個人情報の保護のあり方(全文)


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個人情報の保護のあり方
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参考人質疑 輿水恵一(内閣委員会第6号130405).pdf
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平井委員長 次に、輿水恵一君。

輿水委員 公明党の輿水恵一と申します。

 本日は、貴重なお話をどうもありがとうございました。

 私の方からは、個人情報の保護のあり方につきまして、堀部先生の方にまず伺いたいと思います。

 公明党は、番号制度による情報ネットワークが、将来にわたり有効に活用され、我が国の新たな繁栄と発展の基盤となるためには、番号制度を進めると同時に、国民から信頼される個人情報保護体制を構築することが必要である、そのような考えのもと、本法案の附則にもその趣旨を盛り込ませていただきました。

 法案における税と社会保障にかかわるマイナンバーの利用に際して個人情報の取り扱いを監視する特定個人情報保護委員会の権限は、特定の範囲に限られております。ここで、諸外国の多くの国々では、各省庁から独立し、第三者機関が個人情報を取り扱う全ての業務、事務全般にわたりまして、その取り扱いの適切性を監視する体制が整えられております。

 そこで、個人番号制度が国民から信頼され、有効に活用される制度となる上で、独立性を有し、特定の範囲に権限を限定されることのない、内閣府設置法に基づいた個人情報保護委員会の設置の意義について、先生の見解を伺えればと思います。よろしくお願いいたします。

堀部参考人 先生御指摘の、現在の法案では特定個人情報保護委員会になっておりますが、附則六条第二項によりまして、施行後一年を目途として検討するということになっております。

 世界的に見ますと、独立した監視機関というのがむしろ一般化しておりまして、日本にそれをどのように導入するのかということはかねてから議論をしてきておりますが、なかなか日本では導入ができませんでした。そういう中で、今回の番号法案の中で、特定個人情報保護委員会という形で設置されることになりましたことは、世界的に見ましても大変重要な意味を持っております。

 今の個人情報の保護に関する法律ですと、主務大臣がそれぞれ扱うことになっておりますが、実態を見ておりますと、職員の方も二年ぐらいで交代していきますし、やはりなかなかこの問題、責任を持つ者がきちんと対応できているとは私は見ておりません。

 独立性の強い委員会といいますのは、そこに専門性、継続性というのを備えることができますので、そのような観点から、これを将来的には日本の個人情報保護全般に及ぶように、ぜひ御検討いただきたいというふうに思います。

 個人情報の問題といいますのは、自分の個人情報がいろいろなところで使われるということについて、それがきちんと保護されるということで国民の信頼を得ていく、こういう観点が非常に重要でして、これは民間企業にしましても、その民間企業がきちんと個人情報保護を図っているんだということで消費者からの信頼を得ていく。国につきましても同じようなことでありまして、国がきちんとした保護措置を講じているということで国民の信頼を得ていく。

 ということで、やはり信頼の構築、維持ということが、この問題を考える上で大変重要であると見ております。

輿水委員 どうもありがとうございました。

 まさに専門性あるいは継続性、そういったものを持った委員会として、例えば今ある公正取引委員会のような、そういった形での取り組み、私たちも、先生の御意見を賜りながら、何とか推進できるように頑張っていきたいと思います。

 続きまして、本法案の二十七条に盛り込まれました特定個人情報保護評価についても伺いたいと思います。

 先ほど堀部先生御提唱されましたプライバシー・バイ・デザイン、プライバシー侵害のリスクを低減するために、システム開発において事前にプライバシー対策を考慮し、企画から保守段階までのシステムライフサイクルで一貫した取り組みを行う、そういったものであると認識しておりますが、まさに設計から情報通信技術の使用の段階で、情報処理やシステム設計、運用管理に公正な情報処理の原理を構築する、重要なことであると思います。

 本法案においては、このプライバシーデザインの思想に基づき、システム構築、さらにシステムの個人情報保護における有効性を評価し、高いレベルで個人情報の保護体制を確立する、そういった第二十七条のこの部分が盛り込まれていると思います。

 そこで、このプライバシーデザイン並びにこの第二十七条の機能評価に伴うプライバシー・インパクト・アセスメント、その有効性についての見解を伺えればと思います。よろしくお願いいたします。

堀部参考人 今先生御指摘の二十七条、こういう形で設けられましたということは、大変重要な意味を持っていると思います。

 個人情報保護ワーキンググループでも、プライバシー・バイ・デザインという、日本では最近になって、私が紹介するようになって広く知られるようになりましたが、歴史的には大体一九九〇年代の半ばぐらいから、先ほど触れましたカナダのオンタリオ州の情報・プライバシーコミッショナーのアン・カブキアン博士が提唱しまして、現在では、それが国際的にいろいろな決議で使われたり、あるいは今度、欧州委員会の方でも提案しました新しい規則提案の中にもその考え方を取り入れるということになっております。

 それとプライバシー・インパクト・アセスメントというのは密接に関係をしているものでありますので、日本で今回、番号制度を導入するに当たりましては、あらかじめ制度を構築していく上で、どういうプライバシーに対するインパクトがあるんだろうか。このプライバシーという言葉は一般的に使われますのでそれを使いますが、それをどうするのかということで、個人情報ワーキンググループのもとにサブワーキンググループを設けまして、そこで専門的に検討していただきまして、今、ガイドライン案が出ております。

 こういうことで、事前にとにかく保護措置を講じていく。制度を構築する、あるいはシステムを構築する上で、最初の段階からきちんと保護措置を図っていく、こういうことによって信頼を確保していこうということで議論をしてまいりました。

輿水委員 どうもありがとうございました。

 本当に、まさに今、地域の資源として、今までは人、物、金と言われていましたが、情報も大きな資源だと思います。その情報が有効に、安全に使われる、そういった社会を構築していくこと、これがこれからの私たちのまた課題かと思います。

 きょうは、個人情報の保護に対する体制を適切に進めることの大切さを先生方から御指導いただきました。今後もその点につきましてしっかりと取り組んでまいりたいと思います。本日は大変にありがとうございました。

 以上で終わります。