくったことによって町を活性化させなければ意味がありません。新しい公共事業のあり方というものも考えていかなくてはならないだろう。そのときに、誰が担ってくれるのか、そういう観点での人材育成も必要だ、このように考えます。

輿水分科員 どうもありがとうございます。

 まさに、あらゆる視点で、またあらゆる技術を使って、国家の予算が効率的に、効果的に使えるような取り組み、ぜひ推進もしていただけると思いますので、よろしくお願いいたします。

 続きまして、今地方自治体では、財政の健全化に向けて人員の削減などが積極的に進められている状況でございます。その一方で、地域再生への取り組みや高齢化への対応など仕事量も増加する、そんな現状があります。

 このように、人員削減を進めながら多様化する住民の安全と安心を守るためには、自治会などの地域の共助の組織の活用というか活躍が期待されるところであると思います。

 現在、大規模な災害の発生が懸念されている中、各地方自治体では、地域ごとに自主防災組織の構築に取り組んでいます。地域の防災においては、まさに自助、共助そして公助のバランスのとれた、そういった制度の整備が必要であります。

 そこで、各地域の自主防災組織の整備の実態と、また整備を促進するための支援、こういったものも、もう自治体だけでは行き詰まっているところも多いと伺っておりますので、その辺に対しての考え方、見解をお聞かせ願えますでしょうか。よろしくお願いいたします。

市橋政府参考人 自主防災組織は、自分たちの地域は自分たちで守るという自覚、連帯感に基づきまして自主的に結成された組織でございまして、災害による被害を予防し、軽減するために活動を行っているところでございます。

 この自主防災組織の結成状況でございますけれども、平成二十四年の四月一日現在で、全国で十五万五百十二組織、活動のカバー率で申しますと七七・四%というふうになっているところでございます。

 これまで、消防庁におきましては、自主防災組織活動を進めるための指針であります自主防災組織の手引の作成ですとか、あるいは活動事例集の作成、配布、さらには自主防災組織連絡協議会の結成促進に向けた出前講座の実施などを行っておりまして、自主防災組織活動の普及啓発に努めてきたところでございます。

輿水分科員 どうもありがとうございます。

 まさに、自主防災組織、しっかりと今推進をしていただいている、よくわかります。

 そこで、一つだけ、現場の問題といたしまして、自主防災組織というのは、大体、自治会がそのまま立ち上げている、そういった現状がございます。そして、その自治会なんですけれども、役員が高齢化してしまって、また、若手の、そういった自治会を担っていく人材がなかなか輩出できない、そんな現実があります。

 自治会には、総務省関連のこういった事業だけではなく、厚労省の見守りだとかいろいろな仕事、これは、地方自治体の職員の負担を軽減するというか、自助と共助のバランスをとっていくという視点で、どんどんそういったところに、新たな視点での自治会等への取り組みは必要かと思いますけれども、まさに自治会等の人材の育成あるいは人材の確保、こういったものに具体的にしっかりと手を打っていかないと、今構築された自主防災組織等も、やがて高齢化をして、いざというときに機能しなくなってしまう、そんな点が懸念されるわけでございます。

 やはり、地域の防災力をしっかりと整えるということは国の防災力に即つながる、そういった視点での地域の人材の育成また人材の確保についての見解をお聞かせ願えればと思います。

新藤国務大臣 私は、まず、地域のきずなを高めること、これが重要だと思うんです。そして、あの阪神・淡路の大震災、それから今回の東日本大震災、それによって、随分多くの日本人が、防災というものをさらに真剣に考えなきゃいけないと。そして、いつ自分たちの暮らしにこういったことが起きるかもしれないということも、かなりの人間が意識を高めているんじゃないか、このように思うんですね。

 そして、私も地元の活動をよく承知していますけれども、うちの町は、自主防災組織率は一〇〇%です。今どうなっているかというと、自治会単位、全市でやります。それから、二十のブロックの会合をやります、訓練をやります。それから、一自治会単位でもやり、場合によってはその中の分区というか、そういう単位でもやるようになりました。そして、泊まり込みでの、やはり夜をどういうふうに過ごすか、こういったこともやっているし、では、避難場所である学校を使うためには、実際に使ってみなければわからないと。そういう意味で、とても私は充実しつつあると思うんですね。

 あの阪神のときもそうでした。今回もそうですけれども、自治会、また自主防災の地域のきずなの中に入っている人たちは早く見つかるんです。この時間だったら、あのおばあちゃんはあそこにいるに違いない、ここの場所にはおじいさんがいるはずだと。地域のコミュニティーの中に入っている人たちは見つかるんです。でも、そこから外れていってしまっている人は、そもそも存在が気がつかれていないならば、その人を捜しに行く人もなかなかいない。だから、やはり日ごろの暮らしが最大の防災につながるわけで、表裏一体ですよね。ですから、そういう国民意識というものを我々は粘り強く広報していかなくてはいけないというふうに思うんです。

 私がいつも言うことは、これは訓練だからと言って、皆さん来ます、でも、訓練でできないことは実戦では絶対にできない、訓練でできないことは実際に起きたときに対応できない、これが自衛隊の鉄則です、ですから、どんな組織も、どんな活動も、今の訓練ができなければ現場でできないんですよ、命を争う瞬間に、そのときに役に立つかどうかは今なんです、こういう話をさせていただいております。隊列一つとっても、隊列がだらだらしている組織は全くうまく機能しません、そういうところから皆さんやろうじゃないですか、こういうことを申し上げるんですけれども、それは自治体がかなり取り組んでいただいていると思います。

 高齢化が進むけれども、そこの活動が強化されていれば、必ずそこに新しい人が、意義を感じている人が入ってくるわけなので、支援措置をすることも重要ですが、やはり国民意識をきちんと啓発していくこと、これを心がけなければいけないのではないかな。我々がそれに、行政としてしっかりバックアップをさせていただきたい、このように考えます。

輿水分科員 ありがとうございます。

 まさに、何でもお金をかければとか、支援をすればいいというよりも、国民意識をしっかりと醸成しながら、自分たちの命は自分たちで守る、地域は自分たちで守っていく、そういったまちづくり、国づくり、これから大きなキーワードになる、その新藤大臣の御決意、私も同じ思いで、地域の繁栄と発展のために、また全力で働いてまいりたいと思います。

 本日は、大変にありがとうございました。